「種明かし」に対する考え方

マジックでは
「種明かしをしてはいけない」
とされています

これはあまりにも当たり前すぎる大前提です
しかし実際は、この「種明かし」にまつわる数々の問題が業界内で巻き起こることも事実です

そこで
この「種明かし」について
あらためて考えていきたいと思います

さて、そもそもなぜ
「種明かしをしてはいけない」
のでしょう?

これを端的に無矛盾で答えられるマジシャンは意外と少ないようです
しかし、私はこう考えています

「そういうルールだから」

なんとも身も蓋もない答えですw

ただ、実際は本当にこの1つでで全て説明できてしまいます

例えば
「なぜボクシングでは蹴ったり投げたりしてはいけないのか?」
答えは
「そういうルールだから」
です
それ以上でも以下でもありません
別に蹴ったところで法律に反するわけでも、倫理に反するわけでもありません
空手ならば蹴っても良いのですし
柔道ならば投げても良いのです
「ボクシングだから」ダメなだけです

同様に
マジックは
「種明かしで興味を惹く芸ではない」
からダメなのです

マジックは「魔法を見せる芸」です
種明かしは魔法を感じさせないからダメなのです
それ以上でも以下でもありません

マジシャンがマジックを名乗り
マジックではないものを見せてはダメに決まっています

だからマジシャンは種明かしをするべきではないのです

・・・・・

そもそも
なぜ「種明かし」をするのでしょうか?

正直「種明かし」は楽しいのですw
人にものを教えて
「へー!なるほど!」
と感心されることは、とても気分が良いものです

逆に教わる方も
新しい知識に触れることは
知的好奇心が満たされますし
やり方を知って自分でもできるようになれば
達成感的な喜びを得られます

これは別のジャンルが証明しています

要するにこれってパズルですよね?
パズルを出題して
考えて
自分で解ければ嬉しいし
答えを教えてもらっても楽しいです

でも、ここで考えます
パズルの出題者を
パズリシャンと呼びますか?
呼びません
パズルを出題する人はパズルを知っていれば誰でもできるからです
そんな人は別に特別な人ではありません

ですから
マジシャンを名のって
パズルを出すのはダメなのです
パズルは誰でもできます
マジシャンがやる必要がありません
マジシャンはマジシャンにしかできないことをやるべきなんです

もう一度言います
マジシャンを名乗るなら
マジシャンしかできない
マジックをするべきなんです

パズルを出したいならパズルのトリックを使って
パズルの出題者やっていればよいのです

マジシャンが関与する必要はないのです

・・・・・

「種明かし」を否定しようとする時
多くの人が
「種明かしによる不利益」
を見つけたくなります

「不利益があるから否定する」
とても説得力があります

しかし実は
種明かし【ごとき】はマジシャンに不利益は与えません
マジックはそんな貧弱ではないからです

しかし
「不利益が出なければやっても良いのか?」
と言われるとまた別の話です

マジシャンはスペシャリストを自称します
それならばそれを名乗るにふさわしい能力を身につける義務があるのです

自称マジシャンがその義務を果たさず
種さえ知れば誰でも出来ることを
種を隠して行うこと
それが悪いことなのです

例えば
優れたシェフを自称する人が
実はレトルトの料理を出していたとしたら
我々はその人を尊敬できるでしょうか?
しかも、それで高い報酬と評価を得ていたとしたら
それはお客様に対する裏切りだと思うでしょう
仮にその料理がとても美味しいものであったとしても
それは関係ないと思います

問題なのは
本来やるべき役割を果たさず
観客の期待をないがしろにする行為が
悪いことなのです

マジシャンを名乗りたいのであれば
種明かしなんていう【誰でもできること】などに逃げず
マジシャンとしての努力をする責任があるのです

「種明かし」が否定されるのは
不利益があるからではありません
「種明かし」が否定されるのは
マジシャンとして【無責任だから】なのです

【マジックウォンド】

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