下着を撮らない盗撮

【注】性被害についての描写があります。人によってはフラッシュバックをしたり不快になる可能性があるため、閲覧注意










「盗撮されているのがあなたかもしれません」と警察から連絡が来たことがある。

丈の短いスカートを履いて電車に乗った時に盗撮された。その時は下着が見えないようにスパッツを履いていたので下着の写真は撮られなかった。

スカートの中を盗撮するとか、下着泥棒とか、犯罪者は下着が好きなんだと思っていた。だから見せないようにするし、見られないようにする。





今日のこと。友達とご飯に行く約束があり新宿駅に向かっていた。駅に着いてホームからエスカレーターに乗って降りていると、ふと腕を掴まれた。

「後ろの人が盗撮してます」

若い女性だった。パッと振り返るとスマホを持ったおじさんがいた。顔とかはあんまり覚えていない。

お姉さんは私の手を引いて駆けおりた。腕をギュッと掴んで、エスカレーターを降りて少し歩いて一緒にいてくれた。

「スマホ向けられてました、下の方を撮ってて」

全然気付かなかったし撮られるなんて思ってもいなかった。今日は長いスカートとタイツを履いていて、下着どころか足だってそんなに出ていない。


ふくらはぎが半分隠れるくらいの丈


下りのエスカレーターで後ろにいて、長い丈のスカートに手を入れて撮るなんておかしすぎる。頭がおかしいから犯罪をするわけなんだけど。


「あの人かもしれない」
お姉さんがさっきのおじさんを見つけたようだった。私はどうしたらいいか分からなくて、何事もなかったかのように歩いているその人をただ眺めることしか出来なかった。

触られたわけでも下着を撮られたわけでもないからと、諦めてしまった。


「出口こっちですか?大丈夫ですか」と心配してくれるお姉さんに何度もお礼を言って改札を出た。

これから友達とご飯、楽しい日になるはずだったのに恐怖とショックと気持ち悪さで思わず立ち尽くしてしまった。一人になった途端泣きそうになって、でも泣かないようにしながら駅を出た。




どんな服装でも盗撮されるんだと思った。お姉さんが声を掛けてくれなかったら気づかなかった。今までも私が気付かないうちにたくさん盗撮されているんだと思う。


この格好ですら撮られるなんて、もう外に出ることすら出来ないと思った。犯罪者のせいで好きな服を着られないなんておかしいから私はこれからも好きな服を着るけど。


これを読んでいる人には、どんな服を着ていても盗撮されること、下りのエスカレーターに乗っていても後ろから盗撮してくる人がいると知って欲しい。


盗撮されたり触られたりしている人がいたら声を掛けられるようになりたいと思う、今日私を助けてくれたお姉さんみたいに。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?