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足尾探索記(エスネコ視点)2

どうも、エスネコです。

今回は前回に引き続き、足尾洞山の探索記です。

詳しくはこちらの記事で。

それでは本文へどうぞ。

 間藤駅から出ると、昔は栄えていたであろう街並みが広がっていた。駅の前を通る大通りに沿って進む。周りの建物を観察する。昭和…、いや、それよりも古い感じの物もある。上を見ると、笠が銅になっている街灯が目についた。足尾で採れた銅だろうか。近くには真新しいものもあればまさに和風建築と言わんばかりの古そうな建物もある。一方、集合住宅もしくは団地もある。一定数は住む人がいるのだろうか。
 周りを見渡しても僕たち以外に誰も居ない。僕たちだけが感じている、何があるか分からなくて、何かありそう、という思い。この感情を言葉にするなら、”期待”が最もふさわしいだろう。
 暫くは大通り——とは言いつつ人は居ないが——を歩き、本山駅を目指す。集会場があったり郵便局があったりと、一応生活感のある街ではある。所々に建物や街の説明書きの看板が立てられている。きっと観光に来る人のためだろう。

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 渡良瀬川を横目に歩き続けること10分。鉄橋が見えてきた。どうやら橋を渡った先に廃校となった小学校があるらしい。近づくと熊出没注意の看板があった。ちょっとビビる相方を見て苦笑い。本当に出て来たら嫌だけど……。

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 橋を渡る途中で川を覗く。2、30mはあるだろうか。水は全て透き通っている。道草を食っていると先に対岸へと行った相方が急かしてきた。小走りで後を追う。山道を進むと、鉄とコンクリートの無骨な橋。眼下に線路があるのが見えた。この線路が廃線となった間藤ー足尾本山間の一部だ。
 坂道を登って小さな橋を渡り、右の方を見る。そこには木々の中に黙して佇むコンクリート造りの廃校があった。遠方から見た感じ、校舎の老朽化はそこまで非道くなさそうだ。廃墟と言うには綺麗すぎる外見をしている。これまでの街の様子を見る限り、過疎化が進行し合理化のために廃校になったのだろう。
 草に囲まれるように通る職員玄関へと続く道の途中に、『創立百周年記念』と刻まれた石碑があった。設置年を見ると、平成四年となっている。思ったより最近だな。右には校歌が彫られたものもあった。広場に出ると、近くでないとわからない外装の詳細な部分が見えるようになった。左手には給食室へ荷を運び込むためであろう足場と張り出した屋根がある。校舎をよく見ると、それ程老朽化しているわけでもなさそうだ。今でも使えそうである。

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 この手のことは相棒が調べるだろうから後で聞いてみるか。右手には職員用の玄関がある。玄関の窓ガラスに中を伺ってみると、床が剥がれたり、窓が汚れていたりする様子が分かる。内装は昭和時代によくある木造の廊下だ。デザインもレトロで、加え廃墟独特の雰囲気も醸し出している。
 玄関から離れ、左奥に続く壁を目で追う。一階部分に生徒用の昇降口がある。山際に建てられているため、立体的な構造になっているようだ。となると、今自分が立っているのは二階部分になるのか。再度校舎を見る。窓から中を見ることができる。よくある木製の机と椅子が清掃の時のように寄せられている。目を閉じて昔、通っていた子どもたちの姿を想像する。何でもない小学校が、歴史的に価値のある文化遺産の様に思えてきて、当時を生きた人に思いを馳せる。
 相方に声を掛けられ目を開ける。蝉の鳴き声が意識の中に入り込んでくる。相方が来た道に戻っていた。後を追いかける。帰りの道中、小学校へ向かう方向からは見えなかった風景に気がついた。開けていて対岸が見渡せる。
 橋の上まで戻って来た。相方が恐そうな声をあげながら渡っている。だからさっき渡るのが速かったのか。
 大通りに着き、本山駅を目指して北へと進む。少し歩いた後、また橋を渡った先、左に鉱夫たちの社宅群が見えてきた。いくつか取り壊されたらしいが、一部はまだ人が住んでいるらしい。橋を渡り社宅群へと近づく。ちょうどいい段差がエモさを引き立てている。建物の周辺を歩くと洗濯物が見えた。確かに誰か住んでいる。集合住宅のように同じ建物が並び、かつての繁栄を思わせる。

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 写真を撮りながら、さらに奥へと進む。社宅群の奥には崩落した橋や廃線跡があった。廃線跡には立ち入ることができなかったが、かなり近づくことはできた。
 写真を撮り終え、先程と同じ様に対岸へと戻る。更に北へと進む。暫く歩き、左手にサビだらけの大きな建物が見えた。どうやらあれが足尾本山駅らしい。精錬場でもあったらしく、奥には大きなタンクが三つほど見える。
 僕は目の前の本山駅に気を取られたが、相方は後ろの方で、『足尾銅山労働組合』の看板がついている建物の写真を撮っていた。
 本山駅に近づき、周囲を探索する。左に曲がった道を進むと、上に線路が敷かれた鉄橋が建っていた。その線路はそのまま奥の方へと続き、ここからはその先が見えない。鉄橋を潜り先へと進むが、先は立ち入り禁止区域と山へ続く道だけだった。戻り、大きな倉庫的建物の近くまで行く。柵があって内部までは進めない様になっている。残念ながら中に入ることはできないらしい。

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 これで、目的の一つである足尾本山駅を攻略(?)した。

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