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終わりし20代の標に、SEVENTEENが輝く

20代最後の日、会社に行って仕事を少し片付けて、酒を飲むだけ。
コロナなんかがなければ、海外旅行に行きたかった。
まあ、コロナがなくても、同棲解消が決まり、急な引越しをせねばならず、
ちょっとした国内旅行すら行けない財政状況なのだった。

パソコンの画面を見つめると、BARREAL片手に、業務スーパーで買ってきたハンバーグを頬張る自分の姿が映った。
なんだよ、20代最後なのに、みじめじゃねーか。

……果たして、そうかしら?

画面では、光り輝く13人の貴公子が舞い歌っている。
私が今この瞬間を生きているのは、実はSEVENTEENのおかげなのだ。
大げさな話ではなく、2019年9月、私は死んでもおかしくなかった。

「もうそろそろ30歳になるのに、わたしはこんなんで生きていけるんだろうか」

つい半年前の私は、自分の不甲斐なさがのしかかってきて、圧死しそうだった。
何か私の将来に対するただぼんやりとした不安が、夜毎襲っていた。
あらゆる人々の言動が、私のこれまでの人生を否定していた。
必死になって頑張るということが、いかに馬鹿げているか。
結果だけが尊いもので、結果がない以上は、無駄骨。
何も見えない。いつもの机に座ると、息ができない。
胸をおさえて、大きく息を吸い、なんとかやりすごしていた。

それでも、愛に救いを求めることはできるだろうと思った。
しかし、それも叶わなかった。
笑いながら「やったー結婚しなーい」と言われた日のことは忘れられない、人生のハイライトだ。
今となっては、目を覚まさせくれてありがたいと思っている。

すべての物事が、私にとって耐えられない方向に進んでいた。
それを変えることも、あれに抗うことも、もう私はできなかった。
あまりにも、敗れすぎてしまったから。

そんな私の目の前に現れたのが、SEVENTEENだった。
みるみる心が奪われ、目は離せず、毎分毎秒、彼らの存在を強く意識した。

彼らは、努力する。
もし、思う結果が出なくても、それまでに重ねた努力を「無駄だった」なんて軽々しく言わないだろうし、ましてや、努力なんてしてバカだったな、なんて自嘲しない。努力のその先、目指すところだけを見ている。
SEVENTEENプロジェクト。思うような結果が出ない中、それでもひたむきに努力を重ねる彼らは、絶望し果てた私にとって希望だった。
まだやれることがある。私もやりたいことがたくさんある。

わかりやすい形で結果がでないと、頑張ったことが馬鹿馬鹿しいと感じてしまうが、自分がそうジャッジした瞬間、あれらの日々は、馬鹿馬鹿しい存在になってしまうんだ。
私は、私のために、すべての自分の努力を肯定しないといけないんだ。
そんな強い思いを、彼らのおかげで持つことができたのだ。

彼らは、私が縛り付けられていたものを解放してもくれた。
たとえばそれは、化粧をすること。
誰のためでもなく自分のために。
美しくなったら、ただただ素敵だから、化粧をすれば良い。
「私なんかやってもそんな変わんないし、綺麗にならない」という、15年くらいかけてもはや発酵してしまった自意識が解放された。
好きな色に髪を染め、爪にローズクォーツとセレニティを塗る。
なんてことないことかもしれないが、それができるようになったんだ。
BAさんに話かけられて、笑顔で話すことができた。(前は、困った顔をして、立ち去っていた)
新しく生きていける。楽しみなことが多すぎて、ちょっと気が遠くなるくらい。

ああ、もうあと数時間で30歳だ。
BARREALを2缶開けた。
もっと劇的な、エモな、そんな瞬間が20代の終わりかと思っていたが、別に普通だ。
でも別にいいんだ。私自身の人生がエモい必要、どこにある?
私は誰かに、何かに、エモくしてもらおうとしてはいなかったか?
自分の力でエモくすればいい。
てかさ、エモとかもう、すでにダサいから。さよなら!

今日もSEVENTEENのみんなが素敵だ。
これは、世界が崩壊しても変わらない、事実。理。
毎日整腸剤飲むくらいの、イージーな目標を持って、私は30代を迎えようと思う。

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