お待たせしました、夢が走ります~好きなもんの話しようぜ~

タイトルの方、サブタイトルとメインタイトルを入れ替えてみた。
この方が多分見やすいと思うし、書いてることも伝わると思うし。

他人のシモの事情をあーだこーだ好き放題する連中が嫌いである。
清廉潔白な人間ばかりが生きているわけがない、
だってこれを書いてるおれ、いじめられっ子だったから。
おれは知ってるんだ、世の中はいじめられっ子に厳しい。
いじめてた奴らが表面だけの反省をして裁きを受けず、
「まともな人間」と見られながら恋愛して結婚して良い家住んでる。
その一方おれらみたいなのは飛び降りるかぶら下がるか、
あるいは炭を使う等する度胸が無いから生きているわけだ。
そんなわけで、シモのアレで一度は大変なことになったけど、
その一方夢を叶えたおっさんと、その夢を追ったおっさんことおれの話。

・楽な仕事じゃないよ

始まりは2021年。
競馬の世界では白毛のG1馬ソダシが桜花賞を勝った後、
ひとつの芸能人YouTubeチャンネルが開設された。
ジャンポケ斉藤、ジャングルポケット産駒を買う」
名前の通り、吉本のお笑いトリオ「ジャングルポケット」の、
顔が濃くて全裸監督の山田孝之を真似してる斉藤慎二が、
ダービー馬でありトリオ名の由来となったジャングルポケット急逝を受け、
「ジャンポケ産駒を買って地元船橋で走らせたい」
「その一連の活動を通して地方競馬を盛り上げたい」
「ついでに資金稼ぎも兼ねて競馬予想する」

そう言って個人チャンネルとして始めたもの。

機械音痴であるが故に予算オーバーの馬を誤購入しそうになったり
公開した日曜メインレース予想はめちゃくちゃ外したり
1年の総決算としてスタッフに「傾向」の分析をされたり
予想動画の中では外したことを問い詰められたり
そんなことをしながらも、競馬番組MCとして名が知れてたり、
そしてチャンネル運営スタッフに馬主が居るということで、
人脈を作って異常な環境の中でプロジェクトが進み、
遂に1歳のジャンポケ産駒牝馬を買ったのが'21年10月頃。
そこからは競馬ニュースを見てる方もご存じのはず、
門別の田中淳司厩舎でデビュー、シーズン終了まで走り、
田中淳司調教師の助言もあり一旦金沢へ。
金沢では一度走ったものの馬場状態の問題で走れず1回のみで笠松へ。
その笠松でようやく一勝目を挙げたのが'23年1月。
フケや脚部不安に悩まされつつも笠松を走り続け、
遂に'23年10月、待望の2勝目と移籍条件クリアを成し遂げ、
'23年11月に待望の船橋へ移籍、購入以前から決まっていた川島厩舎に入り、
今月、'23年12月には待望の船橋競馬場デビューを飾り、
年内最終戦となる12/17のレースで、悲願の船橋初勝利となった。
ここまで走りに走って20戦3勝、2着・3着それぞれ1回、掲示板10回。
重賞並みの動員を呼び、船橋入厩が知れると競馬場関係者が見に来るし、
レース中の歓声は調教師すら驚かせるレベル。
それでいて本人(本馬?)は動じるどころか人が大好きだそうで、
決して超有名中央所属G1馬の様な経歴ではないが、アイドルホースである。
そして同時に、YouTubeチャンネルから伝わってくることがある。
エンタの神様でネタしてた頃の斉藤さんの大オチセリフがあったが、
正にあのセリフがふさわしい。
楽な仕事じゃないよ。

・誰だと思ってんだ?オマタセちゃんだぞ?

まず自分の場合ジャングルポケットの中では斉藤さんが元々好きだった。
いじめられてた者同士シンパシーがー、みたいな物は一切無い。
あの濃い顔とでかい声にガムシャラさはハマるかハマらないかだと思う、
自分はハマった方。
で、その斉藤さんがちょうどハマり始めた競馬でチャンネルを持つこと、
そして地方から個人馬主としを始めようということ、
どちらもチャンネル開設から知れたので、追ってみようと思った。
そして紆余曲折を経てオマタセちゃん購入に至った訳だが、
可愛すぎないか?オマタセシマシタとかいう牝馬。

当時既に種牡馬箱推しでゴールドシップ産駒を応援していたが、
ゴルシ産駒はゴルシ産駒で見た目が派手で可愛い馬がいる。
ただ、基本的に見れて走るとことパドックが精いっぱい。
たまにそれ以外も見れないでも無かったけど。
それに対して、初対面動画やらなんやらとずっと見ているオマタセちゃん。
特に初対面動画があまりにも可愛い。
写真が初めて出た時も可愛かったけど、動画になるとやばかった。
今でこそ、その異常な人懐っこさが動画から知られているが、
「オーナー斉藤慎二」が門別を訪れて初対面した時の動画はやばい。
いまだにあの時の動画の1シーンがオマタセちゃんのニュースで使われているが、
初顔合わせで色んな気持ちから「チューしたい」と言い出す斉藤さん、
いざオマタセちゃんの右側に立って顔を近づけると、
なんとオマタセちゃんから鼻先を近づけて斉藤さんにチューしに行く。
しかもどういう偶然か、洗い場に繋がれている時のことだったのだが、
ハミの食い込み加減か何かなのか、オマタセちゃんの口角が上がっていて、
嬉しそうにオーナーにじゃれついているようにしか見えないのである。

その後もその可愛さはチャンスがあれば披露しており、
門別でのデビュー戦直前にジャングルポケットの3人で会いに行った時、
太田さんが「かわいい」と夢中になって撫でていると、
首筋や肩の辺りに鼻先を持って行ってマッサージをお返しを…
しようとしている様に見えるシーンがある。
そこまで人に無警戒なのかい!?


もっと驚くべきは船橋移籍一発目の動画。
それまでも「環境の変化に動じない」と移籍や放牧の度に言われており、
飼葉についても、
「食欲落ちてるでしょう?」「全部食べるんです」(コケるオーナー)
このやり取りがずっと定番になっていた。
食いが悪かったのは笠松の夏頃に一回あったくらいかな?
フケが云々等で大変だった頃くらいだろうか?
そして図太さは船橋移籍でも発揮されており、
川島厩舎へ入厩したオマタセちゃんに会いに行く動画でも、
「ペロリと食べるんです」
いつものやり取りがあり、斉藤さんがコケてしまう…のだが、
目の前で人間が変なことしてるのにオマタセちゃんは暴れない。
後日電話で様子を聞いてみると、
「動画公開後に関係者が会いに来たが一切動じない」
更に、地方競馬としては異常な動員を記録するオマタセ出走レース、
どれも重賞レベルの歓声があがるがものともせず、
なんなら本馬場入場では外ラチまでファンサービスに行くことすらある。
どこまで人間好きで物おじしないんだこの馬!?

・見る世界を変えてくれた

別記事でも書いた覚えがあるしここでも書いたけど、
自分は「ゴールドシップ産駒箱推し」の競馬ファンである。
予想はド下手でガミかハズレが定番でもある。
そしてなんとなく買った時に限って当たるし単勝を逃す。
そういう生活をしていると、馬のローテを見ることになる。
JBISサーチ?そこで種牡馬別に産駒出走予定とか見れるけど、
毎週日曜とか土曜とかに同じ名前をよく見ていた。
ボギータイサ
ゴールドシップ初年度産駒の牡馬、初戦の鞍上は福永祐一騎手(当時)。
2走目の未勝利戦で川田将雅を背に初勝利を飾ったものの、
初年度産駒牡馬筆頭のブラックホールとは違い苦労人であり、
一勝クラスで苦戦が続き、中央抹消後、'20年11月に佐賀で再デビューした。
そこからはひたすらに中二週くらいで走り続けており、
毎週の出走予定チェックの度に「また走るのか」と気になっていた。
当然中央の未勝利馬やオープン入りできていない馬とローテが違い過ぎて、
「こんなに走らせて大丈夫なのか」と心配になった。
勿論「勝てない馬の未来は無い」とはわかって…いるつもりだった
勝てても種牡馬になれず相馬野馬追で活躍するブラックホール、
そして中継を見ていて名前を見た馬が引退したと思ったら、
「xxで乗馬」等、種牡馬に必ずなれない現実。
更にそのブラックホールも、相馬野馬追初出陣当日の朝、
突如としてツイッターアカウントが開設されるまで行方不明だったという。
肉になるかは別として、乗馬行きの馬が本当に乗馬に行くかも怪しい。
そうした世界で、特定のグループの馬ではなく、
「オーナーの夢に付き合わされて地方でデビューして得意かわからないダートを走らされている一頭の牝馬」
その様子をYouTube越しに追いかけている内にやっとわかった。
「思っている以上に一勝の壁は厚く、成績が出せないと未来が危うい。
だから走れると判断したら走らせるしかない」

ここでひとつ、かの有名なツインターボの戦績一覧を見てもらいたい。

ウマ娘アニメ2期では「あきらめないこと」をトウカイテイオーに教え、
その後も「師匠」と呼ばれ、トレーナーに愛されたのは勿論、
「あの頃笑ってたレースで今は泣いてしまう」
そんなことを往年の競馬ファンにまで言わせてしまうあの逃げ。
競走馬ツインターボもひたすら逃げ続けて中央抹消後も地方で走ったが、
中央出走時の通貨順位を見てもらいたい。
少なくとも2コーナー?通過まではずっと「1」が並んでいる。
気性等の問題から逃げざるを得なかった、
それも追いつかれる前にひたすら突っ走ってゴールへ飛び込む大逃げ。
陣営は中央抹消前の新潟大賞典までこれを貫いている。
アニメではツインターボがあきらめなかったが、
競走馬の方では陣営があきらめることがなかった。

勝ちをひとつでも多く重ねて良い未来を用意したかった。
自分はそう解釈している。
特にツインターボ現役当時は色々黒い裏側もあったっていうし…。

改めてオマタセシマシタだが…
「船橋競馬場で走らせたい(条件クリアしての船橋移籍が目標)」
この時賞金の条件が問題だったから2023年内の移籍となったわけだが、
そもそも掲示板でも馬券圏内でも良いから賞金を加算したいし、
できることなら勝ちを重ねて繁殖牝馬としての価値も持たせたい。
そんなYouTubeチームと調教師陣営が苦労したのがこれまでの20戦。
それでも問題ばかりだった。
砂を被るのが苦手だけどスタートは極端な速さでも無い、
コーナーでは外に張るクセがあるので上手く乗らないとロスが出る、
なんなら乗った感じ等から「本気で走ってない」とすら思わせる。
そんな状況でも使えるなら使ってチャンスを待ち続けて、
宮下瞳騎手初騎乗での大逃げで活路が見いだせた時のあの興奮…
「勝てる」、そう思わせたあの逃げはそれまでのどのレースより興奮した。
そしてその気持ちを裏切ることなく、二度目の逃げで笠松2勝目をあげた。
ここでの獲得賞金で笠松移籍条件はクリアしたが、
当時の実況解説でも「もっと笠松で走ってほしい」と言っていた。
自分も「笠松であとひとつくらい勝ってからでも良いのでは」と思っていたが、
スケジュールや厩舎の空き等もあり、笠松は2勝目で離れた。

結果的にはそれで良くて、船橋での2戦はどちらも最高に興奮した。
逃げられず控えた船橋初戦、勝った馬がとにかく強かったが、
笠松での多くのレースと違い、最後はしっかり伸びる脚が残っていた。
何より前に馬が居るのに砂を被っても伸びれるだけの気持ちがあった。
門別でも笠松でも「前に馬が居ると砂を気にする」と言われ、
メイケイエール並みの重装備で走っていたのに、
船橋ではオーナーの勝負服と同じデザインのメンコだけつけて、
チャンネル登録者の不安を吹き飛ばすレースを見せた。
なんと頼もしいことか!!
ゴリゴリに減った馬体重、初めての左回り、転厩初戦、
全ての不安を吹き飛ばす様にかつて見せた末脚を披露してみせた。
それだけで初戦からずっと追っている自分は泣きそうだった。
勿論笠松で念願の初勝利となったレースは泣いた。
観戦動画を見てまた泣いた…いや、そこだけ泣いたんだったか?
ともかくあの日は泣いた。
未勝利のまま数回走って終わるゴルシ産駒を何頭も見ていたし、
粘って走り続けても勝てずに終わるゴルシ産駒も見ていた。
だからこそ一勝の価値は少しはわかっているつもりだ。
それにしても「盛岡の芝」だなんだと散々言われていた馬が、
やっと勝てたというのは嬉しかった。
そして「どうせ勝てない」と言われ続けた船橋でも初戦で2着、
これで興奮しないのはおかしいだろ。

そして朝日杯FSの日、自分にとってのメインレース、船橋8R・3歳選抜馬。
この日は「やるしかねぇ」と自分なりのガチ予想をして馬券も久々に買った。
そして当時の予想がこちら。

いつも予想で見るのはその馬が走るコースで過去に出したタイム、
この時は3番の持ち時計が良かったので警戒して頭かどうか悩んでいた。
しかし、かつて門別でオマタセちゃんより早く1200を走ったのが7番。
現地でパドックを見た人等、オッズを見るべきと判断したのが7番だった。
そしてオッズ変動がどこまであるかわからず7番頭で流す馬連・ワイドを、
オマタセ含む4頭への流しで買った。
YouTubeで祈りながら観たあのレースは本当に興奮した。
スタートは周りが早く5番手で進むかと思ったが、
森騎手が軽く手を動かしながら3番手に進出してそのまま前二頭に食らいつき、
直線では個人的に警戒していた7番との一騎打ち。
例によって異常な観客数となった直線で見事先頭に出て、
チャンネル登録者もオーナーもスタッフも調教師も、
それまで転々としてきた各地の関係者も願っていただろう光景を、
斉藤慎二オーナーの地元・千葉県の船橋競馬場のゴール板を、
先頭でオマタセシマシタが駆け抜ける瞬間を見せてくれた。

走り続けて20戦目、遂にチャンネル開設からの悲願達成となったわけだ。

持ったままで突っ込んでくるイクイノックスの有馬記念、
同じく持ったままで楽々と後続を引き連れて逃げ切るドバイ、
ロードノースとの同着勝利となったパンサラッサのドバイターフ、
想像もできない金額の賞金を獲得したサウジカップ、
「あの日夢見た全員の臨んだ光景」をちょっと再現した天皇賞秋、
黄金の旅路の続きの可能性を見せてくれた凱旋門賞、
2022年から2023年秋まで、数々の名勝負があったが、
やはりデビューから追い続けたオマタセちゃんの船橋初勝利は感慨深い。

・多分まだ2年くらい夢が見れる

続報はこれを書いてる時点で特にないので、
恐らくオマタセちゃんの年内の出走は無いはず。
船橋の番組表とか確認してないけど、放牧に出てる可能性もある。
今年はひとまず終わりかもしれないけど、まだ全部の終わりではない。
左回りが得意かもしれない、1200は余裕で走れる、
となれば地元最寄りの地方競馬である盛岡で見れる可能性も十分ある。
一人のおっさんの夢は門別から始まり、金沢、笠松、そして船橋へ繋がり、
2024年には更に各地へと繋がると思っている。
今この時点で、最大21.7万人のチャンネル登録者と、
これまで走ってきた競馬場の関係者、そういう人の家族や友人もいるか?
そういう人達が今、1頭の牝馬に夢を見ている
ただの地方で走る競走馬かもしれない、それでも、だ。
中堅お笑い芸人の夢見る姿に沢山の人が夢を見て、
その夢を背負って跨る騎手が居る。

とんでもない話である、競馬楽し過ぎる。

繁殖入りかそれが叶わないかはまだわからないが、
とりあえず4歳は確実に1年走るだろうし、
5歳でも走れるなら走るだろうし、その先も衰えが無ければ走るかもしれない。
最低2年、もしかしたらもっと、オマタセちゃんは走るかもしれない。
だからこそあの名実況を引用して終わりたい。

2024年、あなたの、そして私の夢が走ります。
私の夢はオマタセシマシタです。

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