見ている人に幸せを 11月行灯制作チーム「中部学院大学 インクルーシブアート研究会」
11月の行灯を制作するのは、今回初参加となる中部学院大学インクルーシブアート研究会のみなさんです。
インクルーシブアートとは? 直訳すると「包括的芸術」。
障がいのあるなし、年齢、性別、国籍などに関わらず、誰もが参加できる芸術活動のことだそうです。
こよみのよぶねもインクルーシブアートと呼べそうです。
こちらの研究会の顧問は中部学院大学 人間福祉学部 人間福祉学科 准教授の水野友有先生。
水野先生と前制作リーダーとの縁から、「制作してみませんか?」とお誘いしたところ、
「若者たちがやりたいと言えば」
水野先生は学生さんを「若者」と呼ばれるそう。提案を大学に持ち帰ってくださいました。
普段、研究会では絵を描くことが多いようです。
大きな行灯づくりはいつもとは違う活動ですが、彼らの答えは「作ってみたい」でした。
今回のデザインは学生のみなさんが案を出し合い、投票することに。
1年生の近藤さんの案が選ばれ、みんなでデザインを煮詰めていきました。
馬が2頭並んで「11」を表しています。
「馬は縁起が良い動物で幸せを運ぶといわれています。見に来てくれた人を幸せにする、そんな願いをこめてデザインを考えました」
切った和紙を貼り、ひらひらと風に舞うたてがみを表現するそう。
制作リーダーからの説明をよくメモして、自分たちで竹を組んでいった学生さんたち。授業の空きコマを使って、寒い中コツコツ地道に制作を続けました。
和紙貼りも、のりを水で溶かすところから苦戦していましたが、なんだか楽しそう。
一度説明を受けると、自分たちでどんどん進めていきます。
「こんなに時間がかかって難しいと思わなかった」
12月に入ると焦りが出てきたり、寒い中の作業だったこともあり、メンバーの中で少しぶつかることもあったようです。それでも、対話し、議論し、ガス抜きをしながら制作し、最後には全員が納得する行灯が出来上がりました。
「最近では。人間関係において衝突しないように、距離感や空気感を事前に察知しようという風潮がありますが、やっぱり違うなと。不満や不安を吐露しながらも、賞賛や励ましで問題解決していく若者の姿を見ていて思いました」
「喜怒哀楽のベクトルの長さは実は同じで、怒りや哀しみも存分に表現してこそ、喜びや楽しみがそこを超えてくるし、そういう喜怒哀楽を表現しあえる場があることが人間らしいなと。
今回のこよみのよぶねへの参加が、若者たちの多様な感情を表現しあえる場になっていることは確実で、こよみのよぶね当日も楽しみです」
そう語ってくださった水野先生の存在があるからこそ、安心して感情を出しあえるのでしょう。
見る人たちの幸せを願って制作してくれた「11」。若者の想いを受け取ってください。