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昭和歌謡アカペラグループ「リストラーズ」に愛を捧ぐ 4 〜いい日旅立ち〜

【いい日旅立ち】
 リストラーズと出会った初日に私はメンバー6人のうち5人がリードボーカルたり得る歌唱力を待つと知った。
 アカペラというものに疎いため、今までの音楽に関する狭い知識を探すしかないのだが、内山田洋とクールファイブというグループ(アカペラではない)は前川清がメインボーカルで、あとの5人はひたすらバックで、わわわわー♪とコーラスに徹するのである。
(古すぎて知らないという方はネットで検索!)
リーダーといえど、内山田洋が急に前に出てきて歌い出すなんてことはない。
 
 それなのに、6人中5人!これは、私がまだ彼らを知ったばかりで他の楽曲を知らないからに違いない。
 きっとこの中にはほとんどの楽曲でリードボーカルを務めるメインボーカルの人がいるはず!との思い込みから、それを探すために更に動画鑑賞の旅を続ける。どれも昭和歌謡。子供の頃に歌った歌を道連れに、である。
 
 来る日も来る日もひたすらリストラーズ。見る動画ごとにてんでに違うリードボーカル。
 ただ、それが草野氏、澤田氏、加藤氏、野村氏の4人にしぼられてきた。
 
 メインボーカルを探す旅であるがゆえに、バックで鳴っている音は全てBGMとしてとらえていたのだが、さて歌わない残り2人が何をしているかに注目した途端、恐ろしい事実に愕然とした。

 ベースとドラムが人の声で構成されている!

 このことにしばらくの間気づかなかった程にこの2人の技術が神懸かっていることについて語り始めると話が終わらなくなるので、ここでは割愛させていただくこととする。
 そう。私とリストラーズとの出会いのきっかけをつくったあのGet Wildは普段ボイパ担当の上村氏が例外的にリードボーカルを担当したレア曲だったのだ!あんなに上手い人が普段はボイパ。
 
 リストラーズとは、ボイパなのに歌える上村氏とベースに徹する大西氏以外の草野氏、澤田氏、加藤氏、野村氏の4人全員が曲によってリードボーカルを担当するというグループだと理解した。
 草野氏は気持ちのいいパワフルな歌声、澤田氏は実直で素直な歌声、加藤氏は甘くてロマンティックな歌声、野村氏は透き通る高音が綺麗で女声ボーカル曲もこなす。当時の私はざっくりとそういう印象を受けた。持っている個性がそれぞれ違ってみんないいのだ。

 この結論に至るまで約1週間かかっている。さすがにもうメンバーのお顔とお名前はバッチリ覚えた。さあ、曲ごとに違う4人のボーカルを楽しむことにするか。野村氏のハイトーンボイスにしようかな、それとも加藤氏の甘い声も素敵だし。
はぁ…リストラーズって最高…。
 メインボーカルを探す旅は終わった…。と思われた。し、か、し、

…終わってはいなかったのである。
仮面ライダーに興味を持たない女児時代を過ごしたため、この動画の再生をついつい後回しにしていた。あ、まだこれ見ていなかったわという軽い気持ちで再生したのだと思う。
 仮面ライダーのお面をつけた人物が歩いて来るシーンのあと、いつもの在宅勤務の画面に切り替わる。俯いているメンバーがそろそろと顔を上げてゆく。真ん中上段に白抜きのリードボーカルの文字。大西と記名がある。

 おおにしぃ?
 
 6人目登場である。また増えた。
 ああ、あなたまで歌えるとは。

 ごめんなさい。私が間違っていました。6人中5人じゃありません。ぜ・ん・い・んリードボーカル歌えるんですね。

 もう何処かが麻痺してしまったのか、混乱はない。どこか平安な気持ちにすらなっている。
 何となくそんな予感はしていたのだ。
 ということは、今はベースが不在のはず。しかしどういうことだ。ベースは忙しく鳴っているではないか。
 動画の再生を戻して確認。すると澤田氏の下にベースの文字が!!!見れば澤田氏がいつになく真顔のまま口を開けていない。

何なのだー!一体このグループはー!!!
何度目かの叫びであるが、数多の???は1つずつ確実に♡に置き換わっているのであった。



 
 

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