ガスヒートポンプ騒音公害の遠因? 

大規模プラントとガスヒートポンプの「定格値と最大値」の取扱いの違いに視点を当て、以下に推論いたします。

一般論となりますすが、出力100万KWの発電プラントの場合、認可出力は、プラント設計上かつ運転上の定格値となります。認可出力仕様は、プラントメーカーとの契約値(カタログ値)でもあります。
許認可上、設計上のプラントの定格仕様、試運転中のプラント状態値(主に定格値)、定格での環境データ等の提出を求められます。三つ揃って認可がおります。電力不足で大臣等の要請ないし認可・許可等がない限り、定格出力以上の負荷で発電することはありません。

一方、ガスヒートポンプについては、メーカーカタログ値は、例外なく定格値で示され、定格運転騒音値は、カタログ上は概ね環境基準値イギリギリレベルとなっています。
さらに、ガスヒートポンプシステムについては、個々の設備システムとして許認可不要(消防法等を除く)かつ騒音規制法で規制されません。この事実は、プラント出力に関し、①大規模プラントのように定格値と最大値を区別して表示する義務がないこと、②使用者による負荷最大運転が常時可能な設備であることを意味します。

ということは、定格値での騒音値に問題なければ、騒音被害発生していなければ、機種選定された仕様について第三者が苦情を言っても相手にされません。

騒音被害が発生した場合はどうでしょうか。
騒音被害が発生するということは、カタログ上の騒音値と定格運転時の実際の騒音に問題がないのであれば、負荷最大運転時の騒音に問題があったことになります。なぜなら、常時定格以上の負荷で運転可能な設備であるからです。
そして、騒音被害発生時期は、経験的にわかっていることですが、季節的には気温が下がる時期、時間的には起動直後等、要求負荷が大きい早朝に集中します。

つまり、ガスヒートポンプによる騒音被害は、(許認可不要かつ騒音規制法により規制されないことにより)定格負荷以上での運転制限がないことが原因(常時最大負荷運転が可能だったことが原因)であろうという、推論が成り立ちます。

ちなみに、当該設備の模擬入力での条件等設定した際に得られた騒音測定データによると、暖房最大の騒音値は暖房定格よりも数db程度高い値となっています。(室外機正面1メートル地点での比較)

以上から、定格仕様の騒音値(カタログ値)に問題ないガスヒートポンプ設備で騒音被害発生した場合、最大負荷での騒音に問題があったものと推定します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?