電気で走る「電動車」を2025年目途全車種で

トヨタ自動車は18日、電気で走る「電動車」を全車種で用意すると発表した。2025年ごろをめざし、エンジン車だけの車種はなくす。電動車の一つ、電気自動車(EV)を20年代前半に10車種以上投入することも併せて公表した。
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世界的な環境規制の強化に対応し、EVでの出遅れ感の払拭(ふっしょく)も狙う。

電動車には、電気だけで走るEVのほか、ガソリンも使うハイブリッド車(HV)、外部からの充電もできるプラグインハイブリッド車(PHV)、水素を使い発電して走る燃料電池車(FCV)も含む。いずれかの電動車をトヨタとレクサスのブランドの全車種で設ける。

量産EVは20年にまず中国で売り出し、日本、インド、米国、欧州に順次投入する。HVやFCVも品ぞろえを増やす。

ログイン前の続きトヨタは電動車の世界販売台数の割合を17年見通しの15%から30年に50%以上に引き上げる方針を発表済み。年間約150万台から550万台以上に増やす想定。エンジンだけで走る車の販売を50年までにほぼゼロにする長期目標を2年前に打ち出しており、そこへの中期の具体策となる。

トヨタは、電動車用の電池の開発と生産に30年までに1・5兆円ほど投じる方針も表明した。HV用電池で組むパナソニックとの連携をEV用も含めて強化。ほかの車メーカーにも協業を呼びかける。電池を含む電動車関連の部品を広く外販することも新たに明らかにした。

EVをめぐっては、トヨタの量産車の発売予定は20年。日産自動車より10年遅れる。規制を強化しつつある中国や米カリフォルニア州などは優遇対象にEVを含めHVを外したため、トヨタの出遅れを指摘する声は多い。

一方、世界各地の規制は販売車全体での燃費の改善もメーカーに求めている。トヨタは、その達成には普及でEVに先行するHVが有効とのスタンスだ。ディーゼル車が強かった欧州でHVの販売を伸ばしている。トヨタの寺師茂樹副社長は18日に東京都内で記者会見し、「客と世界の市場にマッチした電動車を提供し続ける」と述べた。(竹山栄太郎、初見翔)
トヨタが電動車の販売目標を発表してから、わずか5日。電動化技術についての説明会は11月下旬にも開いている。
自動車調査会社フォーインの久保鉄男社長は「ライバルのEVシフトやEV用電池のコスト低減がトヨタの想定より早く、EVの商品化が遅れたことに伴うマイナスイメージを恐れているのではないか」と指摘する。

トヨタが得意とするHVが燃費規制をクリアする上で有効だと認めた上で「HVも含めた電動車という概念を前面に押し出そうとしている」とみる。

一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一氏は、トヨタがこれまで慎重だったEVについて「20年代前半に10車種以上投入」と打ち出したことに注目する。「EVに力を入れるメーカーは、さらに早い対応を求められるのではないか」と話す。

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