数字とハードル
数字が苦手なのは何度も公言しているのだが、バザーという『物を売る』『場所の準備をする』にどうしたって数字は付き物である。
物にバザー価格で値段をつける。
使う設備の明確な数と割り振りを決める。
売り場に立つ人数決めと割り振り。
限られた数しかない養生シートの割り振り検討。
少ない予算内での養生テープの発注数、発注先の検討。
などなど…
苦手だろうがなんだろうが次々と数えて決めてやっつけていくしかない。当然前年のデータを元に参考しまくってやっていくのだが、それでもやる作業はたくさんでいっぱいいっぱいだった。
協力してくれる委員と駆けずり回り、委員の他に直前から登場するバザー係を加え、担当を振り分けたりみんなでホールで値札をつけたり、園の椅子や机を設備として借りるので、必ず元の部屋に戻すために全ての部屋の椅子と机を数え名札とナンバリングをし、シフト表を作り、みんなでシートを確認&掃除し…とやることも考えることもたくさんで、頭がいっぱいな毎日だった。
頭がいっぱいな中『あなたとイスを数えましょう』などと歌い呟くことだけが小さな余裕だった。
連日自宅ダイニングテーブルに資料とメモ用紙を並べ、やってもやっても終わらない作業に寝る間も惜しんで没頭していた。
うちはバス通園で所定のお迎え場所に出なければならなかったのだが、バザーの前々日には没頭し過ぎて同じ場所で待つママ友からバス来てるよ!と電話が来たということもあった。他の日にバスより後に着いたことは無いので、きっと一生忘れられない。
普段あまり物事に情熱を傾けないタイプなもので、ここまで没頭したのか凄いなと自分を見直したりもした。
この頃にはバザー委員の顔と名前も把握して少し仲良くなったり団結力が出来てきたりで、もう直前なのだけどバザー当日前に良い雰囲気が作れた事が嬉しかった。もちろん至らない点ばかりでどこか不満に思っている部分がある人もいただろうなとは思うのだけど、バザーを成功させるという目標に向かってみんなが同じ方向を向いていることで、脇目も振らずまっすぐ走れた気がする。
で、そんな頃にやってくるのだ。
もう何年も出店している超ベテラン勢も参加する『個人出店説明会』が。
超ベテラン勢の出店者に、超ぺーぺー委員長が説明するのだ。何を。そうだ、何を。今更私があなたに言うことなど無いのきっと。私たちの間に説明なんて要らないでしょう?ってかむしろ私が説明して欲しいくらいなんですけど。
そんな説明会。
いや、売り場の場所割りという重要な話し合いはあるのだが、それすら超ベテラン勢が仕切ってやってくれたので、委員長はとても飾りだった。ありがたいことにスムーズに説明会は終わったが、ここに関わる大きなミスを2つもやらかしていて、この大変な時期にまた底まで沈み切った。書類の見間違いと、発行したおたよりに記載した私のメールアドレスの間違い。
そりゃ連絡来ねぇわなぁ。
もう自分への苦笑と呆れで久しぶりに海底に沈んだけれど、本気で忙しいので底を力いっぱい蹴飛ばして強制浮上した。
落ち込んでいる暇など無い!!
この委員長として動いた半年の間に何度か私に訪れた言葉である。本当は落ち込んで引きずって一生持ち歩くタイプだ。でも、時間がない。落ち込んでいたらやるべきことが終わらない。ここで私の中に発生した落ち込みというネガティブを、ばっさり切り落とす精神力のハサミを手に入れた。
このハサミは忙しくなくなった今も大事にしていて、くだらないことで感情に引きずり込まれそうになった時は静かに取り出す。はい、ばっさり。切り口が痛むことは無いとは言えないが、その痛みを忘れてしまったら図々しいだけのおばはんになってしまうかもしれないから、その痛みもきちんと自分のものとして。でもちょっと横に置かせて貰うからね、と。
まあ、強くなったよね、確実に。とは思う。
忙しくて殺伐とはしてしまったが、その分研ぎ澄まして物事を見る事や切り捨てる事が出来るようになったことは財産だな、と思いながら今日もこれから先も、一生モノのハサミを手入れし続けていく。
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