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コーネル大学大学院を留年しかけましたが卒業できました!嬉しい!

先日、無事にコーネル大学のホテル経営大学院を卒業しました。これを記録として残しておきたいと思います。

これからコーネル大学を受験する方や、ホテル経営やホスピタリティマネジメントに興味がある方、または社会人で修士号の取得を考えている方の参考になれば幸いです。

コーネル大学ってどこ?

コーネル大学についてご存知でしょうか?私は受験するまでほとんど知りませんでした(笑)。

コーネル大学はアイビーリーグの一員で、ハーバード、イエール、コロンビア大学などと並ぶ名門校です。世界の大学ランキングでは常に20位前後にランクインしており、多くのノーベル賞受賞者を輩出しています。

日本ではあまり知名度が高くありませんが、アメリカでは「アイビーリーグ」ということもあり、ほとんどの人が知っている大学です。アメリカで旅行中などに「コーネルで勉強している」と言うと、ほとんどの人が「めっちゃ賢いじゃん!」みたいな感じで驚いてくれました。
キャンパスはニューヨークシティから車で約4時間かかるイサカ(Ithaca)というど田舎にあります。キャンパスは広大で非常に美しいです。

コーネルのスロープで夕焼けを楽しむ生徒

ホテル経営大学院ってなに学ぶの?

コーネル大学のホテル経営大学院は、ホスピタリティ業界に焦点を当てたMBAプログラムで、Master of Management in Hospitality (MMH)の学位を取得できます。将来、ホテル業界や食品、旅行、ラグジュアリー業界などで経営に携わりたい方が集まります。

コーネル大学のCornell SC Johnson College of Businessには、複数のビジネス学部があり、MBA、テクノロジーに特化したMBA Tech、不動産に特化したBaker、そしてホテル経営大学院(MMH)などがあります。アイビーリーグの中でホテル経営を学べるのはコーネルだけで、その数は世界でも限られています。そのため、コーネルのホテル経営学部は世界で最も評価されており、ホスピタリティ業界でキャリアを築きたい人々が世界中から集まっています。

日本人のOBには、帝国ホテル元社長の犬丸一郎さん、星野リゾートの星野佳路さん、キリンホールディングス社長の磯崎功典さん、とんかつのさぼてんなどを運営するグリーンハウスの田沼千秋さんなど、多くの経営者がいます。また、ホテル経営者たちは自らの子供たちを積極的にこの学部に入学させており、私が在籍していた頃には、マリオットの社長の娘と息子、某有名食品メーカー創業家のお子さんも在籍していました。

驚くべきことに、同じクラスには20歳で中東でホテルを経営しているクラスメイトや、中国で大手飲食チェーンを経営している人など、ホスピタリティ業界で既に活躍している裕福なKidsが多く在籍していました。

なぜ入学しようとおもったか?

私はコーネル大学と京都大学で修士号を取得できるデュアルディグリープログラム(KC-CDOプログラム)に入学しました。このプログラムでは、コーネル大学でMaster of Management in Hospitalityの学位を、京都大学でMBAの学位を取得できます。

学部生の時は、海外で学ぶことに憧れていましたが、起業などで忙しく留学の機会を逃してしまいました。社会人になって国内で働くようになると、仕事は楽しかったものの、留学しなかったことを後悔していました。そこで転職し、海外で働くことでその後悔を埋めようと考えました。

転職先では、海外で買収した企業に経営陣として乗り込み、その企業のトップとして経営に携わる仕事をしていました。最初はマレーシアで、次にフィリピンで企業の統合や経営を行い、充実した日々を過ごしました。しかし、将来的に経営に専念するためにはMBAなどの経営修士号が必要だと強く感じました。

経営は専門職であり、多くの経営者がMBAを取得しているため、専門知識を身につけることが重要だと考えました。日本でも海外でも、経営のトップ層はほとんどがMBAを取得しています。

そんな中でコロナ禍が発生し、日本に帰国して在宅勤務が始まりました。このタイミングで再び大学院進学を検討し、見つけたのがコーネルと京都大学のデュアルディグリープログラムでした。2つの学位を2年で取得できる点に魅力を感じ、受験を決意しました。

他の大学への受験は考えず、このプログラムに絞って受験しました。コーネルと京大それぞれに別々に受験し、両方からのオファーをもらう必要がありましたが、何とか合格することができました。

勉強はハード

授業は非常にハードで、GPAが3.0を下回ると卒業できません。コーネル大学ではBが3.0と評価されるため、B-やC+を取るとすぐにGPAが下がり、卒業が危ぶまれることもあります。

成績が悪いと、教務から連絡があり、次のセメスターでの成績向上のための相談が行われます。もし成績が改善しない場合、累積で3.0を上回る見込みがないと判断されると、ドロップアウトを勧められることもあります。

実際に、中国でホテルを経営している友人は、仕事が忙しくて勉強が全然できず、1セメスター目で成績が足りずにドロップアウトして中国に帰ってしまいました。フィリピンから来ていた同級生もGPAが足りずにコーネルを辞め、ボストン大学に入り直しました。アメリカ人とミャンマー人の同級生は、1セメスターを終えた時点でGPAが足りず、1年休学して再度1セメスターをやり直していました。

私は京都大学の大学院にも通っており、授業を比較できますが、コーネルの方が圧倒的に勉強量が多いと感じました。京都大学では週に1回1時間半の授業があり、宿題も1つ程度でしたが、コーネルでは週に2回1時間半の授業があり、その都度宿題が出されました。同じ科目を取っても2倍の勉強量が必要で、1セメスターで7科目を履修していたため、毎日2-3個の授業と課題に追われました。宿題やプロジェクトの半分はグループで行うもので、自分の都合で進めることは難しく、常にチームでの締め切りに合わせて進める必要がありました。また、授業内での積極的な発言も重要な評価基準であり、真面目に授業を受けているだけでは十分ではありませんでした。

しかし、授業の質は非常に高かったです。教授たちは自分の専門分野を深く理解させるために、教材や教え方、コンテンツに工夫を凝らし、ダラダラと進行することはありませんでした。授業は常にインタラクティブで、生徒に発言を求めることが多く、生徒側も積極的に参加しなければなりませんでした。授業の進行は速く、理解できない点は後で自分で調べる必要がありました。これらの点では、日本の大学と比べて何倍ものコミットメントが求められました。

英語はかなりハードモード

私は、いわゆる純ジャパで学生の頃から英語が得意でしたが、26歳からのマレーシアやフィリピンでの海外駐在経験を経ても、アメリカに来てから最初の半年は授業やアメリカ人の同級生の会話が全く理解できませんでした。受験に必要な英語のスコアは2回の受験でボーダーの点数を取得していましたが、アメリカでの英語は想像以上に難しかったです。

特にアメリカ人の話すスピードや、単語と単語がくっついて発音されるリンキングに苦労しました。例えば、レジで支払いが終わったときに"You're all set"と言われることが多いのですが、それをちゃんと聞き取れるようになるまで2ヶ月かかりました(笑)。

前期の授業はほとんど理解できず、スライドを読み返してなんとか理解していました。同じアジアから来ているクラスメイトの英語は理解できることが多く、アジア人の学生とばかり話していました。そもそも、大学院でアメリカで初めて勉強する外国からの生徒はかなり少なく、多くの同級生が高校や大学をアメリカの学校で卒業しているため、授業で英語に困る学生はほとんどいませんでした。

しかし、卒業までに英語力は相当成長した実感があります。この点については、アメリカに来て良かったと思います。あと5年くらい住むと、かなり話せるようになる気がします。

授業料は年間840万円近く

授業料はべらぼうに高く、コーネル大学の1年間(2セメスター)の授業料は約6万ドル、円安の1ドル=140円程度で換算すると、年間の学費が約840万円になります(笑)。しかも、この学費は毎年上がり続けており、数年後にはさらに高くなる見込みです。そのため、コーネルや他のアイビーリーグに通っている学生は、ほとんどが裕福な家庭の子どもたちです。

しかし、いくらお金持ちでもこの金額を4年間支払い続けるのは非常に大変で、お金をいくら稼いでも子供の学費に消えてしまうという家庭も多いようです。一方で、京都大学大学院の年間の学費は約50万円程度で、コーネルの約6%の費用で通えます。

ガチで留年寸前

私はこの大学院で留年しかけました(笑)。GPAには全く問題がなかったのですが、必修の単位を落としてしまったのです。留年すると冗談にならず、特に学費が追加で900万円近くかかるため、人生計画が大幅に修正されてしまいます。さらに、この単位を落としたことについては、今でも全く納得がいっていません。

落とした科目は「Dean's Distinguished Lectures」という授業でした。この授業は、毎週コーネルの卒業生でホスピタリティ業界で活躍している会社のトップなどが講演に来るもので、マリオットの社長も来てくれました。授業の評価はPass or Failのみで、AやBといったグレードはありません。評価のほとんどは出席に依存しており、一度でも欠席すると落とされるという厳しい授業でした。

私は必要な授業すべてに出席していたのですが、なぜか2回欠席したことになっており、そのため単位を落としてしまいました。成績を見たときは信じられず、何かの間違いに違いないと思い、教授とアシスタントに連絡しました。すると、2回の欠席が原因だと言われました。

1回目の欠席は、アシスタントの単純なミスであることが判明しました。しかし、2回目の欠席については認めてもらえませんでした。私は確実に出席していたし、同級生も私が出席していたことを覚えていました。それでも、その証拠が認められず、結局単位を落としてしまいました。

この授業は通常、午前と午後で2グループに分かれて受けることになっていました。しかし、その日の午前の授業がキャンセルされ、全員の生徒が午後の講演を聞くことになりました。出欠を確認するTA(ティーチングアシスタント)の人数は1名しかおらず、二倍の人数の出欠を確認しなければならないため、ミスが起きやすい状況でした。実際、私の出欠も見落とされていました。

その事実やクラスメイトが私の出席を証言してくれること、授業で取られた写真に私の後ろ姿が映っていること、グーグルマップのGPS履歴で私がその時間に授業の建物にいたことを伝えましたが、教授は自分の決定を変えるつもりはありませんでした。教授は一点張りでまったく取り合ってくれず、この結果には非常に納得がいきませんでした。

これだけ出席している証拠があるにも関わらず、自分のミスを認めない教授には心底落胆しました。また、その教授はホテルスクールの副学長を務めている人であり、その立場にありながら自分のミスを認めない姿勢には軽蔑すら感じました。

しかし、ここであきらめては、なんのためにアメリカに来たのかわかりません。そこで最終的な手段として、コーネルの教授と学生の間の紛争を扱う機関に訴えることにしました。出席は確実にしていたので勝てる自信がありました。その旨を教務に伝えたところ、この件は急激に動き始めました。

教授から話し合いたいという連絡があり、いつオフィスに来られるかを尋ねられました。後日、教授のオフィスに行くと、教授の態度は大きく変わっていました。教授から言われたことは、

・「君のことは卒業させたいと思っている」

・「もう、昔のことは忘れて前を向いてどう単位を与えられるか考えよう」

・「追加でレポートを出すなら単位を与えてもいい」

・「しかし、過去の出席の件は絶対に掘り返してはいけない」

という内容でした。正直、教授の態度には不満しかありませんでしたが、卒業が最優先だったため、渋々同意してレポートを書くことにしました。レポート自体は業界のリーダーにインタビューしてまとめるという簡単なものでしたので、すぐに終わらせて無事に単位をもらうことができました。もし、単位を落とした時に抗議し続けなければ確実に留年していたでしょう。

アメリカ全体に言えることですが、相手に非があっても簡単には認めてくれません。抗議しなければ非を認めず、謝罪もしないので、とてもストレスが溜まります。この授業では私以外にも多くの生徒が単位を落としており、中には授業中に生理が重くてトイレに行ったために授業後に強く注意され、単位を落とされた生徒もいました。あんなにやばい教授が偉い地位まで上り詰めているのは本当に謎です。

結局留学してよかったか

いろいろあったけど、留学してよかったかといわれたら絶対にYESと答えます。日本でもできないような仲の良い友達も作れたし、将来の目標も見つかったし、英語もある程度自信がついたし、本当に良かった。楽しかった!


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