紙とハードル
夏休みが終わると、バザー委員後半戦が始まる。
製作の1学期。
販売に向かう2学期である。
1学期に作った手作り品を管理しながら、ご家庭の不要な品を提供してもらいお求めやすい価格で販売するまでの作業とそれに付帯する諸々を2学期に行う。
提供品の回収、仕分け、価格設定、値札つけ。園内外に貼るポスターの作成、予告も兼ねたチラシの作成、バザー前日・当日の予定を綿密に詰めていくこと。
提供品に関しては割り振りの計画をしっかり立て担当の意識を持ってもらい、力を合わせて『みんなで頑張る』が出来たと思う。もちろん準備あっての『みんなで』なので、そこに向かってかなりの時間と労力を注いだけれども、この頃には少し団結力のようなものも生まれてきていて流れはスムーズであった。
ポスターとチラシに関しては仕事を割り振りする事が難しく、またパソコンが使えた方が作業がしやすいであろう点から出来そうな人が見つからずまた自分で背負ってしまった。短期間で誰かに押し付けるにも情報も足りな過ぎた。
ポスターの表題と開催情報を作成した辺りで、イラストをどうするかで作業が止まった。描くか、どこかのフリー素材をいただいてくるか、しかし歴代のポスターは全部手描きされているし、ここはやはり描くべきか…
もやもやしていたら、以前ピザランチした保護者の会の会長さんがイラストが得意ですよという噂を小耳に挟んだ。いやでもしかし、彼女も忙しいはずだ。間違いなく絶対忙しい。頼めないよ…などと遠慮していたら、彼女の方から声をかけてきてくれた。絵を描くの好きだから、苦にならないよ、もしよかったら描くよ、と。
好きで苦にならないのは事実かもしれないけれど、間違いなく忙しい最中。恐らくこちらに気を遣わせないように言ってくれたのだろうなという彼女の優しさがありがたかった。
ならば協力ポスターにしよう、と表題と文字情報だけ入れた物をコンビニのコピー機サービスで大きな用紙にプリントアウトし、空きスペースにイラストを描いて貰うようお願いし彼女に渡した。あとは確認だけして園に印刷してもらうだけなので私の仕事は貼る場所の割り振りだけだ。気持ちを切り替えてチラシに向かった。
チラシは各クラスの手作り品と個人出店者の広告宣伝内容を同じくらいのスペースずつ各自で作成してもらい、それを取りまとめるのと他の文字情報やタイトルなどを入れる作業だった。表題を作りイラストを入れ、作成してもらった各自の広告をレイアウトしていった。こういうのが得意な人などを知っていればお願いすることも出来ただろうが、立候補も居なければ紹介も無く、また誰かに振るにしても全部説明しなくてはならない、並行してしなければならない作業がいくつもある中でも、自分がやってしまった方が早い、になってしまった。
楽しいのは楽しかった。なんの取り柄もない普通のおばちゃんがチラシを作るなんて滅多にできる経験ではない。時間はない、パソコンに詳しいわけでもない、わからないことや、これはやれるはず、なことをガンガン検索し、思い通りの表題や内容に仕上げていった。完全に素人仕事だけれども、この経験値は本当に貴重だった。私、やれば出来るのかもしれない、という気持ちを強くしてくれた。
何故かハードルこと前年までのファイルにはこういう作業の情報の記録がほとんど無かったので、前年までの人がやってきたから、の理由で現物を見ながらかなり体当たりで取り組んだけれど、結果的にやり遂げた後の満足感は強かった。と同時に、こういう細かい情報を残すことも必要でしょうよ!!という思いでこの件もそれ以外でも自分の仕事を更に増やしたのも事実なのだが、細やかに細やかに記録したファイルを今年度の委員長さんには感謝して貰えたのでそれだけで報われている。
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