先物の話と、情報に溺れてしまわないために

こんにちは。

生き残ってますか?

久々にとんでもない大暴騰がきましたね。

今朝起きたら10500ドルをつけていて、「昨日利確したロング7400ドルエントリーぞ?!返して?!」となりました。やはり気絶投資法が最強……

さて、僕は相変わらずOIと予測率と値動きの関係と先物との乖離しか見ていませんが、やはり現状はこれで勝てそうです。昨日は計3回ポジションを持って、ロングで+200ドル幅、ショートで−60ドル幅(損切り)、ロングで+800ドル幅という感じでした。

これまでOIと予測率の話は度々してきましたが、先物との乖離の話はしていなかったので今日はその話を少ししようと思います。

BitMEX先物

まずそもそも先物って何?という話ですが、簡単に言うと「未来の売買を約束した取引」です。

BitMEXにおける売買では、「買ったものは必ず売らないといけない」し、「売ったものは必ず買い戻さないといけない」わけですが、その取引期限を定めたものが先物ということですね。

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BitMEX商品一覧の赤丸部分がビットコインの先物です。

XBTZ19は2019年12月末の売買を約束する取引、XBTH20は2020年3月末の売買を約束する取引です。

(ちなみに普段売買しているXBTUSDも実は立派な先物です。期限が無期限の先物、という扱いです。ちょっと数学チックですね)

価格をそれぞれ見てほしいのですが、

XBTUSD<XBTZ19<XBTH20

となっていて、取引期限が先であればあるほど取引価格は高くなっています。でもなぜ取引期限が先になると取引価格が上がるのでしょうか。未来の値上がりが期待されているからでしょうか?

違います。

これは単純に、「期限までの間商品を確保・保管するうえでかかるコスト」が価格に加味されているからなのです。

お水屋さんとの取引

水を取引するのを例に考えてみましょう。水を外に買いに行くの面倒だし持って帰るの重いし置いておく場所も取るしお水屋さんに届けてもらおう、と考えて来月末の売買を今約束したとします。これが先物取引です。

お水屋さんからすると水を仕入れるための資金を調達しないといけませんし、水を来月末まで保管しておくための倉庫も必要です。適度に冷やしておくための設備や電気代もかかるかもしれません。これらのコストを加味して価格を定めないといけませんから、「今すぐ水を売ってくれ!」という場合より価格を高めに設定しないと利益になりません。

これが取引期限が先であればあるほど取引価格が高くなっていく理由です。とても自然な話で、実際これが正常な状態です。順鞘あるいはコンタンゴと呼ばれます。

上に貼ったビットコインの価格は「XBTUSD<XBTZ19<XBTH20」でしたから、これは正常な状態、コンタンゴ(順鞘)ということです。

ちなみにビットコインにおける確保・保管コストは一般に金利のことだと思ってください。金利が「資金調達率(Funding Rate)」と呼ばれる所以です。

逆に「取引期限が先であればあるほど取引価格が安くなっていく」というコンタンゴとは逆の異常な状態を、逆鞘あるいはバックワーデーションと呼びます。

未来の売買のために取り置きをしてもらうと、コストがかかるどころかなぜか安くなるのです。どんな状況???となりそうなところですが、需要と供給を考えれば自ずと答えが見えてきます。

これは、未来の取引よりも現在の取引の方が需要があるということ、つまり「たとえ高くても今すぐ欲しい!」という人が増えているということなのです。

お水の例で言うと、たとえば突然異常気象で干ばつと断水が起きたとします。もう来月のお届けなんて待ってる場合ではないですよね。「多少高くても今すぐ欲しい!」と思うはずです。これがバックワーデーション(逆鞘)が起こる仕組みです。

では、ビットコインにおいて「今すぐ欲しい!」と思われる状況ってどんな状況でしょうか。

それは実はショートを打つときです。「ビットコインで今すぐ全力ショートしたい!!」という人たちが現物が足りなくなるほどの勢いで増えるとビットコインの現在の取引価格は未来の取引価格より上がるのです。(なんと悲しい需要……)

バックワーデーションが起きているということは、現在の需要が異常に高まっている=価格が上がることが予想される状況ですから基本的にショートはNGです。「逆鞘に売りナシ」という格言があるほどです。

"歪み"を取る

実際に昨日の動きを見てみましょう。

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実はこれまでの記事でも僕の貼るチャートには載っていたんですが、3段目の赤黄青の折れ線は先物と現物との乖離率を示しています。XBTUSDが青、XBTZ19が黄、XBTH20が赤です。

23日の暴落の前後を見てください。暴落前は上から赤黄青の順に正常に並んでいます。ところが暴落後を見ると赤青黄の順になっているのが分かります。つまり12月の取引価格よりも現在の取引価格の方が高くなっているのです。

暴落により「今すぐショートしたい!」という人が増えたと推測することができます。さらに予測率を見ると、バックワーデーションを引き起こしながら売られすぎ水準へと下げています。そして価格はヨコヨコしながらOI増加。

どうですか?見えてきましたか?

皆が異常にショートしたがっている、実際に必要以上に売られている、でも価格はヨコヨコ、OIは増えている。もう分かりますよね。イキりショーターたちのツッコミショートが何者かにガンガン拾われていたのです。

需要と供給がまずあって、そこから"歪み"を読み取ってポジションを取る。本当に分析の基本だと思っています。

多角的かつシンプルな視点を持つ

分析がうまくいかない人の特徴として、無駄に知識が多いというのがあると思っています。やれOIだ、金利だ、先物だ、オプションだ、と「点」の知識ばかりで「線」になっていない。大量のインジとお絵描きで何の分析してるのか分からない人とかも同じですね。

たとえばOIや予測率や先物との乖離率はとても強力な情報ですが、単体の情報にはあまり意味がありません。そのときの値動きや互いの動きと総合して多角的な視点から見る必要があります。「予測率マイナス!ロング!」ではないのです。

そして情報に溺れてしまわないように、分析と検証をきちんと行うことができるように、シンプルな視点を持つことが大事です。先物のロールオーバーがーとかオプションのターバイがーとか、そんなのはオマケです。点ではなく線になるように、多角的かつシンプルな視点を意識してみてください。

そしてダメなときは素早く損切りをしましょう。

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※追記: ビットコインの需要は実際にはショートのため以外にも証拠金としての需要があります。これは結構重要な話で、資金の循環などにも繋がっていく話なので今回は割愛。

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