過去に対応した中で、「建築基準法上の検査に合格した建築物なので問題ない」と主張される自治体職員がおられました。本当にそうなのか調べ直したので、以下に説明します。
建築基準法では、「保安上危険、衛生上有害となる既存建築物の取扱い」について定めています。
衛生上有害という意味として、字句解釈的には「環境衛生上有害な公害事案」も含めると読み取れます。
https://www.mlit.go.jp/common/001205298.pdf
具体例の解釈集として、「既存不適格建築物に係る指導・助言・勧告・是正命令制度に関するガイドライン」(国土交通省住宅局建築指導課)があります。
その中で、
「著しく保安上危険となる既存建築物として、(1)建築物において、劣化や自然災害等が原因で倒壊等する可能性が高いもの(2)建築物が倒壊等した場合、通行人等に被害が及ぶ可能性が高いもの」と定義しているほか、
「衛生上有害となる既存建築物」について、「建築物又は設備等の破損等が原因で、通行人等に被害が及ぶ可能性が高いもの」と定義、踏み込んだ事例紹介があります。
衛生上有害対象となる事象については、第三者への被害を予見しているため、建築物と同時期に竣工した、新築時に問題なくても、その後騒音被害が拡大した場合は、当該設備機器に適用可能と思われます。
「既存不適格建築物」の条項は、建築物と一体ものとして設置された設備機器の場合、特に、屋上や建屋内組み込み設置されたケースは適用しやすいと解釈できそうです。
既存不適格建築物に係る指導・助言・勧告・是正命令制度に関するガイドライン
https://www.mlit.go.jp/common/001294995.pdf