ヨーロッパ君主血脈ヒストリー②:スペイン

1.はじめに

連載企画「ヨーロッパ君主血脈ヒストリー」第2弾はスペイン王室です。以下、連載の基本的なルールです。

①基本的には現在の君主から遡って最大7代前まで(重複が無ければ128人)の祖先について、調べます。

②2代前(祖父母)までは詳細に、それ以前の祖先は血脈の濃い祖先のみ紹介する。

③調査項目は、どこの王公家に由来するか、どこの王公家の血脈が濃いのかなどです

④現在の君主の片親が民間出身の場合は、一代前の君主で分析するなど、多少の例外はありとします。

ヨーロッパ君主血脈ヒストリー①:ルクセンブルクは以下から

2.スペインの基本情報

スペインはイベリア半島に位置し、北はピレネー山脈でフランスに接し、西は同じイベリア半島に位置するポルトガルと接している。スペインとポルトガルは、大航海時代にアメリカ大陸に植民地を持ち、一時は世界最大級の帝国を築いたが、後に覇権をイギリスに奪われた。

3.スペインの血脈の特徴

第1弾で紹介したルクセンブルク同様、カトリック教国の君主国の生き残りとして、ハプスブルク家、ブルボン家の血脈が濃いが、現国王フェリペ6世の母ソフィアを通じて非カトリック教国の血脈も継いでいる。

4.スペインの血脈の詳細

本人:現国王フェリペ6世

父:先代国王フアン・カルロス1世

母:ギリシャ国王パウロス1世娘

父方祖父:フアン(父:スペイン国王アルフォンソ13世)

父方祖母:マリア(ブルボン=シチリア家出身)

母方祖父:ギリシャ国王パウロス1世

母方祖母:フリデリキ(母:ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世娘ヴィクトリア・ルイーゼ)

ドイツ皇帝フリードリヒ3世(父である初代ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世が長生きしたため在位3か月で死去):息子であるドイツ皇帝ヴィルヘルム2世はフェリペ6世の母方祖母フリデリキの母方祖父、娘ソフィアはフェリペ6世の母方祖父ギリシャ国王パウロス1世の母、近縁係数3/32

ヴィクトリア(ドイツ皇帝フリードリヒ3世の妻、イギリス女王ヴィクトリアの娘):近縁係数3/32

イギリス女王ヴィクトリア(産業革命による経済の発展が成熟に達したイギリス帝国の絶頂期):娘ヴィクトリアはドイツ皇帝フリードリヒ3世の妻、娘ベアトリスはフェリペ6世の父方祖父フアンの母方祖母、近縁係数5/32

デンマーク国王クリスチャン9世(グリュックスブルク家として初代のデンマーク国王):娘テューラはフェリペ6世の母方祖母フリデリキの父方祖母、息子であるギリシャ国王ゲオルギオス1世はフェリペ6世の母方祖父ギリシャ国王パウロス1世の父方祖父、近縁係数2/32

スペイン国王フェルナンド7世(ナポレオン戦争で一度退位するが復位):娘であるスペイン女王イサベル2世はフェリペ6世の父方祖父フアンの曾祖母、娘ルイサ・フェルナンダはフェリペ6世の父方祖母マリアの曾祖母、近縁係数2/64

フランス国王ルイ・フィリップ(フランス革命時に国外亡命し、7月革命により即位):息子であるオルレアン公フェルディナン・フィリップはフェリペ6世の父方祖母マリアの曽祖父、息子であるアントワーヌはフェリペ6世の父方祖母マリアの曽祖父、2/64

両シチリア国王フランチェスコ1世(父:初代両シチリア国王フェルディナンド1世、母:神聖ローマ皇帝フランツ1世、マリア・テレジアの娘マリア・カロリーナ):娘マリア・クリスティーナはスペイン国王フェルナンド7世の妻、娘マリア・アントニア、息子であるフェルディナンド2世は、フェリペ6世の父方祖母マリアのそれぞれ曾々祖母、曾祖父、娘ルイサ・カルロッタはフェリペ6世の父方祖父フアンの曾々祖母、近縁係数8/128

神聖ローマ皇帝レオポルト2世(母はハプスブルク家の女帝マリア・テレジア):息子のハンガリー副王ヨーゼフ・アントンはマリア・クリスティーナの母方祖父であり、息子のテシェン公カールはフェリペ6世の父方祖父フアンの父方祖母であるマリア・クリスティーナの父方祖父、かつフェリペ6世の父方祖母マリアの曾々祖父、近縁係数3/128

5. おわりに

スペインは、ハプスブルク、ブルボンなどに代表されるカトリック君主国の系統においては、現存王家で最も格上とされる。ブルボン本家であるフランス、ハプスブルクのオーストリアが君主制を廃したからである。ルクセンブルク同様、先祖にはブルボン家、ハプスブルク家の諸王室が連なる。

一方で、現国王フェリペ6世の母はギリシャ王家(グリュックスブルク家)の出身であり、非カトリック君主国の血統も融合している。

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