第54回細胞検査士資格認定試験⑤

【技術2】1~5問

私のトラウマです!!!!!!!ここで足切られた。

答えは太字

1.顕微鏡の操作について正しいものはどれですか.


A.左右の視力の違いの補正には眼幅調節座を用いる. 
B.視野に影やムラがある場合は開口絞りで調整する
C.コンデンサー開口絞りは対物レンズの開口数の 85~90%に調整する. 
D.コンデンサーの位置は最上部から下がった位置である.
E.対物レンズの補正環はカバーガラスの厚さの差による像の焦点を補正する.

目幅調節座は左右の視野を1つに合わせるもので視力の違いを補正するものは視度補正環です。

・開口絞り
標本を照明する光の開口数を調節する。明るさ絞りともいい、開口絞り環をまわして調節。
開口絞りを絞ると、コントラストはよくなるが分解能が悪くなる。明るさも低下開口絞りを開くと、分解能はよくなるがコントラストは悪くなる。また、明るさが増す。開口絞りを対物レンズの瞳径の70~80%にすると良い。

・コンデンサー
ひとことで表すとコントラストを調整するところ
コンデンサーを上限まで上げておいて少し下げて使用

正直、顕微鏡のことはオリンパスさんやニコンさんのサイトを見た方が良いと思ったのでリンクを貼っておく。私もよくお世話になっている。私は顕微鏡の問題、とても苦手です。

開口絞りとコントラストの文章は過去問でよく見かけますね。

2.超音波内視鏡下穿刺吸引(EUS-FNA)について正しいものはどれですか.

A.腫瘤以外にリンパ節などが対象となる.
 B.穿刺針は 18G を使用することが多い.
 C.迅速細胞診に Shorr 染色は用いられない. 
 D.穿刺吸引後は陰圧をかけたまま病変から針を抜く. 
E.壊死物質のみが採取された場合には再穿刺を促した方が良い.

私は病院勤務ではないのでこの手の検査は臨地実習以来触れておりません。
だから研修会や参考書で得た知識しか分からない泣

19G・22G・25Gの針を用いること多いが25Gが有能と聞いた。
19G→細胞採取量が多いけど出血しやすい
25G→安全性が高いけど細胞採取量が少ない

①適応
充実性腫瘤性病変
切除不能膵癌が疑われる症例の確定診断
膵体尾部病変の術前確定診断
転移巣の精査
微量腹水
胃GIST
乳腺・甲状腺・リンパ節

②禁忌
出血傾向
肝細胞癌→播種の可能性があるため
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)や粘液性嚢胞腫瘍(MCN)などの嚢胞性病変→播種の可能性があるため
胆のう・胆外胆管→胆汁性腹膜炎のリスクがあるため

③ベッドサイド(オンサイト)迅速細胞診
検体の適正・不適正,細胞採取量,悪性の有無などを判断しながら標本を作成

腫瘤の中心(大きければ辺縁)に針を刺す→陰圧状態で腫瘤内で細胞を採取→陰圧解除して針を抜く

Shorr 染色やDiff・Quik染色が用いられる

Diff・Quik染色
1,冷風乾燥固定
2,Diff・Quik固定液 10秒
3,Diff・Quik Ⅰ液 15秒
4,Diff・Quik Ⅱ液 15秒
5,水洗 5秒

めっちゃ早!!!!

また、検体の性状から考えられること
赤色(血液成分)→血管豊富な腫瘍・出血
粘性(粘液成分)→粘液産生腫瘍・細胞量少ない
茶色(壊死成分)細胞量少ないので再穿刺した方が良いかも

④診断成績・偶発症
膵癌診断 感度80~97% 特異度82~100%
胆道癌診断 感度84% 特異度100%

偶発症
→出血,急性膵炎,感染症,膿瘍形成,消化管穿孔,播種
充実性病変は2%以下
嚢胞性病変は14%くらい

3.Papanicolaou 染色について正しいものはどれですか.


A.ギル・ヘマトキシリン染色液に含まれる酸化剤はヨウ素酸ナトリウムである.
B.OG-6 染色液に含まれるリンタングステン酸はオレンジ G の過染を抑制する. 
C.細胞質染色は化学的親和性を利用している
D.ヘマトキシリンはわずかに負に荷電した色素である. 
E.オレンジ G , エオジン , ライトグリーンは正に荷電した色素である.

Papanicolaou染色
①透過性良い
②重層扁平上皮細胞の分化に応じて細胞質の染め分けができる
③核のクロマチンパターンを詳細に観察できる

染色原理
色素分子の大きさと細胞質の疎密が関与

学生時代の資料(ありがとう先生)

負に荷電した酸性色素たちのオレンジG,ライトグリーン,エオジンたちの分子量と拡散度は
分子量 オレンジG<エオジンY<ライトグリーン
拡散度 オレンジG>エオジンY>ライトグリーン

ヘマトキシリンは正に荷電して生体内の負に荷電した部位に結合し紫色に染める
ヘマトキシリン自体は無色の粉なので染色性はありませんが、酸化剤で酸化しヘマティンとなる。このヘマティンをアルミニウムなどの媒染剤と結合させヘマティン金属レーキを生成することで染めているのですね。

ギルヘマは退行性ヘマトキシリンなので塩酸アルコールなどで分別が必要です。

また試薬の組成ですが
ギルヘマ
ヘマトキシリン
硫酸アルミニウム:媒染剤
エチレングリコール:安定剤
DW
ヨウ素酸ナトリウム:酸化剤
氷酢酸

OG-6
オレンジG
100%エタノール
リンタングステン酸→酸性色素と似た化学的構造を持ち、各酸性色素の重複を防いでいる

EA-50
ライトグリーンイエロー
エオジンY
ビスマルクブラウン→塩基性色素、類脂質の染色

4.次のうち正しいものはどれですか.


A.PAS 反応で軟骨基質は陽性を示す.
B.Alcian blue 染色は Colloidal iron 染色よりヒアルロン酸の証明に有用である. 
 C.Toluidine blue 染色ではアスベスト小体が青色に染色される. 
D.Grocott 染色は放線菌の染色には不適切である.
E.Mucicarmine 染色では Cryptococcus の菌体が赤~淡赤色に染まる.

PAS染色
多糖類を過ヨウ素酸で酸化、生じたアルデヒド基をシッフ試薬で呈色
陽性物質:糖源,粘液,軟骨基質,甲状腺コロイド,細網繊維,基底膜,アミロイド,赤痢アメーバ,真菌など

Colloidal iron 染色
Alcian blue 染色と同様に酸性粘液多糖類を染めるがAlcian blue 染色と比較して鋭敏に反応する→ヒアルロン酸の証明に有効

Toluidine blue 染色
メタクロマジーを利用して酸性粘液や肥満細胞を染める

アスベスト小体はBerlin blue染色で青色に染まる

Grocott 染色
放線菌,ノカルジアの菌糸,ニューモシスチスイロヴェチ,ムーコルの菌体

✍ニューモシスチスイロヴェチはGGT
Grocott 染色,Giemsa染色,Toluidine blue染色で染まるよ

Mucicarmine染色
上皮性粘液とCryptococcusの莢膜が良く染まる

✍マックでクリスピーって覚えてました
Mucicarmine染色,Alcian blue 染色,Colloidal iron 染色でCryptococcusの莢膜が染まるので

5.体腔液の標本作製方法について誤っているものはどれですか.


A.滲出液は漏出液に比べ早期に細胞変性が起こる.
 B.オートスメア法は細胞数が少ない検体の標本作製に有用である. 
 C.遠心後,バフィーコート層を採取して標本を作製する. 
 D.引きガラス法で高粘稠度の検体では角度を低く,ゆっくり引く. 
E.0.9%塩化アンモニウム溶液は 1.2%シュウ酸アンモニウム溶液より溶血速度が速い.

滲出液
✍滲出液の「し」は腫瘍性の「し」
滲出液は腫瘍性や炎症性病変で血管内成分が溢れてしまう。
蛋白成分が多いので変性しにくい。比重1.018以上

漏出液
炎症以外で血管内の水分が漏れ出てしまう。
蛋白成分が少なく変性しやすい。

オートスメア法
液状検体(細胞少ない)で有効
遠心と塗抹を同時に行えます

液状検体の場合
オートスメア法の他にもポアフィルター法や遠心沈澱法,セルブロック法が有効です。

体腔液でバフィーコートが分かりにくい場合は溶血剤を用いると良い。
溶血剤には0.9%塩化アンモニウム溶液,1.2%シュウ酸アンモニウム溶液などを用いる。

1.2%シュウ酸アンモニウム溶液
細胞変性はやや強くなるが溶血速度は速い (溶血時間3~5 分程度)
0.9%塩化アンモニウム溶液
細胞変性は少ない が溶血速度は遅い(溶血時間5~10 分程度)


細胞診標本の作成に関して私はルーチンで嫌なほど関わっているのですが、溶血剤を用いることはあんまりないという…
あと細胞検査士会のホームページに良いマニュアルがPDFで載っているのでオススメです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?