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建物を守る最後の防波堤、二次防水

建物から雨漏れを防ぐ方法には「一次防水」と「二次防水」という防水・止水作業があります。「一次防水」は建物の外から目でみて確認できる部分で、屋根材や外壁材、コーキングなどが一次防水となります。
そして新築時はもちろん、改修や建物を増築するリフォームをする際、特に気をつけないといけないのが、「二次防水」です。
「二次防水」は一次防水で防げなかった雨水を建物内に侵入させないようにするための、最後の防波堤の役割を果たします。なので、この「二次防水」の仕方次第で建物から雨漏れをどれだけ防ぐことができるのかがかかっているかと思います。

一次防水、

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「一次防水」は建物の外から見える部分で、建物を雨水から最初に守ってくれる屋根材や外壁材のことです。瓦・スレート・金属屋根などの屋根材やサイディングやモルタル壁やALCなどの外壁材、隙間を埋めるコーキングも一次防水の役目となります。一次防水は、紫外線や雨風により経年劣化おこしてヒビ割れなど防水・止水の働きが落ちてしまいます。
一次防水は目で見えるところなので補修方法が見つけやすいです。

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↑コーキングがヒビ割れをおこしているので、雨水が侵入しやすいです。
補修方法やメンテナンスの時期がわかりやすいと思います。

そして二次防水。一次防水では防げなった雨水を防ぐためのもので、屋根材の下に敷くルーフィングや外壁材を張る前の透湿シートなどがあります。

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↑屋根材の下に敷く、アスファルトルーフィング、

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外壁材の下に張る、透湿シート。
アスファルトルーフィングや透湿シート以外にも二次防水の役目をするものがあります。

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↑一次防水でも使われるコーキングも二次防水としての役目をします。

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↑仕上げの水切りを取り付ける前の捨て水切りと、気密性・防水性の高い不織布でできたブチルテープ。
など、二次防水と言ってもいろいろなものがあります。
一次防水と建物の間にあり、どれも建物内につながる隙間を埋めるものが二次防水。
二次防水とは、雨水から建物を守る最後の防波堤。

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↑屋根を増築したある物件の外壁と新しい屋根の取り合い。赤矢印のところに隙間ができてしまいます。

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アスファルトルーフィングを敷くことで、屋根材の下地となる大きなところの二次防水は完了です。が、赤丸のところには外壁とルーフィングの間に隙間が残っています。ここを、

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気密性・防水性の高いブチルテープで塞ぎます。50ミリ幅のテープなので、ルーフィングでは塞ぐことができない細かい箇所もブチルテープを併用することで隙間を埋めることができます。

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ちなみに今回の物件では念には念を入れて、ルーフィングを敷く前に、屋根材と下地となる野地板と外壁の隙間にコーキングを打ってあります。

コーキング +アスファルトルーフィング+ブチルテープ。3つの工程で仕上げた二次防水。この3つ二次防水が出来上がることで一次防水となる屋根材葺き、新しい屋根材と外壁材の取り合いをコーキングで止水します。

一次防水となる屋根材・コーキングが経年劣化をおこして雨水が入ってきたとしても、最初の二次防水となるブチルテープが雨水を防ぎ、アスファルトルーフィングに雨水がつたい、屋根材の下を通って雨水が外に出てくれる仕組みが今回の二次防水となります。

一次防水が経年劣化をおこしても二次防水がしてあれば、即雨漏れにつながらず、二次防水が延命処置の役割をしてくれています。二次防水に侵入して雨水がたまると腐食してしまい、結果雨漏れの原因につながってしまいます。
一次防水の経年劣化具合でメンテナンス補修が安価ですみます。が、二次防水から雨漏れしてしまうと、屋根材・外壁材をめくることになり、大幅なコストアップにもつながってしまいます。
いつまでも雨漏れを防いでくれる二次防水には、入念な作業が必要です。


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