生憎のお天気だけど、ご馳走さま。(タニムー)


広島に移り住んで一番驚いたのは
雨の少なさ。
いや京都の方が雨が多いのか。

そのせいか、ここ数年は
晴れ男だと自覚するようになった。
そう思うほど、
広島では雨で中止になることが珍しくなった。
だけど、例外もあるようだ。
昨日、今日と珍しく雨のち雨。
昨日は晴れて欲しかったけれど生憎の雨。
今日に至っては風もビュービュー吹いて
4月とは思えない肌寒さ。

雨が降ると、外で自由に遊べない。
そう、外で遊べることの有り難み。
たまたま奥さんが車を使って出かけたので
バイクで移動する気にもならず、
予定はすっかり諦めた。

子供達は裏山での秘密基地作りも延期。
前日、とこさんと愉快な子供達は
その裏山で、竹の子をわんさかゲットしてきた。
夕方、合流して今度は海岸に移動。
マテ貝取りに。
子供も大人も夢中でとった。
太古の昔、狩猟していた時代の記憶が宿る。

砂浜の表面の砂をさくっと掘って、穴を見つけたら
その穴に塩を振りかける。
すると、穴からむわむわっと
水が押し上げられて、黒い穴の奥で、何事?!と
マテ貝くんの驚き具合が感じられる。
マテ貝くんは、塩分濃度の急激な変化に戸惑って
いるのだけれど、すぐには出てこない。
しばらくの沈黙。
すると、ぴょこっと頭?二つの管のようなもの!が顔出す。
ここで慌てて手を出してはいけない。
なぜなら、出てすぐに引っ込めるからだ。
慌てると空を切る。
ぐっと堪えて根気よく見守っていると
そんなに!とこちらが驚くほど
自ら半身をビュッと外に飛び出してくる。
さあ、ハントする時間だ。
でもでも、掴んだからといって
慌てて引っこ抜こうとしてはならない。
向こうも必死に取られまいしがみつく。
取ろう取られまいの押し問答。
いや、相手の踏ん張りにちょうど合わせる感じ。
すると、マテ貝さんが根負けしてふと力を抜く瞬間がある。
そのタイミングを見計らってゆっくりとゆっくりと引き上げるのだ。
すると細長い棒状の二枚貝の下にだらりと降参した
マテ貝くんの美味しそうな実があらわに。
君だったのかと、ご対面。
焦って、力任せに引き抜くと、
この美味しそうなところが途中で切れてしまう。
腰が痛くなるのだけれど、立って腰を伸ばすのを
忘れたくなるほど、マテ貝くんとの綱引きに夢中になる。

そうやってゲットした
海のマテ貝くんと山の竹の子を
トコさんは、一つフライパンでバターと炒めた。
そう、夜ご飯の一品になった。
想像の上をゆく絶品に。
ビールが進む進む。

ある食材とある食材が出会って料理が生まれる。
ある人とある人が出会って文化が生まれる。
今年は文化の踏ん張りどころになりそう。

旬をいただくことは尊い。
旬は五感を刺激する。
命を息吹を味覚の中で感じ取り、
美味しいとは命の味なのだなのだと
改めて噛み締める。
日頃は味わうことができない充実と一緒に。
ごちそうさま。

P.S.
翌日の昼ご飯のパスタにも
翌日の夜ご飯のカレーにも
その命達は捧げられた。
とってもとってもごちそうさま。
(タニムー)





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