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相棒(マイカー)が可愛すぎることを夏目漱石先生に自慢しよう

「あの車、オモチャみたい!」
駐車場で私の愛車を見て、子供たちが2度見している。

私はオモチャみたいな車だと言われて嬉しい。子供がクレヨンで描くような車にしたいと思いながらカスタムしている。青いボディカラーにパステルピンク色のタイヤホイールを履いた車なんて、滅多に見かけないでしょ? 私の相棒(愛車)は、とても可愛いのだ。

車に関心のない方は、そろそろ『閉じる』ボタンに手を伸ばす頃かもしれない。でも『車』を『手帳』とか『スマホケース』とかに読み替えていただいたら、私たちは意気投合できるかもしれない。

思い返すと小中学生の頃は、無印良品の茶色い表紙のノートをミルキーペンやポスカを駆使してオリジナリティ溢れるものにして、勉強のやる気を上げていた。車に限らず、オンリーワンを作ることにはパワーがあると私は感じている。大人になった私は、生きづらいと感じる時もあるこの世界を、車を可愛くすることで楽しんでいるのだ。

私は今、マイカー2台目に乗っている。
1台目の愛車はオレンジ色のエッセ(軽自動車の中でも小さいサイズの車種)で、「エッセちゃん」と名付けてかわいがり、同時に私の命を守ってもらっていた。車好きな夫に影響を受けてカスタムに手を染め始めた私は、2台目を新車で購入したことをキッカケに、ゼロから内装や外装に手を加えている。
最初はマグネットを車のお尻側に貼り付けるくらいのカスタムだったのに、気付けば後戻りできないほどカスタム好きになっていた。何万台規模で量産されている車をカスタムし個性を表現していくと、愛着が更に増して相棒となる。

今乗っているのは、青色のエヌワゴン(軽自動車の中では中くらいのサイズ)。まるで無印良品とコラボしたかのようなシンプルでユニセックスなデザインで、つい構いたくなる姿をしている。この子の名前は「えぬわごんちゃん」だ。

車をカスタムする人にどのような印象を持つかは、地域性が大きく影響するかもしれない。都会では自家用車はシンプルな色が多く、走行しているカラフルな車の多くはタクシーだと感じる。私が住むのは1人1台車を所有する地域で、色々なカラーの自家用車が溢れている。そして豪雪地帯なので、タイヤを履き替え『毎年数カ月は純正品ではないホイールを使う』人がほとんどで、何かしら車をオリジナルにしている地域だ。車で自分らしさを表現することは珍しくない地方だ。

私のカスタムポイントを自慢する。

えぬわごんちゃん購入時、東京オリンピック・パラリンピック特別仕様ナンバープレートを選べ、軽自動車が白色ナンバープレートを装着できると人気だったようだ。私は、オモチャみたいな車にするには色が沢山あったほうがいいと思い、通常の黄色ナンバープレートにした。

ボディカラーと同じ色で縁取り刺繍された足元マット。ドアを開けた瞬間に見える景色が足元から少し明るくなり、気に入っている。

可愛いシートカバー。車内にいるときに気分が上がるだけでなく、相棒に向かって歩いているときにフロントガラスからキュートな席が見えてルンルンする。

薄着の時にデコルテにシートベルトが当たると痛いので、ふわふわのシートベルトカバー。

ツートンカラーの合皮ハンドルカバー。見た目も良くなり、運転中に手が滑りにくくなり、ハンドルの温度変化も小さくなり、とても重宝している。

自作の小さな羊毛フェルトマスコットを、使用済み車内消臭剤のクリップに貼り付けエアコン送風口に挿しているのは、もはや完全オリジナルだ。季節に合わせてチェンジしている。

フロントガラスに立てかけるサンシェードは薄黄色。前車のオレンジ色エッセちゃん時代から使っているが、えぬわごんちゃんの黄色いナンバープレートと同系色で合っている。

ドライブレコーダー装着を控えめに、だがしっかりと主張するマグネット。

給油口とリアウィンドウ(後ろの大きなガラス)にはステッカーを貼っている。

夏タイヤのホイールはパステルピンク色。青い車にパステルピンク色のホイールを合わせている他の車に、私はまだ出会っていない。子供がクレヨンで描いた絵のような車を具現している。

冬タイヤのホイールはメタリック色で、反射シールを貼っている。運転中の私には見えないが、夜間はタイヤがクルクル光って見えるはずだ。

車内に設置した小物入れやゴミ入れ、電子キーに青色と赤色の革カバーを装着しているのも自慢のカスタムだ。

えぬわごんちゃんと過ごして3年半以上が経つが、今も手を加えている。走行距離は約107,000キロ、長時間を共に過ごしお互いに守りあう、名実ともに私の大切な相棒だ。

車のカスタムをすることによる効果は、とても沢山ある。

愛着が増し洗車回数が増える。
洗車回数が増えると飛び石などで車が傷ついていることにいち早く気づくので、車間距離を保とうと思い安全運転に繋がる。
車が目立つから、警察に目をつけられたくなくて安全運転になる。
長く乗り続けたいから、メンテナンスを欠かさない。
子供たちにかわいいと言われて嬉しくなる。
飲み屋さんで隣に座った初対面のイカツイお兄さんと車という共通項で会話が弾み、私の相棒を「めちゃエグいっすね!」と褒められて嬉しくなる。
カスタムしているとき、カスタムした相棒と過ごすとき、自分が中心の時間を過ごしている気分になる。オンリーワンなものを自ら作ることで、自分自身がオンリーワンの存在だと思える。

『兎角に人の世は住みにくい』
夏目漱石先生が書かれた文章のなかに、そんな住みにくい人の世で、詩や画を作り出して愉快になるという描写がある。正直、わたしも今自分が置かれている世が住みやすい場所だとは感じられていない部分がある。でも、世界に1つだけの車を作り出して愉快になっている。それは、自分が今ここにいて楽しいと感じられるからかもしれない。
我が家は九州に縁があり、熊本へ出向く機会もある。えぬわごんちゃんと次に熊本へ行くときは、夏目漱石先生にゆかりのあるところへも行ってみよう。そして夏目漱石先生に可愛い相棒を自慢しながら、令和では、詩や絵だけでなく車のカスタムで住みにくい世を楽しむ人もいるのだと教えてあげよう。

私の趣味は車のカスタムだ。さあ、相棒を洗ってあげねば。

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