子どもの学びを充実させるために必要なこと

 昨年末に新しい子育て・教育インフラづくりに挑戦することを綴りました。そして、ありがたいことに、その思いに賛同し、協力してくれる仲間や支援してくれる存在が増えています。本当に嬉しい。

 私たちが最初に取り組もうとしていることを一言でいうと「子どもを取り巻く大人たちに、活き活きしてもらう手助け」です。どうすればそれを達成できるか、ヒアリングをしたり、仮説を立てたり、プロトタイプを作ったりと日々、活動をしています。

 情報が届いていないことによって教育機会が失われているという課題に向き合っているにもかかわらず、なぜ、直接子どもへではなく、周りの大人にアプローチをするのか。それには大きな理由が2つあります。


学びは身近な人から大きな影響を受ける

 1つ目は、周りの大人たちが、その子が過ごす環境を作っており、学びに強い影響を与えていると考えているからです。

 例えば、近年、幼児教育無償化の議論とともに「幼児教育は効果が高い」という話が取り上げられています。その際、引き合いに出される実験では、必ず「非認知能力に重きをおいた教育がなされていた」と言う話が出てきます。「非認知能力」とは「忍耐力」や「社会性」、「創造性」など、学力テストでは測れない重要な能力です。

 この「非認知能力」の伸ばし方について確立されたプログラムはなく「お父さんやお母さんも子どもと一緒になって、いろんなことに興味を持ちましょう」などがアドバイスとして書いてあります。そこだけ聞くと、単なる思いつきに聞こえるかもしれませんが、実際のところ「ピア(Peer)エフェクト」という研究があります。私たちは様々な場面で身近な人の影響を受けているという研究です。

 起業家精神などの話でも、「環境が起業家を育てる」という議論がよくあります。私たちもあるプログラムに参加し、他の起業家たちと活動をしていますが、自分たちだけで取り組むのとは全然違う刺激があります。他にも、付き合う友人によって人生が変わるという人もいますよね(人生の変化に応じて付き合う人が変わっていくという話も)。

 遺伝やその他の影響する要素もあるので、全てを決めるとは言いませんが、身近な人たちの影響は無視できないほど大きいと考えています。なので、子どもの学びを充実させたければ、周りの大人が活き活きすることが大切なのです。


教育機会を受け取る器をつくる

 2つ目の理由は、教育情報を届けようとした時、子どもが小さければ小さいほど、最初の受け取り手は保護者や先生など周りの大人たちだからです。

 より良い情報のストックや、情報が流れるフローが作れたとして、様々な情報を届けることが可能になったとしても、その人たちに受け取る準備ができていなければ、その情報はこぼれ落ちてしまいます。

 ここ数年の活動の中で感じたことは、目の前の子どもたちのために「もっとこうしたい」、「なんとかしたい」と考えている人は決して少なくないと言うこと。ただ、その人たちは情報との接点が少ない上に、新しい情報に触れるための時間や精神的余裕も少ないということです。満杯の器に水を入れても、溢れてこぼれてしまうだけ。まずは器に新しいものを入れる"余裕"を作らなければなりません。

 例えば、日々の仕事や生活の中で、何かを簡略化したり、自動化することを通じて、時間を捻出する。それは本当に手がかかるものを簡単にすることもあれば、ひとつひとつは大した量ではなくても頻度が多いものを減らすことも考えられます。そうやって手が取られていたこと、意識を持っていかれていたことを減らすことで、新しい情報に触れたり、それを試したりする余裕を作りたいと考えています。


まずは乳幼児期からアプローチ

 子どもの学びや子育てシーンは多岐に渡りますが、私たちはまず、乳幼児期に着目することにしました。乳幼児期は子どもの成長への影響が大きいと考えていること、そして、まだ子育てに関する情報をあまり持っていない保護者が多いと考えたためです。

 その時期の子どもたちを取り巻く大人といえば、「保護者」と「保育園、幼稚園の先生」。保護者や先生たちが、どのように子どもと日々、向き合っているか。子どもと向き合う時間を増やすには、どの時間や手間を短縮できるか。それらのヒアリングなどを実施しています。

 一言に幼稚園、保育園と言っても園の方針や規模など状況は異なります。もちろん、ご家庭の状況も人それぞれです。その中でもできるだけ共通の課題を抽出し、それらを解決する仕組みを提案したいと考えています。

 共通の課題を見出すには、より多くの方の状況をヒアリングすることが必要です。少しでも皆さんが子どもに向き合ったり、子どものための環境をよりよくする時間を捻出するために、ぜひヒアリング等へのご協力をお願いいたします。

 子どもたちがより良い乳幼児期を過ごすために。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?