【論文紹介】Watch Less and Uncover More: Could Navigation Tools Help Users Search and Explore Videos?

文献情報

タイトル:Watch Less and Uncover More: Could Navigation Tools Help Users Search and Explore Videos?
著者:Maria Pérez Ortiz, Sahan Bulathwela, Claire Dormann, Meghana Verma, Stefan Kreitmayer, Richard Noss, John Shawe-Taylor, Yvonne Rogers, Emine Yilmaz
会議:CHIIR 2022

概要

動画の検索・探索用インタフェース「Content Flow Bar(CFB)」を提案。CFBでは、動画のサムネイルが並んだ検索結果の画面上で、動画中の各セグメントが関連するトピックを見ることができる。26名がCFBのあるシステムとないシステムで実験タスクに取り組み、CFBがある方が動画を見て適合性を判断する時間よりも検索結果画面上で探索することで適合性を判断する時間が増え、最初の適合動画を見つけるまでに閲覧する動画数が少なくなったり、検索結果のより下位まで探索したりすることを示した。

従来研究との差異

クラウドソーシングを用いて動画内のセグメントにラベル付けするシステムは提案されているが、人手を要するのでスケールしない問題がある。最近では深層学習ベースで自動的にラベル付けするシステムも提案されているが、ユーザスタディによる有用性の検証は行われていない。CFBはWikipediaのデータを使ってトピックを付与するためスケール面の問題はなく、ユーザスタディによる検証も行っている。

Content Flow Bar(CFB)

CFBでは、動画内の発話を約5,000文字(約5分)ごとのセグメントに分割し、WikifierというWebサービスを用いて各セグメントのトピックに相当する単語を割り当てる。ユーザが動画を検索すると、下図のように動画のサムネイルが並んだ検索結果が表示される(図は論文より引用)。各サムネイルには、セグメントで分割されたバーが表示され、各セグメントに関連するトピックと、トピックの説明文を見ることができる。検索クエリと関連度の高いセグメントは明るい色で表示される。検索結果を選択すると、一般的な動画プレイヤーがポップアップで表示される。

実験

教育経験のある26名(大学生、ポスドク、大学教員)を対象に実験を実施。「気候変動」と「機械学習」をテーマとして、各テーマに興味を持っている人の学習用の動画を4件見つけるタスクを用意。各被験者はCFBのあるシステムとないシステムの両方でタスクに取り組む。実験時には検索クエリは入力させず、テーマに関連する動画が検索結果として18件並んだ状態からタスクが始まる。そのため、検索クエリと関連度の高いセグメントが明るい色で表示されるCFBの機能は使われていない。CFBの有無に関わらず、検索結果の画面上で動画のシークバーにマウスカーソルを置いてサムネイルを見ることができる。
CFBの有無で行動の違いを比較すると、CFBがある方が検索結果画面の滞在時間が長く、動画の閲覧時間が短かった。これは、CFBが無い場合は動画の適合度を調べるために動画を閲覧する必要があるが、CFBがあると各セグメントのトピックが分かり、明らかに不適合な動画を閲覧する必要がなくなるためである。さらに、CFBがあることで、1件目の適合動画を見つけるまでに閲覧する動画の数も減り、検索結果のより下位の順位まで探索することも明らかになった。
アンケートも実施し、大半の被験者がCFBは直感的に使えて、動画をより容易に発見できるなどポジティブな反応であった。

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