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ブリキからトタン、そしてガルバリウム。

「ガルバってなんだ?」ってたまに聞かれることがあります。
屋根材はもちろん外壁材や雨仕舞いに使用する水切りなどにも使われている金属の素材のもので、正式な呼び名はガルバリウム鋼板。略してガルバ。
「ブリキとかトタンのことかね?」。。。頭の中でぽわっと浮かぶものとしてはそんな感じであってる。けど、同じ金属の素材でもブリキやトタンよりも「錆びに耐える力」耐食性と「錆びを防ぐ力」防食性に優れているのがガルバリウム鋼板。

ブリキからトタン、そしてガルバリウム。
そもそも建物に使われていた金属製の屋根材・外壁材にあったのは、ブリキと呼ばれるもの。少し年配の方は今でも金属製の屋根・壁を扱う職人さんのことを「ブリキ屋さん」なんて呼ぶ人もいるので、その名残かもしれません。柔らかく加工がしやすいのでおもちゃとかにも使われていた「ブリキ」。
錆に強いスズをメッキしためっき鋼板で、柔らかく加工がしやすい反面、メッキしているため傷がつきやすく、傷がついてしまうと中の鋼板がむき出しになり錆びてしまいます。そう思うと「メッキがはがれる」の語源にもなっていそうな。
そして、そんなブリキの弱点を補うように現れたのが「トタン」。
亜鉛が施されているので、亜鉛が鋼板よりも先に溶けることで錆びを防いでくれるそうです。「波トタン」なんて言葉が出てきたのもこの頃かもしれません。

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このトタンは酸に弱くて酸性雨の影響で錆びが進んでしまうことになります。

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一度錆びはじめると錆びが広がる一方。

そしてトタンの弱さを解消するために生まれたのが、「ガルバリウム」。
1972年にアメリカで開発されたそうで、半世紀も経っていないつい最近?のガルバリウム。
製造メーカーは10年〜20年の錆びや穴あきへの保証をつけております。(*メーカーの判断基準が厳しく正直あまり当てにできない保証です)
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板です。そのめっき組成は、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%からなっているそうです。

↑日鉄鋼板より引用。

ぼくが建築業に携わってからガルバリウムばかりだったので、ブリキやトタンなどと比べてガルバリウムがどれだけ錆びに強いのかはわかりません。
ただ今の建物に使われている金属製の屋根材や外壁材に使われている素材の大半がこの「ガルバリウム」です。

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そしてこの「ガルバリウム」も次世代ガルバリウム「SGL」としてガルバリウム鋼板より3倍の耐食性に優れた鋼板として進化しているそうです。

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SGLの使用感、ガルバリウム鋼板より傷がつきにくく、タフって感じ。
これからのガルバリウム鋼板はこの「SGL」が主流になっていくと思います。

ブリキからトタン、ガルバリウム、そしてSGL。
より錆びにくい鋼板になってはいますが、永久にもつ素材はなく定期的なメンテナンスは必要です。
ガルバリウム鋼板は木や枯れ葉などが水分を含むと酸性の木酢液が原因で錆びてしまったり、また雨に濡れにくい軒下などの箇所は埃が原因で塩分や酸が付着しやすくなるので、一年に一回は水洗いすることがメーカーのメンテナンス推奨にもなっています。
半永久的にもつイメージがあるガルバリウムですが、全くその逆でメンテナンスありきの素材です。
3倍、4倍、5倍と長持ちさせるためにも大切に扱うことが必要なガルバリウム鋼板です。

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