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秋田犬。飼育体験した者でしかわからない秋田犬の魅力について・・・

こんにちは、今回は秋田犬について触れます。

今や全国に名前が知れ渡った秋田犬。

あきたいぬ、と呼ぶのが正式名称とは秋田県大館市に本部を置く秋田犬保存会の見解。
あきたけん、と呼ばれていた期間が長く、あきたいぬと呼んでいたのは秋田犬保存会の地元秋田県大館市くらいで、やっとあきたいぬという呼び方が認識されたと感慨深い思いです。

というのも、私の父がその昔秋田犬のブリーダーみたいなことをしていたことから、もの心ついたころには私の家には秋田犬が常に数匹いて、小さい頃の記憶は遊び相手が秋田犬(秋田犬の方が大きく遊ばれていたのかも)。

秋田犬の歴史・・・ルーツから現代まで

渋谷駅前の忠犬ハチ公像で有名な秋田犬ですが、そのルーツは秋田マタギ犬であり、秋田県北部に多く飼われていたことから大館犬とも呼ばれた時期があったとのこと。

今でこそ国の天然記念物に指定されていますが、ひところは全国で純血種の減少からごく少数の個体数まで減った時期もあった。

帰らぬ主人・上野英三郎(東京帝国大学教授)を渋谷駅で待ち続ける秋田犬「忠犬ハチ公」はあまりにも有名で、渋谷駅のハチ公像はこの逸話から建立されたもの。

あとこんな事もあった。
「太平洋戦争開戦以前の1937年(昭和12年)7月頃、来日していたヘレン・ケラーが秋田を訪れ、秋田犬を所望した。翌月に彼女に贈られた「神風号」は、初めてアメリカに渡った秋田犬である。」

なんとびっくり、あの奇跡の人ヘレン・ケラー女史が秋田を訪れ秋田犬が欲しい!と言ったかどうかはわからないものの、ヘレン・ケラー女史へ秋田犬が贈られた事実があった。

現代では2011年の大震災時の支援に対する返礼として、2012年秋田県からメスの子犬「ゆめ」がロシアのプーチン大統領へ贈られた。(そのお返しにロシアからシベリア猫のミールが秋田県に贈られた。

2018年には、これもロシアの平昌オリンピックフィギュアスケート女子金メダリストのアリーナ・ザギトワさんが、秋田犬を欲しいの!と言ったところ、秋田犬保存会からメスの子犬マサル が贈られた。

アリーナ・ザギトワさんと秋田犬のマサル

ザギトワさんへの贈呈に前後して2017年には元横綱白鳳関へ「真羽」が、2018年7月には元横綱朝青龍関へ「マサオ」(ザギトワさんのマサルのいとこ)が贈呈された。

秋田犬関係の人達の気前良さには脱帽するが、それほど全世界的に好かれる犬種それが秋田犬なのです。

飼育体験でしかわからない秋田犬の生涯

そんな秋田犬の生れてから亡くなるまでの10年余りを、実際に飼い主の一員として体験した事、思った事、感じた事を綴ります。

安産の象徴である犬の出産は秋田犬にも当てはまり、1回の出産で大体5~6匹が生まれます。夜に至って産気付いた雌犬が翌朝にはまるでネズミみたいな数匹の子犬を産んだ光景を何度も目にしました。
生まれたての子犬はまだ目が開かなく、子犬たちで群れて母犬に寄り添う姿は独特の愛おしさがありました。

秋田犬 子犬

やがて目が開いた子犬たちは、少しずつ行動範囲を広げ子犬同士ではしゃぐ姿はかわいいことしきり。

1年も経つといっぱしにワンワンと吠えるようになり、さらに行動範囲を広げた子犬たちはどんどん好奇心旺盛で、出会うもの全てに関心を示すようになります。
ザギトワさんへ贈られたのもこの時期かと思います。まだザギトワさんが抱えることができる大きさでした。

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2~3才にもなると成犬としての体格が出来てきます。秋田犬の特徴でもある両耳がピンと立ち、尻尾が巻かれた立ち姿は本当に凛としたものです。

体格と一緒に力も強くなり、大きくなったザギトワさんのマサルはザギトワさんを引っ張り回している映像を見ることができました。
私自身も小さい時、嫌がられながらも秋田犬の背中に乗って遊んだことを覚えています。

雪の中の秋田犬

我が家ではそれから少し経つと、飼われている中から一番の秋田犬が秋田犬保存会が主催する年1回の秋田犬品評会へ出展されます。記憶にある中では雄の晃山号が大きくてかっこいい犬で賞をもらったものでした。

そんな秋田犬たちも数匹居たものが一番小さく弱い犬を残して売られていき、残った犬を飼うという我が家のパターン。

残された小さくて力も弱い犬でも秋田犬らしく、飼い主にはほんとに忠実で部外者にはすぐになつかない特性がありました。
お座り体勢で頭をちょっと傾げて見つめてくる姿は、ほんとに絵になるかわいらしさがあります。

大型犬である秋田犬の飼育の大変さ

秋田犬が成犬になってからの飼育についてですが、

まず食事。1回の食べる量は人間と同じかあるいはそれ以上かというくらいいっぱい食べます。ご飯主体だとしても人間1人前の量が必要という事になります。ドッグフードとなればなおさら秋田犬1頭にかける食事費用はばかになりません。

体格が大きくなり、そのかかる費用に耐えられなくなり飼育放棄をする理由の一つになります。

秋田犬の成犬は普段ケージの中、あるいはどこかにロープなんかで繋がれた状態になっていますから、最低でも毎日毎朝夕1回はお散歩に連れていかなければ犬も運動不足となります。
飼い主がサラリーマンであれば、いくら朝夕1回ずつとはいえそれを毎日続ける生活は、その度に発生する犬の糞処理を考えると、ほんとに秋田犬が好きでなければ飼育放棄する人達が存在するというのもうなずけます。

これから秋田犬が欲しくて飼育してみたいと思っている人はこの辺を十分考慮して飼ってほしいと思います。

でも、以前報道されていた秋田市にある秋田県動物愛護センター「ワンニャピアあきた」の保護された秋田犬が、こんな可愛い秋田犬(青森県鰺ヶ沢町のイカ焼き屋さんの名物犬ワサオ似)をなんで飼育放棄するのかと思える現在の容姿ではあるものの、保護され同センターへ収容されて1年くらいは人間不信で人になつかない犬だった事実を知ると、飼育放棄しないで終生面倒みてやってくれ、と思えてしまう。

秋田犬の毛色について画像4

赤、白、虎が現在の主流で赤がスタンダードで好まれる傾向にあります。でも真っ白な毛色はまだ見たことがない人にとっては、想像以上に綺麗で感動するでしょう。虎色は最後に飼っていた秋田犬が虎色でその名も「トラ」と安易に名付けてましたが、当時の記憶がまだあり思い入れが強くて好きです。散歩中の虎色の秋田犬を見かけると思わず「トラ」と内心言ってたりしてます。

最後に

そのトラが死んで何年も経ちます。秋田犬の最期はほんとに可哀そうで、繋がれていなければ死に場所を探して毎日のように近所をふらふらしながらウロウロします。まるで自分が死ぬのを見られたくないかのような死に際です。

母がよく言ってたことに、犬を飼うのはいいけど死なれると可哀そうで嫌。確かにその通りで、私自身最後に亡くした犬から何年も経っているのにその後継を探そうとしないのは、そういう意味が強いのは事実。でも生存中にたくさんの楽しい思い出を分かち合ったと言える秋田犬の最期を看取ってやるのも飼い主としての務めなのかなと最近思うようになってます。

これから秋田犬を飼おうと思っている人へ言えるのは、1頭たった10年そこそこの秋田犬との暮らしですが、必ずお別れはやってくるという事。秋田犬はおもちゃとは違い途中でポイと捨てることはすべきでないし、最期はやってくるという事。最後までしっかり面倒見ましょう。秋田犬とはそれだけの存在価値があるものです。

アニマルセラピーという言葉を聞いたことがあると思います。

高齢化が顕著な現代においては医学的な見地からも、触れ合える動物(秋田犬)が身近にいるだけでもその存在意義は大きいと言えるかと思います。

秋田犬普及委員会の一員ではありませんが、一緒に暮らす負担は色々な意味でも多いとは思いますが、家族の一員として秋田犬1頭が存在する意味は大きいと言えます。

これを最後まで読んでくださった方々の、一人でも多く秋田犬との共存生活ができるよう願っております。

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