組織統制のジレンマ

何かトラブルが起きると、下の立場の人はすぐに
「上に統制を取って欲しい」
って思いますよね?

現場で勝手に判断をするのは良くないことですし
上に統制をとってもらった方が上手く動けると思うからです

しかし実はこれって大概が悪手になるのです

なぜかと言うと
「上の判断は一律になる」
というものだからです

大概のトラブル対処の正解は
実はケースバイケースです

その環境それぞれに適応した対処をするからこそ
問題は無理なく解決される

でも【上】は全ての現場それぞれにマッチした策なんて
作れるわけがないのです
そんなことをしていたら莫大な時間と費用がかかる

そこで対処を求められた【上】は
全体に【一律な策】を発せざるを得ない
これが現場混乱の元になるわけです

2020年初頭
世界で大規模な新型コロナウイルスの被害がありました

この際、現場は政府に
「統制をとってください」
と言い続けた
その結果が
「全国一斉学校閉鎖」
「全国一律イベント自粛」
の要請です

これには現場は大いに困った

でも、これは仕方がないことです
政府が全ての地域の学校と全てのイベントに対して
一つ一つ対処できるわけがないのです
上ができるのは一律政策だけなのですから

あちらをたてればこちらがたたず
それが世の中です
「上がまとめて統制をとる」
実はそれそのものが悪手なんです

国の対応も同じです
全世界の統制を取ってもらおうと
WHOに判断をあおいだ
しかも早急に

医療設備も
衛生意識も
経済環境も
社会倫理も
何もかも違う国に対して
一律に対処を要求したら
混乱するのが当然です

しかし世界がそれぞれの国の性質を十全理解し
適材適所の政策を発表するまで動かなければ
それはそれで問題です

政治が愚策をするのは大概がこういった理由です
別に【上の能力が低い】わけではない
そもそも無理ゲーなのです


ではどうすれば良いのでしょうか?

昔「踊る大捜査線」というドラマがありました
上の判断に現場が右往左往させられる
社会の問題をテーマにした刑事ドラマです

これの映画版においてのクライマックスシーン
全ての責任を一身に背負ったリーダーが
最後に発した命令は

「君たちの判断を信用する」
でした

理想的な最高の命令です

ビジネスシーンで上司が言ってみたいセリフの1位は
「好きにやってみろ!責任は俺がとる!」
だそうですw

いずれも
「現場を知っている人に任せる」
です

もしも、最適な解決を望むならば
現場の人が責任を持ち
自分の頭で判断する

現場が自立し
自ら策を考え
それを上に提案する
上はそれらをまとめ、それらが実現できるように
調整する

本来【上】に求められる能力は
統制ではなく、調整なのです
対策作りは本来は現場の役目なのです

そのために現場は現場を理解しなくてはいけない
解決策を模索できるようにブレインを作らなくてはいけない
現場は手足ではなく
頭脳の集まりでなければいけない

「事件は会議室で起きているのではなく、現場で起きている」

だからこそ
現場の能力を高めることこそが
実りある対応を作るために不可欠なことなのです

【チナミニ】

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