見出し画像

今もなお残る、銅の風格。

雨樋には、塩化ビニル製や、アルミ、ステンレス、ガルバリウム鋼板など、実は多く素材が使われています。その中でもごくたまに銅製の雨樋が使われていることがあります。和風の建物によく見られ、立派な外観とよくマッチした、高価な銅製の雨樋。今では塩化ビニル製の雨樋が主流なので、あまり見かけることは少なくなってきました。
が、施工するのに技術も必要で材料自体も高額で使用すると自然とコストがかかってしまう銅製の雨樋が今なお残る理由があります。

銅の樋「今日の午後にでも雨が降ってくる予報でてるなぁ。明日は本降りの雨か。。。しっかりと降りそうだな。明日は屋根から雨水がいっぱい届きそうだから今のうちに準備でもしておくかな。
そう言えばお隣の塩ビさん、このあいだの雨の時、途中で漏れちゃってたけど大丈夫かい?」

塩ビの樋「銅さん、こんにちは。いや〜参りましたよー⤵︎。前々からちょっと痛いなぁ〜って思ってたんですけどね、まさかあのタイミングで漏れちゃうとは。。。おかげで身体中がびしょびしょになっちゃいました。年ですかね〜他にもガタがきちゃってて。あっ!でも銅さんは、僕より20才も上なのにまだまだ元気ですよねー、の割にドッシリとした風格もあるし。」

銅の樋「そうかな?まぁでも、ここにきてから確かに一度もメンテナスしてないね。」

塩ビの樋「えー!?マジっすか!一度も!?僕なんかここにきてから2回メンテナンスしてますよ!!」

銅の樋「2回もしてるんだ。もともとの作りが塩ビくんとは違うからね。塩ビくん、暑さに弱いでしょ?時々だらっとしてる時あるよね?笑。その点僕は暑さにも強いし、若い頃こそ眩しいぐらいピカピカの時があったけど、それも年げつが経ってくるうちに、褐色から今の青緑色に変わってきて、周りからもいい感じになってきたって言われるよ。」

塩ビの樋「お恥ずかしいです。。。あれだけ暑いと伸びちゃってそこにあのゲリラ豪雨ですよ?ガタがきた所に負担がかかっちゃって、漏れちゃいました。それにあれだけ紫外線がきついと色艶もくすみやすくて、、、
銅さんの青緑色!自然の賜物ですよね!僕には絶対できないです!」

銅の樋「ありがと。昔はこの辺りにも僕と同じ銅の方は居たんだけどね、時代の流れなのか酸性雨のせいなのか、今ではこの辺りにある銅は僕一人だよ。」

塩ビの樋「酸性雨ですか?」

銅の樋「そう。酸性雨で酸化して穴が開くことがあるからね。それに僕、いい所の出じゃん?みんな敬遠するんだよね。」

塩ビの樋「いい所の出。笑 僕の友達そこら中に居ますよ!ホームセンターにもいるし、僕の周り塩ビだらけですよ。その中で唯一の銅さんですよ!」

銅の樋「今じゃどこも塩ビくんの友達ばかりだけど、僕も塩ビくんも屋根から届く雨水を外に持っていくことは同じ仕事だから、これからもお互い頑張ろうよ。」

塩ビの樋「ですね!これからもよろしくお願いします!」

という妄想の中、昔は銅の樋がよく使われていたそうです。が、銅の価格が上がってしまい、価格の安い塩ビ製の樋が今では主流になってきました。
銅の樋は、錆びにとても強くめったに歪んだりすることがなく耐久性も高いです。また年げつが経つにつれ色合いが変化するので、軒先の表情を楽しむことができ、色あせることで建物に風格を与えることができます。
コスト面のハードルの高さから扱うことが難しくなってしまった銅の樋ですが、日本の美みたいなものを感じることができる銅の樋が少しでも残っていけばと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?