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それでも、だからこそ
抽象画を描いている。
廃材でアート作品を作っている。
最近はピアスを作るようになった。
ピアスはあくまでも短期間、極稀にギャラリーに納品する程度に作っていこうと思っていた。
絵は値段も高いし好みもある。
なかなか売れない。
しかしピアスの売れ行きは良い。
急に企業から連絡がありその企業でオリジナルのブランドを立ち上げピアスを販売する話まで発展した。
「私はアクセサリー作家じゃないのに」
「私は絵を描いて生きていきたいのに」
散々悩み、散々打ち合わせをし、やっと自分の気持ちに折り合いをつけた。
やる気が出たのも作る束の間、今度は周りからの反応が悪い。
「企業コラボ」という響きがあまり良くないらしい。
公言しなければギャラリーからピアスの追納の話が出るかも、自分の経歴として活動するのは悪くないはず、アクセサリー作家だと思われたらどうしよう、ピアスの着画でキャラ売りだと思われてたら嫌だ…
打ち合わせと飲み会の連続、またしても多忙に逃げて自分の中のモヤモヤを押し殺した。
きっと楽しくなる、だから大丈夫。
それだけ考えて動けるのは数時間程度。
ふとSNSを見れば企業コラボに対するマイナスなDMが届いている。
内容は伏せる。
今日、ギャラリーに追加納品に行った時に先輩作家に企業コラボに対するマイナスな意見について相談した。
「よくあるから大丈夫」
よく、あるんだ。私だけじゃないんだ。
頼れる人が存在する事、モヤモヤが続いて不眠が酷くなっていた事、ただただ得られた安心感で涙が出た。
どれだけ私が葛藤し打ち合わせの最中に泣きそうになりながら自分の画家として生きたいという思いを語ったか、それでも落とし所を模索しコラボを了承するに至ったのか。
そんなもの打ち合わせの相手しか知らない。
SNSで長々と語る気も無い。
物作りが好きだ。
シンプルにそれに尽きる。
自分の拘りが反映されれば尚良し。
他にライター、モデルとしても活動するようになった。
顔出しにも慣れた。
色んな自分になるのは楽しい。
しばらくしたらもっと忙しくなる。
ストレスも溜まるかもしれない。
でも本当の泣き言は言わない。
愚痴はちょっと言うかも。
昔から丁度いいタイミングでの運はやたら強い。
それに甘えて生きてるんじゃないかと悩む事もあったけど。
画家からアーティストになった。
まぁどっちもカッコイイ響きだと思う。
良いものを作る。
良い仕事をする。
「良い」を沢山の人に届けたい。
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