見出し画像

なぜ、範馬勇次郎はドーピングをしないのか。

結論だけ先に言うと、少年漫画だからである。
そもそも「勝利のために明日を捨てた男」ジャック・ハンマー以外に、作中でドーピングをしているキャラがいないのはなぜなのか。
そんなものは当たり前で、薬を使って強くなるようなヤツは、出せるとしても敵キャラだけに決まっている。
作中最大の筋肉キャラといえばビスケット・オリバだが、このキャラもおそらくナチュラルだろう。散弾銃で撃たれた傷を、大量のステーキを食べて治していた。これほどの速さで肉体を作り変えられるのなら、ステロイドなどいらないだろう。
勇次郎もほぼ間違いなくナチュラルである。飲酒や喫煙をしているシーンはあるのに「それ以上」の描写がないからだ。
これも漫画である以上は当然なのだが、そもそもがナチュラル志向なのだ。


ナチュラルが行きつく先(刃牙的な意味において)

ガイアも「ウェイトトレーニングで作られた不自然な筋肉ではない」と豪語していたし、範馬勇次郎の「鬼の貌」も、戦場で人をぶん殴り続けた結果、打撃用筋肉が異常に発達し、鬼の貌に見えるようになったという話である。
鬼の貌は作中で出るたびに微妙に設定が変わっている気がするが、そのまま受け取ると、範馬の血など関係なく、戦い続ければ自然と出てもおかしくないようなものである。しかし、毎日突きの練習をしていた愚地独歩や、筋肉量だけなら勇次郎より上のオリバでも、鬼は出ていない。
勇次郎は作中最強キャラなだけあって、「技術なんてものは俺以外の者たちで共有したらいい」と豪語していたし、鞭打のことも「所詮は女子供の護身技で、大の大人が使うようなものじゃない」とも言っていた。
だが実際には、勇次郎はほぼすべての技術に精通している。合気も使えるし、うどんでぃも使える。胴回し回転蹴りをカウンターで返すこともできるし、大擂台賽編で見せた瓦割も、手を置いた状態から始めて、下の瓦から割っているように見えたので、発勁か何かだろう。
中国武術最高峰の大会で中国武術を用いた試技を見せたり、「女子供の護身技」を子供の刃牙に教えたりと、技術をバカにしながらも一定の評価はしつつ、自分も使うし人にも教えているのである。
刃牙も同じで、元々最先端のトレーニング理論や科学的なアプローチをしながらも「これじゃ親父には勝てない」と言って飛び出したが、一応そこらへんの知識は吸収しているわけである。その後も空手を学ぶために神心会の大会に出たり、ボクシングを学ぶためにボクシングジムに道場破りに行ったりと、いろいろやっているのである。
つまりは何が言いたいかというと、勇次郎も刃牙も技術を学び、身につけているのだ。

アンナチュラルが行きつく先(ジャック的な意味において)

それに比べるとジャックは本当に遅れていて、強くなるためにはなんでもすると言いつつも、実際にやったのはドーピングとトレーニングと骨延長手術である。それらによって培ったフィジカルを元に、思い切りぶん殴るし、相手の攻撃を食らってもピンピンしている。
実はジャックの戦闘スタイルなどないのだ。元々カナダのピットファイターなのでしょうがないが、あらゆる技術を身につけた上でのトータルファイティングの刃牙や、本当になんでも使える勇次郎と比べると、本当にただ鍛えただけという感じだ。
それでも強かったし、渋川の合気を真似てみせた時もあったが、死刑囚やアライJr.を相手に暴れていた頃はまだしも、ピクルや本部には不覚を取っている。武芸百般の本部に勝てないのはある意味必然で、結局、ジャックには武の経験が足りないのだ。

まとめ

それでもジャックは今、嚙道という自分だけの道を歩み始めた。
嚙術ではなく嚙道らしいので、単なる技術以上の、精神性などに重きを置いた体系としてのファイトスタイルを模索しているのだろう。
現在、チャンピオン本誌ではジャックと勇次郎が2人で食事しているらしい。今のジャックを見て勇次郎が何と言うか……。ジャックが追い求める父親の姿は、刃牙と同じように、母親の仇以上のものになっているのか……。
刃牙らへんはタイトル通り、刃牙以外に焦点を当てた物語のことで、ジャックが地上最強になるまでのお話なのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?