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壁とハードル

幼稚園の夏休みはバザーにとっても小休止である。ここには時系列に沿って書いているので9月まで特別な動きは無いのだが、この間に今回は番外編を書いておく。

夏休みに入る頃、当時借りていた部屋の更新時期が迫っていた。最初にそこに引っ越した時は学区のことを深く考えておらず市で決まっている区分けに従えば良いかなと思っていたのだが、改めて向き合ってみると学区の端オブ端(お向かいのアパートなら違う学校)、通学路は昔からある街道で、車の交通量も多ければ歩道も狭い、横道から自転車が飛び出してくることもしばしばの心配が絶えない道しかない。

少し特殊な地理で回り道も出来ない上に大回りしても似たような道路。遠いわ危険だわ、うーん悩ましい。これは次の春から小学1年生の息子の通学路心配過ぎて毎日ついて行ってしまいそうなレベル。

そんなこんなで、家族の転職に伴う通勤経路の事もあり、隣の学区に小さいながら即決したいくらい気に入った賃貸マンションがあった為、引っ越そうと決めた。

引っ越し予定日は7月始め。6月後半のバザー作業と自宅箱詰め作業が同時進行。転職のあれやこれやもあり記憶がところどころ抜け落ちているが、なんだか壮絶だった気がする。

東京に来てから引っ越すのも4度目なので、ある程度慣れもあり粗大ゴミを出すタイミングや色々な手続きなどもまあまあ順調だった。ただ貴重なダンボール2箱以上にバザー関連のものがある。クラス作成の工作。無くしてもいけない、壊してもいけない、大切に大切にしまい、わかるようにでかでかとバザーと書いた。

あれから1年と1ヶ月が過ぎた。
先日、今年の委員長から会って話がしたいと連絡があり、手頃なファミレスで落ち合う事にした。
私が昨年ファイルに残した情報より先、ちょっとした細かいこと、情報には書かれていない作業の進め方を話し、そして、人を取りまとめることの大変さなど、大きな壁がありそうだなと思いながら聞いた。
私も前年の委員長から『何か問題があっても委員長権限を使え』と伝えられていたが、なんとかみんなで決めたりみんなで動いたり出来たのでそういう事を意識したことが無かった。だが、今年はどうもやりにくさがあるらしい。

昨年度の私たちは1学期にいろんな作業をして何度も会議をして、薄い縁ながらも親しくなり緩やかに信頼や絆を積み上げる事が出来た。今年は縮小の為一学期にする事があまり無く、会議も一度。話を聞いていると、みんなで同じ目標に向かって頑張って行こうという団結力のようなものはいきなり築けないよなあと感じたし、私たちはその作業が多く大変だったけど、意味があったんだなあ、と教えてもらった気がした。

私が使わなかった委員長権限のことを敢えて彼女に伝えた上で、もしまとまらない事があって揉めた時は、私の名前を出してkoyunyuさんがこうしろって言ってました!って決めちゃって悪者にしちゃいなよ、と悪役志願をしてみた。

それが正しいかはわからない。しかし、彼女だって卒園するまでは出来るだけ周りを敵に回したくないだろう。完全に厚意で、ボランティアでやっている事に仕事並みの色々を求めるのは酷ではないか。そんな気持ちが消えなかった。前年の委員長がわざわざ委員長権限を使えと言うという事は、前年にもそうせざるを得ない状況があったのだろう。実際、私にもこの女性集団取りまとめるの無理では…となった時は最初あったもの。

念の為言っておくと決して私はリーダーとして優れてはいない。委員長権限を使わずに済んだのは、目の前に必死になり過ぎて見えなかった部分もあったと思うしそういう押し切る形が苦手なのもあったし、いちいち邪魔や反論してくる者もいなかったからだ。恵まれていた、きっと。

前年の人間なので、現場に出しゃばることはない。もう入園する予定の子もいない。卒園した小さなコミュニティの中で悪く思われても構わない。私の役割は縁の下の力持ち兼、悪役だ。それを伝えて、何かあったらいつでも連絡してねと添えた。

そんなわけで、2学期になったら悪役デビューかな、なんてドキドキしているし、珍しい配役に何故かちょっぴり期待もしている。

#バザー

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