【論文紹介】Do Loyal Users Enjoy Better Recommendations?: Understanding Recommender Accuracy from a Time Perspective

文献情報

タイトル:Do Loyal Users Enjoy Better Recommendations?: Understanding Recommender Accuracy from a Time Perspective
著者:Yitong Ji, Aixin Sun, Jie Zhang, Chenliang Li
会議:ICTIR 2022

概要

ユーザにアイテムを推薦するとき、直感的には消費アイテム数の多いユーザの方が、好みを高い精度で推定できて推薦精度も高くなるように思われるが、その直感に反して、消費アイテム数の少ないユーザの方が推薦精度が高いことを示した。同様に直感に反する結果として、サービスの利用歴の長いユーザよりも短いユーザの方が推薦精度が高くなる傾向にあることも示した。さらに、推薦するタイミングとより近いタイミングでアイテムを消費しているユーザほど推薦精度が高くなることを示した。

従来研究との差異

ユーザがより最近消費したアイテムを考慮することが重要であるという仮定のもと推薦モデルを提案する研究は行われてきたが、そうした時間的要素(ユーザの活動期間や、ユーザが最後にアイテムを消費してから推薦結果を生成するまでの期間)の推薦精度への影響を調査している点に新規性がある。

実験

推薦手法として5種類を使用。うち3種類(BPR、NeuMF、LightGCN)はアイテムの消費順序は考慮しない手法で、2種類(SASRec、TiSASRec)はアイテムの消費順序を考慮(より最近消費したアイテムを重視)する手法である。データセットは4種類(MovieLnes-25M、Yelp、Amazon-music、Amazon-electronic)を使用。各データセットから10年分の消費ログを抽出。各ユーザの最後の消費アイテムをテストに使用するleave-one-outを採用。
アイテム消費数の上位50%下位50%でユーザを2グループに分けて推薦精度を比較すると、推薦手法とデータセットによらず、概ね下位50%のユーザの方が推薦精度が高かった。
ユーザが初めてアイテムを消費してから推薦結果を生成するまでの期間(活動期間)の上位50%と下位50%でユーザを2グループに分けて推薦精度を比較すると、アイテムの消費順序は考慮しない3手法では、活動期間が短い下位50%のユーザの方が推薦精度が高かった。アイテムの消費順序を考慮する2手法では、大きな差はなかった。
推薦結果を生成するタイミングと、最後にアイテムを消費したタイミングの近さでユーザを上位50%と下位50%の2グループに分けて推薦精度を比較すると、タイミングが近い(最後にアイテムを消費してから推薦結果を生成するまでの時間が短い)上位50%の方が全ての手法とデータセットで推薦精度が高かった。


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