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“奇をてらう”空間デザインの手法

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「奇をてらわない」というデザイナーはたくさんいるが、「奇をてらう」というデザイナーはなぜかいない。 「奇をてらう」意味: わざと普通と違っていることをして人の注意を引こうとする。…
運営しているクリエイター

#店舗デザイン

20年の仕事をふりかえる12

【2011年/居酒屋つのふり】 奈良、東大寺に程近い映画館跡のリノベーションでした。映画館であったため、床全体が傾斜していました。床をフラットに作り替えることなく、そのまま物件の個性を生かし、川の流れる庭園に客席を作ることにしました。 庭園に面した巨大な鏡面壁には寺院を模した線画が描かれておりり、鏡面の一部が開いて宴会場へとアクセスできるようになっています。  居酒屋つのふり写真ページ↓ 店舗デザイン KTXアーキラボ オフィシャルページ

20年の仕事をふりかえる 10

【2009年/オーストラリアTEN】 🇦🇺ゴールドコーストの鉄板焼・鮨のお店 Japanese Fine Dining TEN 「天」という屋号からインスパイアされたデザイン。初めての海外大型案件だった。約100坪の店内はバーエリア、ラウンジエリア、鉄板焼きエリア、鮨エリア、VIPルームに分かれており、巨大なステンレス製ワインセラーや建具、石造のカウンター、ガラステーブル等は日本で制作し、船便で輸送した。 「天」とは天国の天であり、天地の天、つまり宇宙を意味する。古くよ

20年の仕事をふりかえる9

【2008年/神戸かまどダイニングSAKURA】 神戸ハーバーランドのショッピングモールモザイク2階、海に臨むロケーションに位置する和食店。 ファサードは全面ガラス張りで内装のデザインそのものがファサードを演出している。 エントランスを入ると全長約8メートルの巨大なかまどが横たわり、目の前で板前たちが調理をし、その蒸気、匂い、音が店内を活気づけ、食への期待を膨らませる。 かまど前の路地を進むと石庭があり、そこにランダムに配置された箱状の個室「SAKURA-CUBE(サク

20年の仕事をふりかえる7(16年前)

【2006年/キルビルを再現したパチンコ店】 パチンコ店ランドマークEXのリノベーション。パチンコ店はやはり入店時にテンションが上がる方が良い。 映画が好きで、いつもを色んな映画を見ながら空間のコンセプトを練るが、(そう言えば昔、空間作りは映画制作に似ていると、うちの親父も言っていた。)この頃はタランティーノにハマっていてキルビルの影響がモロに出た案件。キルビルの誇張した和の世界観に惹かれた。 エントランスの土間を掘り下げ、強化合わせガラスの床下に石庭を作った。頭上を鏡

20年の仕事をふりかえる6

【2005年/ 滝壺のあるお好み焼き屋さん】 ホームページでこのお店を見たオーストラリアの飲食店オーナーから、ゴールドコーストにオープンする100坪のファインダイニングの設計をご依頼を頂くという、転機となったプロジェクト。 設計を始めて間もない頃に設計させて頂いたお好み焼き店「ちゃんどら」さんの2号店。建設会社の事務所が撤退した後の建物を改装した。 2階の床板に穴を開け、2階の水盤から1階へと落ちる滝壺を作り、そこからエントランスへと水が流れる。 壺に入れたソースをこ

20年間の仕事をふり返る3

【18年前: 鉄板焼 憩家】 初めて月刊商店建築さんに掲載して頂いた思い出深い案件。天正三木屋さんに続き、ここでは壁面を伝う滝を作った。 エントランスに一部生簀を兼ねた池を作り、池に渡したガラスの橋を歩いて店内に入る。水中ポンプで壁の上端まで池の水をポンプアップし、そこからオーバーフローさせて水を落とす。やはりここでも水の動きに悩まされた。 石貼りの壁全体的にまんべんなく水が流れてほしいのに、水は束になって枝分かれして落ちる。水を流した瞬間「なんでやねん」となった。オーバ