ワクワクする方を選んでほしい

依頼者:酔芙蓉さん

今、私は高校3年生で世間では進学校と言われている学校に通っていて、大学受験の準備を着々と進めています。(中略)準備の中で、自分が今志望している大学のほとんどが母に勧められて流されるままに決めていたのではないかと思い始めました。(中略)その後、私は私のやりたいことを考え、やりたいことができそうな学校を探し、見つけた大学を受験したいと母に言ったのですが、「なんでせっかく進学校に入学したのに名前も知られていない大学に行こうとするんだ」とものすごく反対されました。
同級生の中には有名大学に進学する人もいますし、母のいう名前も知られていない大学に進学する人もいます。(中略)仲のいい子たちは親は自分の進路を応援してくれている子が多く、少しその子たちが羨ましいと思うことがあります。その子たちを羨ましく思うのは、見当違いでしょうか?また、今の時代、大学名は就職する時にものすごく影響するのでしょうか?

飛ばしたい言の葉

これはかなり難しい状況で、安易にお母様を批判することもできないなあと悩みました。というのも、お母様が生きてきた時代はきっと「有名大学に行けば有名企業に行ける」「有名企業に行けば生活が安定する」「生活が安定すれば明るい将来が期待できる」といった価値観が一般的だったからではないかなと思うのです。だからこそ自分の子である酔芙蓉さんには「明るい将来にしてほしい」という気持ちがあって、そのように仰っているのだと思います。でもそれはどちらかというと「自分が安心したいから」という側面も大きいのではないかなと感じます。

えてして「あなたのためを思って言っているの」という言葉は、自分のために言っていることが多いです。もちろんお母様は酔芙蓉さんのことを思って言っているのも嘘ではないと思いますが、そうじゃない部分もあるのではないでしょうか。

大学への進学費用や進学後の生活費など、この先もお金はたくさんかかると思います。おそらくそれらを捻出してくれるのはお母様の力が大きいと考えられます。お母様の言う大学に行くのか、酔芙蓉さんが見つけた大学に行くのか、そのどちらが良いのかというのは僕にも分かりません。未来は誰に分からないことです。酔芙蓉さんもお母様もきっと不安な中で過ごされているとは思います。

だけども僕が言えることがあるとしたら、酔芙蓉さんの人生は酔芙蓉さんのものだということです。そして自分の人生の選択を他者に委ねるということは、何か上手くいかないことがあった時に他者を理由にすることができてしまうということです。

お母様の言う大学に進学した後、何かしらの壁にぶつかった時に「あの時、母が選んだ大学にしてしまったからだ」「もし自分の見つけた大学にしていたらこうはならなかった」といったように、お母様のせいにして逃げることができてしまいます。それは誰にとっても幸せなことではないはずです。でも、自分が見つけた大学ならそうはいきません。例え何かしらの壁にぶつかったとしても、他者を理由にせず自分で乗り越えるしかないのです。

僕は、後者の方がかっこいいと思います。
酔芙蓉さんの人生なのですから。

周りのお友達を羨ましいと思うのは当たり前だと思います。自分と同じような環境にいるのに、自分には持っていないものを持っているから羨ましいというのは見当違いではありません。でも、羨ましいと思ったからといって酔芙蓉さんのお母様がすぐに変わってくれるわけでもないでしょう。お友達と自分を比べて悲観的な気持ちになるよりも、酔芙蓉さんの立場で酔芙蓉さんができることから始めることがきっと一番の近道です。

大学名についてですが、おそらく学歴による見方というのは今も昔も変わらないと思います。企業によっては全く気にしないところもありますが、いわゆる大手で有名な企業というのは、ある程度学歴で判断することが多いようです。学歴で判断するというのはとても楽なのだと思います。ある程度の偏差値が担保されるわけですから、最低限の能力を持っているだろうと推測することが容易になるからです。

学歴で人を判断しないでほしいという言葉もよく見かけますし、経済的な事情や病気、障害など何らかの理由でどうしても進学ができない人もいます。それでも社会や企業というのは冷酷で現実的です。「仕事ができそうな人間を効率的に見つけ出す」、そのために学歴で人を評価するというのは今も普通に行われていると思います。一方で、国家資格が必要だったりする職種は学歴よりも資格を持っているかどうかが大事ですので、そうではないケースもあります。なので、酔芙蓉さんが就きたい業種にも大きく影響します。

僕は勝手に進学先を見つけて、進学して、退学して、進学して、といったように自由に進路を決めてきた人です。母親からすれば「いつも事後報告」といった存在だったでしょう。そんな僕からすれば酔芙蓉さんがきちんとお母様に意思表明をして相談しているというのはとても立派に思えます。こうして悩んでいるのも、自分とお母様のことを考えているからこそであって、必要なことなのではないでしょうか。

これは僕をいつも励ましてくれる知り合いの16歳の女の子からの言葉です。「どっちの方がワクワクするか、自分の心に聞いてみよう」
「そっちの未来を選んだ方が絶対に楽しいから」

酔芙蓉さんの人生が輝くものでありますように。どんな道であっても、一年後の酔芙蓉さんが楽しいと思える毎日でありますように。

心から応援しています。

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