『たぶんこれ銀河鉄道の夜』を観て

はじめに

※この見どころ解説・感想は、ヨーロッパ企画様にて実施された、舞台『たぶんこれ銀河鉄道の夜』に関する内容となります。
ネタバレをふんだんに含んでおりますのでご注意ください!

『たぶんこれ銀河鉄道の夜』とは、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をベースに、ヨーロッパ企画の上野誠氏プレゼンツで令和を舞台に新たに創られたコメディです。
3月17日〜4月16日まで公演され、4月23日までアーカイブ配信されております。

あらすじ

美容師のナオ(久保田紗友さん)は要領が悪く、先輩のナツキ(藤谷理子さん)にいつもキツく怒られている。
一方高校の同級生であり同僚のレナ(田村真佑ちゃん)は気が利き、ナオからもナツキからも頼りにされている。
レナとナツキはフェスの前夜祭に行くらしい。一方ナオは残業である。

弁当を買って帰り、母親と食べてると、
弁当が注文したものと違っていた。
ナオは弁当を替えてもらいに、寄り道をしながら弁当屋へ向かう。

弁当屋に行く途中で、ナオは「この流れ『銀河鉄道の夜』だ!」と高校の文化祭でレナと『銀河鉄道の夜』を演じたことを回想する。
そして途中ナツキに会い、ダッカールが服に付きっぱなしであることを指摘される。

弁当屋に着き、弁当を取り替えてもらうよう店員に言ったが、態度の悪い対応をされ、ナオはTwitterに怒りの投稿をする。
それがナツキに勘違いされてしまい、ナオはナツキに言い寄られてしまう。
ナツキが去った後、Twitterの投稿が勘違いされたと気づいたナオは全てが嫌になり、
ジョバンニと同じように丘に身を投げ出した。

気づくとナオは銀河鉄道に乗っていた。
他にもたくさん乗客がおり、口々に「銀河鉄道!?」「これ銀河鉄道ですよね!?」と賑やかに話しはじめる。
乗客の中にはレナとナツキの姿もあった。

そこへ車掌(かもめんたる槇原さん)が現れ、
この列車は主に死んだ人が乗る列車であること、乗車資格が無いのに乗れてしまう人がいるためゲームをしてもらう、と伝える。

そして原作の『銀河鉄道の夜』宜しく、
北十字が見えてきて、そこでゲームが始まるのである。

きっかけ

そもそものきっかけは、乃木坂46の「推しメン」である田村真佑ちゃんになります。
舞台というもの自体は何度か観たことがあるものの、田村真佑ちゃん出演の舞台を生で観る機会は初めてだったので楽しみにしておりました。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』がベースとなっているということで、初回のときは事前にちょっとあらすじを読んだり原作も読んだりしました(全部は読めなかった)。

感想

初めて観たときの感想としては、「わりと銀河鉄道の夜のまんまだ!」と思いました。
作品中では、ナオにはジョバンニ、レナにはカムパネルラ、ナツキにはザネリのイメージが反映されています。
そして原作の場面が形を変えつつたくさん出てきます。
例えばソロキャンプに言ったお客さんが天の川についてナオに聞いているところは、まんま原作で先生がジョバンニに質問している場面に対応しております。
ナオが鼻歌を歌ってると急にナツキが現れるシーンも、原作ではジョバンニのモノローグが終わったところでやはりいきなりザネリが現れ、ジョバンニをからかいます。
このような感じに、原作を知っていると「これは原作のここに対応してるな!」という場面がたくさんあり、より一層楽しめると思います。
なので、もし原作通りに進むなら…ということで物語の結末も予想できておりました。
もちろん途中の部分は予測不可能な展開ばかりでした。
後半は、宮沢賢治の死生観も色濃く反映されていきます。

そして登場人物が皆魅力的です。
例えば、主人公のナオは要領が悪かったり少し抜けてる面もありますが、とにかく友だち想いで親友のレナを大事にしています。あと前半に多いツッコミが面白いです。
レナは気が利くだけでなく雰囲気も明るい、いわゆる「陽キャ」のようなイメージですが、ゲームのクリアには協力的ですし、ナオを凄く頼りにしてます。2回ある回想シーンで特にそれを感じました。
ナツキも嫌な雰囲気は出していたものの、レナを一人にさせないために銀河鉄道に乗っていたので実際には原作のザネリのように単なる嫌なキャラではない存在です。
他の乗客たちにも、それぞれに魅力や見どころがたくさんあります。

チケットは東京・愛知・高知・大阪の4箇所分全部入手することができました。
東京は4/29のトークショー、大阪は大千穐楽も手に入れることができました。
本当は初日も取りたかったのですが仕事の都合上取れず…むしろ他の地方公演でなんとか仕事を調整できたのが奇跡ですが。

見どころ解説

ここから先は私の思う〈見どころ〉について大体時系列に沿って紹介していきます。
原作と対応している部分など、単なる説明は〈解説〉として紹介します。

・〈見どころ〉ソロキャンプ行ったお客さんが天の川についてナオに質問する
→お客さん役は宮崎う大さん。このシーンと蠍の火のエピソードはアドリブになっており毎回ちょっとずつ話す内容が変わっていた。一人だけ無重力男になっていたり、孤独になっていたり、宇宙に行ってたりしていた(確か)。
なお、すでに書いた通り、原作で先生が天の川が何かジョバンニに聞いているシーンと対応している。

・〈解説〉「なんだっけこれ、何かに似ている、けど毎日眠いからよく分からない」
→原作でもジョバンニが眠くて答えられない。

・〈解説〉『きょうの猫村さん』のカーサのやつ
→たぶんほしよりこ氏の漫画『きょうの猫村さん』のスピンオフ『カーサの猫村さん』。

・〈見どころ〉ナオを横目に、ナツキとフェスに行くレナ
→何かを言いたげににナオを見ながら去る。
「あっ…」という声が聞こえてくるよう。
ナオとも行きたい、と思っていたのだろうか。
ナオがナツキに叱られているときも心配そうに様子を窺っている。

・〈解説〉ナオのカットの練習
→原作では、ジョバンニは学校が終わった後活版所でバイトをしていた。
このときもらったのが銀貨1枚。

・〈見どころ〉弁当を買って帰宅
→原作だと病気がちな母親としんみりした雰囲気で会話しているが、本作品ではコミカルな感じになっている。誰が毒親だよ!とかなんとか言いつつ、ナオが弁当屋に行く際には「気をつけてね」と言っている。優しい。

・〈解説〉弁当屋に弁当を取り替えてもらいに行く
→原作では牛乳屋。毎日届くはずの牛乳が届いていなかったので、牛乳屋に直接行き貰いに行く。

・〈見どころ〉ナオとレナの出会い
→これ銀河鉄道の夜と同じ流れだ!となり回想。文化祭でかつて「銀河鉄道の夜」の劇をレナとやったなあ、と思い出にふける。
「結果はそんなだった」が、大事な思い出となる。後で出てくるマラソンのシーンはこのシーンと対比になっている。
「レナは私にとってカムパネルラだった!あの頃は良かった…最近遊べてないけど…」

・〈見どころ〉歌唱パート「影はコムパス」
→鼻歌にしては美麗すぎる。久保田紗友さんの声はこの舞台の雰囲気に凄く合っていると思う。個人的には「僕は立派な機関車だ〜」の部分が好き。
ナオが歌ってるとナツキが急に現れるが、原作ではジョバンニのモノローグが終わったところでやはりいきなりザネリが出てくる。

・〈解説〉ナオがカラオケに行く
→星座の話が出るが、原作では時計屋に星座早見が置いてあり、それを見て色々想いにふけている。
「ほんとうにこんな蝎だの勇士だのそらにぎっしりいるだろうか」は原作のまま。(というか早く弁当屋に行け)
どこか自然ではない、文学的な言い回しがあったら大体原作に対応するシーンがある。

・〈解説〉人魚の都、星めぐりの口笛、青いマグネシヤの花火
→原作に出てくる表現のピックアップ。

・〈解説〉「言い方!」
→Twitterのアイコンが可愛い。
原作でも牛乳屋からややぞんざいな扱いを受ける。
投稿日(10/17)にも何か意味が込められているか探してみたが特に見当たらなかった。

・〈見どころ〉歌唱パート「銀河鉄道へ」
→後ろのプロジェクションマッピングと登場人物達のハーモニーやラップ、リズム感が絶妙に合わさって心地よく、大変素敵なオープニングである。
ナオとレナが背中合わせで歌っているシーンが個人的には好きである。

・〈見どころ〉銀河鉄道!?
→わちゃわちゃしている中で、これから物語が展開していくワクワク感を与えてくれる。
「てかここナツキさんで合ってる?」

・〈解説〉車掌登場
「いい質問です。ほんとうにいいことをしたら、いちばんさいわいです。」
「おっかさんも、ゆるして下さると思います。」
→原作のカムパネルラのセリフのアレンジである。原作では車掌はまだ出てこない。

・〈見どころ〉死の種類
→肉体的な死、精神的な死、社会的な死と、死に方にも色々あるというのがいかにも現代らしい。
乗客の大多数は肉体が無事である。

・〈見どころ〉レナがヤザワに「目つきが気になるからこいつとやりたい」と言われ、「受けて立ちますよ!」と言い返す
→レナいいぞやったれ!

・〈見どころ〉歌唱パート「北十字」
→ハルレヤステップのレナが可愛い。
ちなみに「ハレルヤ」ではなく「ハルレヤ」なのは宮沢賢治が敢えてその表現にしてるらしい。

・〈見どころ〉ゲーム:パン食い
→北十字からパンが降りてくるという序盤のネタポイントである。
ここから脱落フラグが立った乗客たちが過去の炎上を回想〜エゴを出してしまい脱落、という流れがお馴染みのパターンになる。
炎上の内容は色々あり、どこかで見たようなものも多い。
記者会見のシーンでオチ担当のレナのセリフが秀逸である。

ここではレナとナオの機転により、タノウエ以外は脱落せず生き残る。2人とも偉すぎるので好きなパン何でもあげたい。

・〈見どころ〉歌唱パート「プリオシン海岸」
→歌唱パートはずっとレナのターン。動きから言葉まで必見である。「11時」のところが良い。

・〈見どころ〉ゲーム:化石発掘
→学者が登場。原作にも登場した学者・鳥捕り・燈台守・旗の男は原作にかなり忠実でセリフもほぼ原作のままである。
シゲフミから化石の掘り方を学ぶことができる。
「今日食い逃げしてきました!?」ってセリフも、煽りだよ!

・〈解説〉鳥捕り乗車
「あなた方はどちらへいらっしゃるんですか?」「どこまでも、ですかねぇ」
→原作でもジョバンニが「どこまでも行くんです」と言っている。

・〈解説〉燈台守乗車
「ばさばさのマントを着て脚と口との途方もなく細い大将」
→たぶん渡り鳥のことで、「クレームは渡り鳥に言え!」ということを意味していると思われる。

・〈解説〉「奇妙な体と書いて「奇体」だな」
→原作でいつの間にか移動している鳥捕りを見て、ジョバンニかカムパネルラが「ずいぶん奇体だねえ」と言っている。

・〈見どころ〉歌唱パート「鷺を捕まえる」
→鳥捕りの捕獲を後ろで見てる乗客たちの動きが可愛い。

・〈見どころ〉ゲーム:鷺捕獲
→「おまるドローン」という常人にはとても思いつかない概念を生み出した上田誠氏監督は天才である。今までの公演では、ヤザワがたまにおまるドローンを叩くパターンもあった。

・〈見どころ〉アルビレオの観測所
→社長の誕生日パーティーで踊ってるレナが可愛い。ナオは動きが激しい。

・〈見どころ〉切符検札
→ナオが持っていたのは普通の切符だった。
なぜどこでも行ける切符だったのかは考察の余地ありである。
ここではざきしょーとフナキが怪しい動きをしている(ざきしょーがフナキから切符を貰ってるように見える)。まさか不正乗車とかしてないよね?

・〈解説〉海賊船の事故
→ざきしょーが青年ポジション?
ヤザワの「でもそれで銀河鉄道乗れますかね?」は今思うとわりと要点突いていた。

・〈解説〉かささぎ、孔雀、いるか
→原作にも出てくる。ただしいるかは何故か第4稿には出てこないのでおそらく途中で削除されている。

・〈見どころ〉歌唱パート「旗の男」
→レナの「幾組も幾組もめいめいせわしくせわしく鳴いて通って行くのでした」が可愛い。

・〈見どころ〉ナオも楽しもうよ!
→ナオが元気無いのはたぶんレナがナツキとばっかりはしゃいでいるからだろうか?

・〈見どころ〉「私は心持ちをもっと大きく持たなければいけない、だけどどうしてもそれができない」
→結局ナオはナツキを手助けしなかったことが原因で脱落してしまう。どんな判定??
主人公はこの手のデスゲームで最後まで生き残るものだろうという先入観を見事に破られる。(結局復活するけど)
まあ普段からそんなトゲトゲしく当たられたら、アシストなんてできないよね…という共感もある。
原作でもジョバンニが「僕はもっとこころもちをきれいに大きくもたなければいけない」と言っている。

・〈見どころ〉コスガが地上で目を覚ます
→この辺りから地上も含め色々な場所で物語が同時に進行し始める。

・〈見どころ〉「私たちは一緒に走ろっかを文字通り成し遂げた、宇宙で最初のJKになった!」
→最初の方にナオが文化祭の場面を回想したが、今回はレナが主体である。
マラソン一緒に走ろう、とレナがナオに提案する。
実は文化祭でもレナが「むしろ一緒にやりたい」とナオに言っていた。物語中ではナオが結構一方的にレナと一緒にいたがってるシーンが多いが、レナも同じであることが分かる。レナにとってナオは「一緒にやれば何でもやり遂げられる存在」なのかもしれない。
「ここでもナオは私のジョバンニで、私はカムパネルラだった。」

・〈見どころ〉とうもろこし畑でナオとシゲフミが再開
→ナオがめんどくさそうな表情をしている。
「レナが良かったな…」と思ってるに違いない。
ここらへんからシゲフミの魅力がたくさん出てくる。

・〈見どころ〉「私、ジョバンニじゃないんで」「私、カムパネルラじゃないんで」
→高校の文化祭でそれぞれ役を演ったのもありお互いジョバンニとカムパネルラを意識していたが、ナオはジョバンニと、レナはカムパネルラと違う部分を意識し始める。また石炭袋の直前で再認識する。

・〈見どころ〉銀河鉄道を追いかける
→シゲフミがデリバリースクーター的なものを召喚し、ナオとシゲフミが自力で銀河鉄道を追いかける。新世界交響楽が流れて2人で顔を合わせるところが良い。
原作でも新世界交響楽が流れる。もしかして原作のインデアンに当たるのがこのスクーター?(たぶん違う)

・〈見どころ〉ナツキさん、今押しましたよね!?
→まさかの展開である。

・〈見どころ〉銀河鉄道にナオ、シゲフミが追いつく
→ナオの「魂の良し悪しってゲームで測れるんですかあ!?」は穏やかで優しいナオが唯一ケンカ腰になるシーンである。
車掌がここで脱落するが、ゲームマスターが脱落するデスゲームはなかなか無いかも?

・〈見どころ〉「早く決着つけようぜステゴロでもいいからさ」
→レナがちょっと乗り気である。

・〈見どころ〉ヤザワ→宮沢賢治本人であることを明かす
→そう来るか!という展開である。伏線らしい伏線も無かった気がするのでこれは気づかない。
ここからの物語は宮沢賢治の死生観が全開になる。

・〈解説〉宮沢賢治ネタ
「雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズやらせてもらってます」
→『雨ニモマケズ』。
「下の畑におります…いや上の列車におります」
→賢治の私塾「羅須地人協会」の黒板に書いてあった『下ノ畑ニ居リマス』。塾を留守してますということ。
「どっどど どどうど どどうど どどう 信じられる?これ風の音なんだぜ」
→『風の又三郎』。

・〈見どころ〉ざきしょー動画配信
→最初は嫌がってた賢治だったがなんだかんだ言いくるめられて乗り気になるのであった。
ざきしょーの不正乗車が発覚したときに「中止!コラボ中止!」と言ってるのでちょっとその気あったようである。
シゲフミとの因縁の対決が勃発する。

・〈解説〉ギーギーフー
→原作「それから彗星がギーギーフーギーギーフーて云って来たねえ。」

・〈見どころ〉歌唱パート「蝎の火」
→レナが凛々しい表情をしている。格好いい。

・〈見どころ〉蝎の火のエピソード
→賢治が途中からアドリブで話すので毎回内容が変わる&ほとんど記憶に残らない。高知公演あたりからは蝎がしっぽの針と話してることになってる。シュールな状況なので乗客たちもちょっと笑ってる。
でも実は大筋は原作と一緒である。
ここからそもそもゲームでは無くなり、ただの自己犠牲チャレンジになる。

・〈見どころ〉ねえ、帰ってほしいんですけど!
→最後までレナを送り届けたい一心であるナオ・ナツキと、2人を巻き込みたくないレナ。
重苦しい雰囲気が漂う。

・〈見どころ〉ケンタウルの祭り到着〜歌唱パート
→賢治が後ろでマラカスをシャカシャカしてる。

・〈解説〉「蝎は星になった!よだかも星になった!」
→『よだかの星』

・〈見どころ〉ナツキ離脱
→「辛く当たってごめん」とナツキが謝り、ようやくナオとナツキの互いのわだかまりはここで解消されたものと思われる。
レナをナオに託し、ナツキは離脱。
レナの「ありがとうございました!」は、文字通り今までの感謝のことを言っているものと考えられる。
「うちらの神様、サロンにいるから」と言うのは、お客さんのことだろうか?

・〈見どころ〉シブサワ再登場
→賢治のツッコミが面白い。

・〈解説〉「農民は己の中に銀河系を意識しなければならない」
→『農民芸術概論綱要』より、「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである」。

・〈見どころ〉駆けつける脱落組
→どうやって駆けつけたのかは謎である。

・〈解説〉「注文多いな…料理店かい!」
→もちろん『注文の多い料理店』。

・〈見どころ〉歌唱パート「南十字」
→おもむろに立ち上がる車掌を見てびっくりするレナとナオ。

・〈見どころ〉やっと2人きりになれたね!
→ずっとこの時を待っていたと言わんばかりのナオとレナ。レナに残された時間はごく僅かしかなく、温かくも切ない空気が流れる。

・〈見どころ〉「ううん、カムパネルラ。レナは私のカムパネルラだよ!」「ありがとう、ナオも、私のジョバンニ!」
→レナが過去いじめグループに属しており「実はザネリなの」と明かしたことに対して。
ナオは「自分はジョバンニじゃない」、レナは「自分はカムパネルラじゃない」とそれぞれ自覚していたのだが、レナにとってナオはジョバンニ、ナオにとってレナはカムパネルラなのである。結局最後までお互いを信じ続け、裏切らなかった。

・〈見どころ〉「死にたくないなぁ…」
→本当に聞くのが辛いセリフで、ここまでの物語の流れからのこの言葉なので、計り知れない重みがある。レナのやりきれなさを案ずると…。
原作のあらすじを知っていたのである程度覚悟はできていたが、それでも辛かった。
2人にとっての本当の幸いは、まさにお互いの存在そのものなのだろうと思う。

・〈見どころ〉歌唱パート「石炭袋」
→切なく静かな雰囲気で統一するのではなく、本編一熱く畳み掛けるような流れだが、それがより一層ナオとレナの別れの切なさを強調している。
2人だけでの歌唱→原作のジョバンニ・カムパネルラのセリフ→ナオとレナがいつの間にか別れ、登場人物が全員集合していき徐々に厚みを増していく語りパート
というように展開していき、銀河鉄道での物語は締めくくられる。
伊藤忠之氏もTwitterで話していたように、劇場で直接浴びることでこの歌唱パートのエモーションを感じられて良かった。

・〈見どころ〉もう少し地上で頑張ってみる
→レナがフェスの事故に巻き込まれ、意識不明であることをナツキから伝えられる。
銀河鉄道での経験を経て成長し、ナオは頼もしくなった。
ザネリと和解する世界線になっているところが原作と異なる点であり、素敵な点である。
弁当を持って一旦家へ帰るのは原作と一緒である。

以上、長くなりましたが見どころになります。
アーカイブ配信は4/23まで観られるので、まだ観てない方は是非一度、既に観た方もきっと観るたびに新たな発見があるのでもう一度観てみてください!