OI考察

こんにちは。

「オーアイ」派ですか?「マルイ」派ですか?(いない)

OIという単語も最近は頻繁に見かけるようになりました。

OIは"Open Interest"の略で、「未決済建玉」とも呼ばれます。文字通り、まだ決済されていないポジションの数量のことです。

まだ決済されていないポジションの数量が分かると何が嬉しいのか、それについてお話する前に。OIを考察するうえで重要な前提を、まずはきちんと共有したいと思います。

それは、「ロングとショートは常に1:1である」ということです。

「ロングが増えた」「ショートが増えた」などは非常に誤解を生みやすい(あるいは実際に勘違いしている)言い回しだと思っています。

ロングとショートは常に1:1?

たとえばビットコインを1枚買った(ロングを持った)とします。その買いは、誰かがあなたにビットコインを1枚売ってくれたから成立するわけですよね。

無から突然ロングポジションが生まれてくるわけではありません。

逆も然りです。

誰かがあなたからビットコインを買ってくれたから売れたわけです。

買い手と売り手がいて初めて売買が成立する、つまりロングとショートは常に必ず1:1になるのです。

なんだかとても当たり前の話ですが、「言われてみれば……」と思った人も意外と多いのではないでしょうか。

なので、「ショートカバーでショートが減った」みたいな解釈をするときは少し気をつける必要があります。ショートの損切りやロスカットが行われる場合、ショート決済=買いが入るわけですが、この買いは同数の売りがあって初めて成立します。つまり、ショートが焼けて減った分だけ新規のショートが増えているのです。

あるいはロングの利確売りと売買成立しているかもしれませんが、その場合はロングもショートも同数減ったということになります。ショートだけが減るなんてことは絶対にないのです。

これだけだとしょんぼりしてしまう人もいそうですが、「現在の価格帯で」ロングが積まれた、ショートが積まれた、なら正しいですし、その視点はとても重要です。

たとえば10000ドルで新規ロングしたい人が9000ドルでロングしていた人から買った場合、確かに「10000ドルで」新規ロングが積まれたと言えます(ロングの総数は変わっていない点に注意)。

この前提を理解して、ようやくOI考察は始まります。

増減パターン考察

未決済のポジションはいずれ必ず決済されるわけですが、ポジションを決済するというのはすなわち売買が行われるということですから、OIは潜在的な売買(値動き)のパワーの総量だと捉えることもできます。

「OIが溜まってる!」と騒がれるのはそういった理由からなのです。

ですが先ほど書いたように、OIがいくら増えようがロングとショートは1:1のまま不変ですから、OIだけ見ていても分かることは少ないです。OIは、値動きと合わせて見る(売買と値動きの関係を分析する)ことでその本領を発揮します。

実際に具体例で見ていきましょう。

① ビットコインが値上がりしながらOIも増えているパターン

未決済のポジションが増えながら価格を上げているわけですから、「新規ロングの成行買い」と「新規ショート」がマッチしながら価格を上げていると読み取れますね。

② ビットコインは値上がりしているがOIはヨコヨコ(からの減少)しているパターン

これは「ショート決済(損切りorロスカ)による成行買い」と「新規ショート」がマッチしながら価格を上げていると読み取れます。

このパターンは地獄です。

ショーターが焼かれて新規ショートで決済されて値上がりし、新規ショートも焼かれてさらなる新規ショートによって決済され、これを繰り返しながら無限に値を上げていきます。欲望にまみれたショーターたちが次々焼かれながら積み上がっていき、火柱が天を貫くその様はまさに地獄です。

実際には値上がりしていくなかでロングの利確売りも入ってきますから、OIを減らしながら価格を上げていくことになります。

これが俗に言うショートカバーで、誰も買っていないのにショート決済の連鎖によって値上がりを引き起こしてしまうのです。

ところで、「誰も買っていないのに価格が爆上がりした」って異常なことだと思いませんか。

需要と供給の話を思い出してください。

需要が高まったわけでもないのに突然値上がりした商品を、その高騰した価格で買いたい人なんて誰もいないですよね。

つまりその後は当然のように適正価格まで落ちることになります。(もちろん値上がりそれ自体がきっかけとなって新規買いを生むケースもあります)

これがショートカバーによる上げの後、結局価格を全戻しする原理です。

逆に、ビットコインが値上がりしながらOIも増えているパターンは「新たに買いたい」と思っている人が多いということですから、健全な上げだと判断できます。

買われて上がっているのか、買われていないのに上がっているのか、をOIから判断して順張りするべきか逆張りするべきかを決めることができるということですね。

③ヨコヨコしているのになぜかOIは爆増しているパターン

これは、暴落直後の底でツッコミショートとリバ狙いロングとショート利確がぶつかり合って値動きが止まったときなどによく現れる動きです。「底の価格帯で」新規ショートが新規ロングよりも積まれていっている状態です。

そしてその後はこの新規ツッコミショートを焼きながら全戻し上げしていくいつものパターンになります。

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見飽きたやつです。


せっかくなので9/26に起きた実際の値動きとOIの動きも見てみましょう。

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上がビットコインの価格で、下がOIです。

22時半に300ドル幅以上落ちたと思ったら30分後に全戻ししたというビットコイン渾身のギャグです。

22時半からの値動きをOIの動きと合わせて見ていきましょう。

① BTC↓↓OI↓↓

② BTC↑OI↑

③ BTC↑OI↓

となっていますね。

①では「ロング決済成行売り」と「ショート利確」で売買成立させながらさらなる「ロング決済成行売り(損切りorロスカ)」を誘発させて価格を下げていると分かります。

②では底で「新規リバ狙いロング成行買い」と「新規ツッコミショート」がマッチして価格を上げています。

そして③で「(上から持っていた)ショート利確」と「(下で拾った)ロング利確」がマッチして価格を上げ、「②の新規ツッコミショート決済成行買い(損切りorロスカ)」を誘発して「ロング利確」とマッチしながら一気に上に飛んだと読み取ることができます。早い話がショートカバーなので、その後は結局ズルズル落ちていますね。

このように、値動きからだけでは分からない、値動きの背景にある売買がOIからは考察できるのです。

今回はいくつかの増減パターンを紹介しましたが、実際にはもっとたくさんのバリエーションがあります。

たとえば上の9/26のその後の動きをよく見ると、ズルズル価格を落としながらOIはじわじわと増えていますね。これはどんな売買が成立しているのでしょうか。(LSは1:1ですよ!)

こうやって自分の中に増減パターンのバリエーションを増やしていき、それらのパターンがその後の値動きにどう影響を与えるのか考察していくことで、一歩進んだ雰囲気トレーダーを目指すことができるのです。

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