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ビューティフル 【ミュージカルライブ~カルーア~サイドストーリー】

とくのしんは、周りの目も気にせず、「せっかく気持ちよく飲んでたのに、台無しですよ!」と叫んだ。
「声でけぇよ!まだうえしに聞こえるだろ!」
「でもせっかくいい店見つけたと思ったのに、あんな後味悪い…。ぼく、愛植男めっちゃ好きだったのに、なんかやな奴だなって思っちゃいましたし」
「いやまあ確かに、おれも愛植男好きだから気持ちわかるわ。でも、あの店はいつもはあんな店じゃねえんだよ」
「本当ですか?」
「信じてくれよ〜」
「まあ、信じますけど」
二人は横断歩道で立ち止まり、夜中なのに、やけに明るい街に目をやる。
クリスマスのイルミネーションが始まっている。
同時に顔を見合わせる。
ボロボロのTシャツに、しわくちゃのジーンズのとくのしん。
冬なのに半袖の、これまたしわくちゃのTシャツを着た超たくろー。
「イルミネーションを一緒に見る相手として、こいつは最悪だ」と、二人とも思った。

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