【秒速5センチメートル批評】幸せの所以を何に求めよう?【11450文字】
「3年付き合っていた恋人に振られた」
あぁ、悲しいね。
「心の摩耗と限界を悟り、仕事を辞めた」
そうか、つらいね。
「部屋で鳴った携帯を取ろうとして、ビールの空き缶を蹴飛ばした」
どうにも、苦しいね。
「それでも」
どうしようも無く幸福だ。
『秒速5センチメートル』では、上記のような一見すると幸福から遠ざかる悲しい出来事やつらい事は実際の所幸福とは関係が無いし、幸福とは何かによって失われたり偶然だけで突如拾えたりするようなものではない、という事が主人公遠野貴樹の人生を通