「BBQは雨の中」

準備は、万端だった。雨が降る。予想外の出来事では無かった筈だ。だったら何故、事前に対策を講じ無かったのか。火は、着けかかっていたのだ。やり直しは、利かない。帰ろう。そう決断を下した。長兄の判断だった。そこに、反論を唱えた。長兄の息子、つまり僕の甥っ子だった。雨を押し切って始めたバーベキュー。傘を差しての強行手段を取る以外に道は残されていなかった。甥っ子に取って、止めても止め切れない初めてのイベント。そして、それは甥っ子の予想通り、楽しく、かつ思い出に又一つ刻み込まれる事となる賑やかなるエピソード。終わりも近づいた頃には、雨も止んでいた。後に残ったのは、びしょ濡れになった服と、食べかけの焼きそば。やって良かった。一番思ったのは、息子思いの兄貴だったのかも知んない。くしゃみを漫画みたいに連発しながら、後片付けをする兄貴が、いつもより親しみを持って感じられた。帰りの車内で満足げな顔をして寝ている甥っ子の顔をそっとカメラに写す兄貴は、いいパパだよ。きっとこれからも。
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