ハイレモンの二重の罠


無性にハイレモンが食べたくなったので、美容院の帰りに、最寄りのスーパーに足を運んだ。

少し前に、ハイレモンの入れ物の形は、箱に入ったものから、よくあるグミなどのような、あの袋に入れられるように変わっていたと記憶していた。
もう錠剤のように食べる、あの遊びはできないのだな、と少し寂しく感じていたため、よく覚えている。
本当はそれは少し間違っていて、調べたところハイレモンミニという商品だけがあの袋に入って売られていたので、箱で錠剤型のハイレモンが生きていた可能性はあるのだけれど。

私はあのハイレモンを追い求め、スーパーのお菓子売り場を覗いた。
所狭しと並ぶグミ、ガム類の中に燦然と輝く黄色がある。
記憶の中にあるハイレモンそのものであった。少なくとも、私の中では。

迷うことなく購入し、帰路につく。この時私の頭の中には、パリパリとした食感とあのレモンの味しか考えていなかった。

自室の中で袋を開き、中身のハイレモンに触れる。
しかし、そこにあったのはあの固さと冷たさではなかった。
ぷに、とした食感のぬるりとした冷ややかさであった。

パッケージを見直した私は、これがハイレモングミであったことに、ようやく気付いたのであった。


今や、ハイレモンは箱型ではないという先入観。
そこに追い討ちするかのような、全く同じ袋のグミの存在。
ああ、負けた、と思った。勝てないな、とも。
不思議と、悔しくはなかった。ただ、ハイレモンを食べられなかった寂しさをハイレモンの味がするグミから感じていた。

この日記を書くにあたって、ハイレモンについて検索したところ、ハイレモンの名を関する物は、もう生産が終了していた。
これから見かけるハイレモンは全て、生き残りだということを知ってしまったのだ。あとヨーグレットも。

今日もどこかでハイレモンは静かに絶滅しているのだろうか。
どうか安らかであることを、願うばかりである。

追記:
ハイレモンは生産終了ではなく、明治での販売が終了するだけであった。
現在はアトリオン製菓から販売されているので、まだまだハイレモンはこれからの時代を生きていく。

ハイレモンは!終わらねぇ!!

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