見出し画像

祖師を生きる。

先月4月7日、宗教評論家のひろさちやさんがお亡くなりになりました。
仏教、釈尊の教えをわかりやすく世に伝えてこれられたそのご生涯で、のべ600冊を超える著書を遺されたそうです。
当社も数十年に渡りお世話になり、たくさんの本を出版していただきました。

ひろさちやさんが当社で手がけて下さった書籍は、今後重点的に電子書籍として出版してまいります。
救いを求める人の心に寄り添ったり、仏教の真髄を平易にかつ興味深く語られたりと、さまざまなテーマ、切り口で出版された数々の本は、まちがいなく今を生きる私たちへのメッセージとして受け取ることができるからです。

私自身が直接的にひろさちやさんとご縁を頂いたのは、3年前でした。
編集者になったばかりの頃で、先輩に連れられ勉強会に参加したときです。

そのたった一回のご縁でしたが、とても印象深く今でも新鮮な気持を覚えています。
勉強会で六波羅蜜の「布施」が話題にあがると、ひろさちやさんは次のようにおっしゃいました。

「例えば、電車で席を譲ることは布施ですが、疲れていたら遠慮なく座らせてもらえばいいんですよ」

仏教に触れていると、善いことをしかければいけないという思いにとらわれることがあります。「若いくせにのうのうと席に座って、目上の人に譲ろうともしない」と思われるのがいやで、疲れていてもあえて立っていることもあった私にとっては、意外なひろさんのお言葉に、正直面食らいました。
と同時に、仏教とはあらゆる執着を手放す教えだから、「善いこと」であっても、とらわれたら執着になるのか、とほんの小さなお悟りをいただけた気がしました。
ひろさんは本だけでなく、日頃から関わる方々に仏教を説き続けられた方だったのだろうと思います。

今となってはひろさちやさんご本人から教えて頂くことは叶いません。ですが、たくさんの書籍がまだまだ私に教えてくださることがあると思っています。

一人でも多くの方に、その機会をもっていただけるよう力を尽くすことが、ひろさちやさんへのご供養になると信じて、これから電子書籍の制作に邁進します。

当社のシリーズ本として出版された『ひろさちや・祖師を生きるシリーズ』最新刊までの6冊を、本日同時リリースしました。

一人でも多くの方のお手に届くことを願います。

親鸞を生きる

道元を生きる

空海を生きる

法然を生きる

一遍を生きる

最澄を生きる


合掌