見出し画像

おっかない先生。

職場に
とても
おっかない先生がいます。

私は毎日、
午後から
地元の公立小学校で、
Teaching Assistant(クラス担任の先生の補佐)や
Midday supervisor(ランチタイムに休憩をとる先生たちに代わってクラスを見る)
の仕事をしています。

そのおっかない先生というのは
隣のクラスの担任の先生なのですが、
細身で
生徒を頻繁に叱りつけ、
ピシッとしています。

イメージ的には、
ハリーポッターのマクゴナガル先生、
メリーポピンズ、
あるいは、
ナニー・マクフィーを

より誇張した感じです。



実は私、
この先生に
強い尊敬を抱いています。

というのも、
生徒に結果を出しているからです。


私がこの学校で働くまで、


優しくて
生徒に寄り添って
個々のニーズを尊重してくれる先生が
良い先生

だと思い込んでいました。


でも、
ある目を見張る光景を見て、
考え方が一変しました。


少し前、
ある男の子がいたんです。
彼は自閉症で
学校での雑音が耐えられず、
いつも防音ヘッドフォンをつけて過ごしていました。

神経質になりがちで
プチパニックを起こして暴力的になる事も多く
お友だちもいませんでした。

教室で
座って授業を聞くのも難しく
頻繁に休憩が必要でした。


でも、
その厳しい先生が
担任になり

みるみる
様子が変わりました。


自信に満ち、
安心感が増えてきたのが見え、

ヘッドフォンも要らなくなり
仲良く友だちとも
遊ぶようになりました。

授業も
良い姿勢で参加するし、
絵のクラスでは
本当に6歳なのかな、
と思わせる作品を仕上げていました。


何が起きたのだろうと
他の先生に聞くと、

その、
おっかない先生は、

曖昧性がなく、
白黒はっきりしているんだよ。

と言われました。


余白がないことが
彼に安心感を与えたようです。



変に共感したり、
優しくしようとしている大人が相手だと、
そこに一貫性を見出せず、

逆にその曖昧さに
不安感を抱いていたんですね。


それから3年ほど仕事を続けていますが、
いつも同じような光景を目にします。


その先生に出会う前まで、

自分の子どもに対して、

優しくて、
子供のニーズを尊重して
共感してあげるのがいい母親なんだ
、と

思い込んでいました。


でも、
それから、

なんだよ!
そんなのただの思い込みじゃないか!!

と楽になりました。


私の息子は
自閉症の診断が下りています。

それまで
もう、良い加減にしろ!
このくらい我慢しろよ!

と思うようなことがたくさんありました。

そして、
私が彼に怒るたびに自己嫌悪になっていました。


でも、

怒ってもいいや、と
思いっきり怒ったり、


私も我慢せずに
嫌なことはイヤだと伝えるようにすると、
彼はそこから学んでくれました。

そこに、
一貫性がでたようです。


今では健康的な
人間と人間の関係を築けています。


変に理解がある大人を演じたりせずに
私も嫌なことはイヤだと言う。


なんだ、
素直に感情を出しても
よかったじゃないか、と

思わせてくれると同時に、

彼の強さをもっと信用して良かったんだ、

と思った経験でした。


その厳しい先生も、
生徒を信用しているんだと思います。



社会的風潮で
優しさや共感は
褒められやすいことではあるけれど、
逆効果にもなり得る。

ここでは言いたいのは、

何が正解で
何が不正解か
ではなく、
(優しやや共感が大事な時だってもちろんあります)

私達には
もっと柔軟に考えていいような
いらない思い込みがあるのではないか。

と自分をふりかえってみることが
大事だということです。


私は、

優しくて
生徒に寄り添って
個々のニーズを尊重してくれる先生が
良い先生

だと思いこんでいたので、

正直、
今回の先生を見たときに
ギョッとしました。

その先生も
社会的には優しい方が
ウケがいいことなんて
わかっていると思います。

でも、
あえて厳しい役を
買って出てくれてるんですよね。


初めはわからなかったけど、
今ではその姿がとても勇敢です。


世間的にウケが悪いようなことを
捨て身で
思い切ってやってくれて
極端な逆の姿を見せてくれている人、


開いた目で見てみると
日常的に色々なところで目にします。


イギリスの有名人でいうと
MOMOYOさんがブログに書かれていた
Russell Brandもその一人だと思います。


大嫌いな人と大好きな人に別れる。


よく見たら本当に
たくさんいます。

家族にもいます。


そういった人を見つけて


自分は
何が正解で
何が不正解と思っているのか
それを見つけ出してみると、

可能性が広がるものです。


私たちは
なんらかのルールを
絶対じゃないのに
絶対だと決めて
自分を締めつけています。


頭で
それはタブーなんだ、

と否定せずに

いろんなタブーを探して、
いろんな角度で考えてみましょう。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?