【論文紹介】CPFair: Personalized Consumer and Producer Fairness Re-ranking for Recommender Systems

文献情報

タイトル:CPFair: Personalized Consumer and Producer Fairness Re-ranking for Recommender Systems
著者:Mohammadmehdi Naghiaei, Hossein A. Rahmani, Yashar Deldjoo
会議:SIGIR 2022

概要

コンテンツの消費者と製作者の双方の公平性を考慮した推薦手法を提案。消費者側は、アクティブな消費者群と非アクティブな消費者群で推薦精度の差が小さくなるような公平性を実現する。製作者側は、人気のアイテム群と不人気のアイテム群で推薦頻度の差が小さくなるような公平性を実現する。実装はGitHubで公開されている。

従来研究との差異

推薦の公平性を扱った従来研究の49.1%は消費者のみの公平性、41.8%は製作者のみの公平性を考慮しており、両者の公平性を扱った研究は9.1%に限られる。さらに、その9.1%には推薦結果の分析のみを行ったものも含まれており、公平性を実現する推薦手法を提案した研究は3.6%とさらに少なくなる。本研究の手法は、消費者と製作者のそれぞれでグループ間の公平性を考慮している点、さらに両者の公平性を一つの目的関数で同時に最適化する点で新規性がある。

手法

あるデータセットにおいて消費数の上位5%の消費者をアクティブ消費者、それ以外の消費者を非アクティブ消費者とすると、複数の推薦手法でアクティブ消費者の方が推薦精度(nDCG)が高かった。また、消費数の上位20%の人気アイテムをヘッド、それ以外のアイテムをテールとすると、複数の推薦手法でヘッドのアイテムの方が推薦される頻度が高かった。このように、消費者群間、アイテム群間で公平性が満たされていないことが事前の分析から明らかになった。

消費者については、アクティブな消費者群のnDCGの期待値から、非アクティブな消費者群のnDCGの期待値を引いた値が0に近ければ公平性が満たされているとし、DCFという指標として導入。アイテムについては、ヘッドのアイテム群の推薦頻度の期待値から、テールのアイテム群の推薦頻度の期待値を引いた値が0に近ければ公平性が満たされているとし、DPFという指標として導入。各ユーザに対する推薦スコア上位N件のアイテムを並び替えてK件のアイテムを推薦する問題を設定し(K<N)、推薦されたアイテムの推薦スコアの和からDCFとDPFを引いた値を最大化するという混合整数計画問題として定式化。

実験

8種類のデータセット、4種類の推薦手法を用いて提案手法の有用性を検証。提案手法では消費者のみの公平性を考慮する(DCFのみ考慮)ことと、アイテムのみの公平性を考慮する(DPFのみ考慮)こともできるが、両者を考慮することが、両者の平均的な公平性を満たすうえで最も望ましいことを示した。また、提案手法では推薦精度がほとんど変わらないことも示した。

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