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雨漏れを防ぐ、「防水」と「雨仕舞い」

建物の中に雨水が入り込まないようにしたり、雨漏れを防ぐ方法には、「防水」と「雨仕舞い」の二つのものがあります。
ひと昔前と比べてここ数年で雨の量や台風などの風による影響で自然災害も増えつつあり、また猛暑の影響で建物にかかる経年劣化の早さも進んでいると思います。そんな理由からもこれからは「防水」+「雨仕舞い」、この二つをうまく使いこないし合わせることで雨水から建物を守る一つになるんじゃないかと思います。

そもそも「防水」と「雨仕舞い」の違いって。。。
ぼくが雨仕舞いのバイブルにしている、石川廣三さんの著「Q&A 雨仕舞いのはなし」にわかりやすく書いてありますが、
「防水」とは、防水層やシーリングなどの防水剤を使って、雨漏れ箇所、雨水が入りそうなところを塞ぐことを「防水」とあります。

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↑ウレタン塗膜防水。穴が開いていれば、そこから雨水が入ってしまうので、雨水が入り込むところを全て塞いでしまうのが、この「防水」という働きです。

そして「雨仕舞い」とは、雨水を建物に当てない・流さない・溜めない方法や、雨水が穴を通って移動させないようにするか雨水が途中で止まるようにする。と書いてあります。
要は、「雨水を近づけないようにすること。」です。
雨水が入り込みそうな穴という穴を塞ぐ防水と違って、雨水を近づけない「ように」することが大切。なので、材料の形状や取り付け位置などの組み合わせ「工夫」がされているということです。

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雨仕舞いの一つで代表的なものが、↑水切りというものがあります。
写真のように①から雨水が流れ、②の水切りに雨水が到達した時に、③の位置で雨水を流せるような工夫がしてあることで、建物に雨水が近づけないようにするのが、「雨仕舞い」の働きの一つです。

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また屋根の軒先の出を大きくしてあげることで、雨水が外壁に当たらないようにすることも「雨仕舞い」の工夫の一つです。
玄関前の庇なども入り口で雨水が吹き込まないようにするのも、「雨仕舞い」の考え方の一つだと思います。

「防水」は雨風・紫外線にさらされるので経年劣化しやすい材料ですが、「雨仕舞い」は雨水を近づけないような工夫がされているので、経年劣化の影響はあまり受けません。
が、「雨仕舞い」の雨漏れするよくある例の一つに、「雨仕舞い」の水切りは決まったサイズ・長さになることがあります。そして、この水切りと水切り繋ぎ合わせる「隙間」が生まれてしまい、この「隙間」から雨水が入り込み、雨漏れが発生することがよくあります。
この例の解決として、水切りと水切りの隙間を「防水」となるコーキングで埋めてあげることで、雨漏れがなくなることがあります。

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赤丸のところは水切りを繋ぎ合わせる「隙間」ができてしまっているので、コーキングで埋めてあげることで、「隙間」が無くなります。(二次防水の捨てコーキングという考え方にもなります。)

築年数の経った建物ではよくこういった雨漏れの原因がよくあります。
やはり、一昔前と比べて雨水の量が増えことや台風などの強風の影響など、環境が変わってきた原因もあり、一昔前の「雨仕舞い」だけでは雨漏れを防げないこともあります。
また反対に経年劣化をおこしやすい「防水」だけでも雨漏れを防げないこともあります。
「防水」+「雨仕舞い」それぞれのいいところも悪いところもカバーしながら、この二つがうまく合わさることで、雨漏れを防ぐ効果となり、少しでも長持ちする建物になるかと思います。

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