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「人と同じじゃなくていい。違いが当たり前の社会を作りたい。」児童福祉司&社会福祉士&里母の白田有香里さん

夢は、大きな一軒家で雑貨・Cafe兼FamilyHomeで地域のコミュニティーを作ることと、福祉のイメージを一新すること。常にオープンに、規定の概念を軽やかに超えるチャレンジをし続ける白田有香里さんにお話を伺いました。

プロフィール
民間企業の会社員、児童自立支援施設·児童養護施設職員を経て、現在児童相談所勤務。プライベートでは養育里親として、二人の男の子を育てている。
座右の銘:今より若い時はない

記者 よろしくお願いします。

白田有香里さん(以下、白田) よろしくお願いします。

「人生は自由に変えられる。」

記者 今のお仕事を始めたきっかけを教えてください。

白田 それまで、親が紹介してくれた会社で働いていたんですが、つまんないなと思っていて。そんな時に、家族で行った香港で、あまりの「違い」にすごい衝撃を受けたんです。「私ここに住みたいかも」ってポロっと言ったら、母が「住んだらいいじゃない」って。その時、あれ?住めるんだなって思えて、「なんで今まで変えられないって思ってたんだろう。自分の人生自由に変えられるんだ」って思ったのが転機です。それから、児童自立支援施設で働きたい!と思って、保育士の資格をとり、現在の仕事に至っています。

記者 なぜ、児童自立支援施設で働きたいと思ったんですか?

白田 対人間という点ですね。生身の人間と人間が向き合わざるを得ないので、キレイごとじゃ済まないところが良くて。あと、非行少年が好きなんです。

記者 そうなんですね。正にチャレンジャーですね。では、仕事をする中で、どんな気づきがありましたか? 

白田 児童自立支援施設で働いた後、児童養護施設でも働きました。仕事はとっても楽しかったんですが、一方、施設でどんなに力一杯、子供達をかわいがっても、親にはなり得ないんです。もっと自由に食事をしたり、遊んだりしてあげたくなって。そんな時に里親の話があり、数ヶ月の予定で引き受けて、気づいたら6年たってしまいました笑。

「里親になって新たなアイデンティティを子供達に貰った」

記者 そうなんですね。実際、里親になってどうでしたか?

白田 新たなアイデンティティを子供に与えてもらったと思っています。夫婦二人じゃ絶対経験できないことが経験できるし、その点では本当に子供達と対等というか、むしろ感謝してもし足りないくらい。以前、子供達が学校で里子だっていうことをカミングアウトするチャレンジをしたんです。子供達にとっても、すっごく勇気がいることだった。でも、やってみたらみんな温かく受け入れてくれて。里子は可哀想と思ってたのは、むしろ私たちだったのかなって。

記者 わぁ〜、感動です。まさに、子供達を通していろんな感動を経験されているんだなって思いました。ちなみに里親制度って日本だとまだ少ないんですか?

白田 少ないんです。里親にしろ、福祉にしろ、一部の奇特な人がやるとか、犠牲心の上に成り立っていて、「私にはできないわ」って思われる事が多い。でも、私は自己犠牲は全くないし、お酒も飲むし、友達とも遊びに行く。だって、そうじゃないと子供も重たいじゃないですか。あなたのために、遊びにもいかず頑張ってるのよって。

記者 それは重たいですね。

楽しそうな大人のモデルがないと、子供も未来に希望が持てない」

白田 ですよね。だから、父ちゃんも母ちゃんも生き生きしてるっていうのが、子供にとっても大事。楽しそうな大人のモデルがないと、子供も未来に希望が持てないですよね。だから私は子供たちに、「大人、すっごい楽しいよ!」って言ってるんです。ついでに、福祉のイメージも一新したいと思っています。

記者 素晴らしい!大人が生き生きしていないのは、時代の重要課題ですよね。

「あくまで比較対象は自分」

記者 どんな心のあり方や認識の変化が今の活躍につながっていますか?

白田 やっぱり、いつも対前年比、比較対象は自分だよって、思うようになったのは大きいかな。去年よりはいい自分になれるような気がしますけど、他人より良くなろうって、なかなか難しいじゃないですか。

記者 なるほど、そうですよね。

白田 あとは、自分の欠点をさらけ出せない自分から、さらけ出せる自分になったのも大きいです。出してみると、意外に、他人から見ると欠点じゃなかったみたいなことも沢山あって。おかげで、相手が誰であろうと常に自分自身でいられて嘘がないんです。そうなれたきっかけも、香港での気づきが大きく影響している気がします。

記者 白田さんは、お母さまが元々規定にとらわれない自由な方なので、何かしらのきっかけでそれが閉ざされていただけで、そもそも自由なんでしょうね。

「失敗すること、間違えることが、子供育てには大事」

記者 これからAIが活躍していく時代に、必要とされているニーズは何だと思いますか?

白田 やっぱり子育ては、AIにはできないと思います。子守とか、安全を確保するだけであればできるかもしれないけど。例えば、歌を歌うとか、オムツ変えるとか。

記者 面白いですね。ベストなタイミングでオムツが変えられたりとか。そこと子育てとは違うってことですか。

白田 人間だとオムツだけどミルクあげちゃったとか、何だかわかんないけど、もう泣きそうになりながら抱っこしたとか。
そういうのが実は子育てに有効だったり、子供の情感を育てるのに大事だったりするんです。だから、失敗すること、間違えることってとっても大事。

記者 そうなんですね。

白田 例えば夫婦喧嘩の中で、いろんな攻防があるんだけど、子供も成長に応じて反応が変化するんです。例えば、施設の職員だと喧嘩しちゃいけないし、具合が悪い時もないし、酔っ払った姿も見せない。仕事だからそうなりますよね。でも、本当の子育てには、人間のありのままっていうことがとても大事だと思っています。

記者 なるほど。子育てって人間関係の縮図とも言いますもんね。ありのままで子供達とも向き合う白田さんの姿勢態度が伺えますね。

「人は標準から離れているかどうかで評価する。でも、違いが当たり前なら、もっとみんなイキイキと生きられる」

記者 今後どんな美しい時代を作っていきたいですか?

白田 標準とか、普通とかに縛られない社会っていうのが、実はみんなが生きやすい社会なんじゃないかと思うんです。大体、標準から離れているかどうかで人は評価するので。

記者 なるほど、規定にはまらないっていうことですかね。そうなると、どんな社会になりそうな感じですか?

白田 そうですね。保育士の学校に行っていた時に「Normalization」という言葉がありました。老いも若きも、男も女も、障害がある人もない人もみんなが一緒に暮らせて、それが普通である社会っていうのが「Normalization」。それがどういうことなのか、その先生が例え話で言ったのが「車椅子でディスコに行くような感覚だよ」って。

記者 ああ〜、いいですね!みんな違っていて当然な社会。

白田 そうですよね。例えば、男性が男性を好きと聞いても、「あ、そうなんだ」っていうだけでそんなこと悩まなくていい訳じゃないですか。そしたら、みんなが生き生きするなって。だって、いじめって、みんなと違うところがある人がターゲットになる。でも、みんなが違うのが当たり前になったら、いじめる必要もない。そんな社会だったら美しいですよね。みんなそれぞれの個性を自由に発揮して、周りも違いを受け入れて、応援して、その人が生き生きできたら。そのために未だ途上にあるとすれば、里親も含めマイノリティである人が頑張って声をあげて行くことが必要だと思っています。

記者 なるほど。素敵です!!そんな社会一緒に作っていきたいです。今日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございました。


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◇Facebook
https://www.facebook.com/hakuta.yukari

【編集後記】
今回、インタビューを担当した口野と見並です。規定の枠組み縛られず、「様々な違い」を受け入れ、チャレンジし続ける白田さんの生き方は、この変化の激しい時代に必要な勇気や希望を皆に与える、まさに「地球のお母さん」のような存在だと感じました。お忙しい中、お時間をいただき、本当にありがとうございました!


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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。

https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36


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