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昭和歌謡アカペラグループ「リストラーズ」に愛を捧ぐ 2 〜ハッとして!Good〜

【ハッとして!Good】
 リストラーズと突然の運命の出会いを果たし、再生履歴を調べると次に視聴したのが、在宅勤務動画の「待つわ」だった。

 まだ、この頃はメンバーの皆さまのお名前もお顔も見分けがついていない。当たり前である。
 真面目そうな男性会社員の方々がひたと正面を見据えて動画におさまっているなあ、みんな眼鏡だよ!という印象を受けたことは覚えている。

「待つわ」はあみんという若い女性デュオの曲で、ヒットしていた当時、石川ひとみの「まちぶせ」と同じようにストーカー(当時この言葉はまだなかった)的な女の情念を曲に感じとり、ちょっとコワいと思っていた。
 しかし、歌唱自体は透き通った声の女性ボーカルが淡々と果てしなくキレイに歌いあげるので、ドロドロが薄まっているのだ。この曲を男性がどのように歌うのだろうかと首を傾げながら、視聴を始めた。 

 ふあっ?イントロが始まった瞬間の私の反応である。なにこれなんだこれ。この美しい音の流れが目の前で在宅会議を行っている会社員男性6名とどう関係しているのか理解が追いつかない。
 追いつかないままに、美しいコーラスが知ってるイントロを奏でていく。そして、ついに岡村孝子が歌うはずの歌詞が始まった。

 …それは、男声とか女声とかの次元を超えていた。透明感のあるハイトーンボイスが重たい歌詞を語ってゆく。しっとりしているが、男性が歌うことで女性の怨念みたいな生々しさから免れている歌唱。そこにアルトが絡むのである。え?なんでアルトが?画面では2人の会社員男性がゆらゆら揺れている。揺れている男性2人が歌っているのだと頭ではわかっているのだが。

 曲は私を置いてけぼりにしてどんどん進行してゆき、画面では6人の男性会社員が横一線にずらりと並んでいる。そう、間奏である。人生かなり長く生きてきたがこんなに綺麗なコーラスを聞いたことがないと思った。あとはただただ惚けたようになってしまって2人の男性がお辞儀をするシーンまでをどう聴いたのか記憶にない。

 目を開けたまま気を失っていたのかも知れない。という冗談はさておき、彼らの演奏に凄い衝撃を受けたことは確かである。

 もっと聴きたいと思った。これまでの人生でワクワクが止まらないなんてあっただろうか?このグループが好きだ!私を新しいどこかに連れて行ってくれるような予感。ハッとしてグッときてパッと目覚める恋。様々に湧き上がる思いを総合するにこの感情は恋といっていいものだと思う。
 これが私がリストラーズへの恋に落ちた瞬間であった。

 この曲こそが私がリストラーズに魅了されるきっかけとなったのであり、現時点でもリストラーズ最高の曲だと思っている。そして、この出会いの何ヶ月かの後にはまた、違った意味で私に大変な影響を与えることになる曲でもあるのだが、それはまた別の物語で語ろうと思う。
 

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