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絢辻さんの考察~スキBESTは本当にハッピーエンドなのか~

絢辻さんのエンドは裏表のない素敵なベストエンドです?


絢辻さんと言うキャラはアマガミでも屈指の人気キャラであり、アマガミといえば絢辻。と言っても過言ではないほど王道のヒロインである。
しかし、昨今の現実世界では絢辻さんは二面性がある正統派ヒロインという感じでしか受け入れられていないと思う。いろんな生配信者が絢辻さんを攻略しているが、ほんとうの「わたし」を見つけているだけで満足しているなぁという感じを抱くのだ。ほんとうの「わたし」を見つけるゲームなのに、絢辻詞の本質に迫る動画・考察というのあまり存在しない。
スキBESTは本当の絢辻さんを見つけるエンディングで終わるのだが、これは本当の意味でのBESTエンドなのだろうか。と自分は疑問に思ってしまうのである。たしかにほんとうの「わたし」を見つけたという意味では真のエンド…なのだろう。しかし絢辻さんは創設祭の実行委員であったにも関わらずその座を追い出され、クラスではいじめられてしまっているのだ。このエンドをベストというには違和感がある。少なくともハッピーエンドとは言いがたい結末である。どうにもこれがベストだということが納得いかない。そこで今回は、絢辻さんが本当にこのエンディングがベストエンドなのか。またベストエンドである理由はなんなのか?ってことを考察していこうと思う。

絢辻詞のスキエンディングは他のヒロインと異質である。


絢辻詞のスキエンディングは、他のヒロインとはかなり違ったエンディングである。これはネタバレになってしまうので、ヒロインの結末はぼんやりとごまかすが、絢辻さん以外のアマガミヒロインはスキBESTルートでは「未来」が示唆されているのである。しかし絢辻さんには残念ながら「未来」が示唆されていない。

絢辻詞ルートのBESTエンド(これをよく覚えて欲しい)


梨穂子は結婚指輪を渡され、薫は親に彼氏との関係を打ち明け…(これ以上はネタバレになってしまうのでここら辺にしておく)とまぁアマガミのヒロインのスキBESTエンドには、なにかしらのヒロインとの「未来」が示唆されている。そしてナカヨシルートでは、恋人として、充実した学生生活を過ごすところが映し出されるのが大体の流れである。
しかし、絢辻さんの場合は逆である。ナカヨシエンドでは、結婚して子どもとクリスマスを迎えるという「未来」が示唆されるのに対して、スキBESTエンドで「仲を深めた」描写、学生生活が過ごされるシーンが映し出されているのだ。

ナカヨシエンドで見られる光景


さらに絢辻さんのスキルートでは、絢辻さんが他のどのルートでも完遂した創設祭が、黒沢に乗っ取られてグダグダなものになってしまうというなんともいえない胸糞悪さがある。まぁこれは、高山さんの哲学(ヒロインの未来を破壊してでも幸せになる覚悟)に基づくものなのだろうが、それでもこのルートだけは絢辻さんに救いがあまりにもなさすぎるルートに思えるのだ。
スキBESTルートが絢辻さんの時だけ、「未来」が示唆されていない違和感のあるものになっていることがわかっただろう。なぜ絢辻さんだけがスキBESTルートで未来が示唆されていないのか。そのことを理解するためにまずはスキBESTルートの本質的な部分にも触れていこうと思う。

絢辻詞のスキBESTエンディングとは


スキBESTでは「わたし」を見つけるために多くの犠牲を払うエンドである。絢辻さんが手帳を見せたことで始まった、「あたし」の自己開示をさせたことがきっかけで、創設祭の成功も、世間体の成功もすべて台無しにさせたうえで、主人公ととの恋愛を実らせるという犠牲ありきのエンドなのである。

この後絢辻さんは自分の世間を捨てて主人公をかばった

アマガミではどのヒロインでも共通する世界観がある。それはヒロインの成功する未来を犠牲にしても結婚する覚悟を持たなければならないということである。これはさっきも言ったとおり、高山氏自身が明言していることなので、私の妄想とかそういった類いではない。アマガミというゲームは、ヒロインが社会的栄光を得られたであろう未来を破壊して、幸せになろうというのがアマガミの世界観なのである。
しかし、絢辻さんだけはその社会的栄光の破壊の度合いが違う。他のヒロインならせいぜい夢破れたりとか、高嶺の花で届かないところに行ってしまったりであったりとか、大会で良い結果を得られなくなったりとか、オタクの道を進んだりであったりのような小さな社会的成功を壊すぐらいのものである。しかし絢辻さんは違う。絢辻さんは自分が手に入れた社会的栄光を全て失ってしまうのだ。創設祭を成功させることであったり、学校という世間で受けいられることであったり、みんなから受けいられることも放棄しないといけない。

主人公のことを殴るくらい、発言に怒ったのは社会的地位を失ったから

さてこれを読んでる貴方は社会性を捨てられるだろうか?世間では学歴であったりとか、就職であったりとか、成功を常に求められる。世間から逸脱しないために人は多くのエネルギーを使う。おそらく大抵の人は世間に適応するためになんらかのエネルギーを使っているのであろう。
そして、絢辻さんの場合はその社会に適応して過ごすということにおそらく常人以上のエネルギーを使っているのである。それは絢辻さん本人もとてつもないエネルギーがいると明言しているのだから相当なものなのだろう。

猫をかぶるのもエネルギーが必要(絢辻詞シリアイルート談)

主人公と出会う前の絢辻さんは、学業は完璧に、運動神経は抜群で、みんなから信頼されるために愛想を振りまき、全て打算でしか行動しない。絢辻さんは社会に適合するためにかなりの努力を重ね執着している。
スキBESTルートではそんな社会的承認に執着していた絢辻さんが、主人公との仲を追求され、創設祭の手伝いをしていた主人公をバカにされたことに怒り、その世間体を全て放棄する。社会的承認のために動いてきた絢辻さんにとって世間体を放棄するというのはつらい選択であるのは間違いない。だが絢辻詞の全てを肯定してくれる、人のために動いてくれる、絢辻さんが絢辻さんであることを認めてくれるのは主人公しか世界にいないのである。だから絢辻さんは怒ったのだ。
始めて絢辻さんが自分の利益になるようなそういった打算を考えずに、人のために動いた瞬間である。

絢辻さんはみんなの前で怒らなくとも場を治められたはずだったのに…

おそらく主人公との仲が深まらなかった世界線の絢辻さんなら怒りもせず、淡々と創設祭を成功させていただろう。(黒沢の妨害も主人公が近づかなければなかったのでそもそも失敗させられる要因がないのだが)
スキBESTルートでは、そんな絢辻さんの「私」の部分が作り上げた絢辻詞の社会的承認を全てぶっ壊した上で、ドッジボールでぼっちで惨めにいじめられる目にまで遭わせてしまうルートなのだ。ゲームの中であると、ゲームという流動的なものであるから悲惨さというものは感じにくいが、文章にしてみるとなかなかに悲惨だ。絢辻さんは「主人公」を好きになってしまったが故に、ここまで惨めな目に合ってしまうのである。これがベストエンディングにつながる過程だというのがこのゲームの恐ろしいところである。普通の凡庸なゲームであればこの後に恐ろしい結末が待ち受けていそうものであるが、アマガミというゲームでは「BESTエンド」への過程なのである。絢辻さんのスキBESTエンドは、ほんとうの「わたし」を見つけるという物語であり、そのために絢辻さんの世間体を犠牲にしなくてはならないという残酷な物語なのである。

まさか絢辻さんの覚悟を知らずに浮気なんかしてませんよね?

終わりに


貴方はこのエンディングに関してどう考えますか?投稿者的にはほんとうの「わたし」に近づくためには仕方ないのかなと思いましたが…、それでも救われないエンドでもあるなあと感じてしまいました。まぁ絢辻さんは最終的に本当の「わたし」を見つけられたのでよかったのかもしれませんがね。よければ貴方の見解をコメントや意見などでくださると幸いです。よろしくお願いします。
次回以降は絢辻詞さんのウラガワについて取り上げていこうと思います。そのウラガワに関しては、ドッジボールイベント、ウサギとカメイベント、弁当・食事イベントで深く掘り下げられているので、また自分も深く掘り下げていきたいなぁと。「絢辻詞のわたし・あたし・私」に関しても取り上げたいですね。ともかくここまで見てくださりありがとうございました。
note初出筆で元々は動画用の原稿なので、語彙や文章おかしかったかもしれません。読みにくい!って方は動画での視聴をオススメします。ここまで読んでくださりありがとうございました。よかったらスキやフォローよろしくお願いします。


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