マガジンのカバー画像

“奇をてらう”空間デザインの手法

24
「奇をてらわない」というデザイナーはたくさんいるが、「奇をてらう」というデザイナーはなぜかいない。 「奇をてらう」意味: わざと普通と違っていることをして人の注意を引こうとする。…
運営しているクリエイター

#20年間の仕事をふりかえる

20年の仕事をふりかえる11

予備校にデザインが必要なの?と皆さんは思うかもしれない。 弊社は十数年にわたり松尾学院さんの運営する東進衛星予備校の校舎を多数設計してきた。東進はフランチャイズ制で、各地のフランチャイジー加盟校が全国で校舎を展開している。それぞれの校舎を別々の経営会社が運営しているので、東進衛星予備校どうしもライバル企業ということになる。少子化の影響もあり、加盟校どうしの生徒争奪戦は過酷なものとなっている。東進は録画された授業をインターネットを通して受けるシステムなので、どの加盟校でも同じ授

20年の仕事をふりかえる9

【2008年/神戸かまどダイニングSAKURA】 神戸ハーバーランドのショッピングモールモザイク2階、海に臨むロケーションに位置する和食店。 ファサードは全面ガラス張りで内装のデザインそのものがファサードを演出している。 エントランスを入ると全長約8メートルの巨大なかまどが横たわり、目の前で板前たちが調理をし、その蒸気、匂い、音が店内を活気づけ、食への期待を膨らませる。 かまど前の路地を進むと石庭があり、そこにランダムに配置された箱状の個室「SAKURA-CUBE(サク

20年の仕事をふりかえる8

【2007年/結婚式場】2019年にチャペルを設計させて頂いた結婚式場ラヴィーナさんには随分昔から(父の代から)お世話になっている。姫路の式場の大規模な改装をご依頼頂いて以来、数年に渡り加古川、大阪、和歌山など立て続けに改装を担当させて頂いた。 写真は2007年に改装した和歌山のエントランスホールと大阪のウェルカムホール。 改装前はかなりクラシックな空間だった。モダンな空気感を持たせながらも最初に訪れた時に感じた空間の重みを残したかった。和歌山では図面に床の仕上げを記入し

20年の仕事をふりかえる6

【2005年/ 滝壺のあるお好み焼き屋さん】 ホームページでこのお店を見たオーストラリアの飲食店オーナーから、ゴールドコーストにオープンする100坪のファインダイニングの設計をご依頼を頂くという、転機となったプロジェクト。 設計を始めて間もない頃に設計させて頂いたお好み焼き店「ちゃんどら」さんの2号店。建設会社の事務所が撤退した後の建物を改装した。 2階の床板に穴を開け、2階の水盤から1階へと落ちる滝壺を作り、そこからエントランスへと水が流れる。 壺に入れたソースをこ

20年の仕事をふりかえる 5

【2004年/ 初の設計監理案件】 三木市、鉄骨造の中華料理屋さん。これまで設計施工一括で引き受ける案件ばかりやってきが、このプロジェクトでは初めて設計と監理のみを引き受けた。チーム皆が最初から同じ場所を目指している自社設計施工の場合に比べて、思い通りにいかないことも多い。最近は設計監理や意匠監修という立場で仕事をする機会も多くなった。 ちなみにこの中華料理屋さんは十数年経った今でも、ランチタイムには行列ができる息の長い繁盛店。設計させて頂いたお店がずっと繁盛してくれること