ヨーロッパ君主血脈ヒストリー①ルクセンブルク:ハプスブルク家、ブルボン家にベルギー王室、祖先は意外に名門のヨーロッパの小国

1.はじめに

今回より、連載企画として「ヨーロッパ君主血脈ヒストリー」をシリーズでアップすることにします。以下、簡単な概要です。

①基本的には現在の君主から遡って最大7代前まで(重複が無ければ128人)の祖先について、調べます。

②2代前(祖父母)までは詳細に、それ以前の祖先は血脈の濃い祖先のみ紹介する。

③調査項目は、どこの王公家に由来するか、どこの王公家の血脈が濃いのかなどです

④現在の君主の片親が民間出身の場合は、一代前の君主で分析するなど、多少の例外はありとします。

2.ルクセンブルクの基本情報

ルクセンブルクは、南をフランス、西と北をベルギー、東をドイツに接するヨーロッパの国であり、フランス、ドイツに挟まれたベルギー、オランダとあわせて3国でベネルクスと呼ばれている。国土面積は世界168位(変動あり)と小国であるが、ルクセンブルク大公を国家元首とする君主国であり、一人当たりGDPでは世界屈指の富裕国としても知られている。

4.ルクセンブルクの血脈の特徴

現在もヨーロッパに残るカトリック教の君主国はスペイン、ベルギー、アンドラ、モナコ、リヒテンシュタイン、ルクセンブルクが挙げられますが、世襲制ではないアンドラ、比較的独自性の強い血脈のモナコ、リヒテンシュタイン、そして北欧非カトリック教国との血縁が濃いベルギーを除けば、かつてのカトリック教君主国の血脈を濃く受け継いでいる国家は、スペイン、ルクセンブルクの2国が残る。

5.ルクセンブルクの血脈の詳細

本人:現当主アンリ大公

父:先代当主ジャン大公

母:ベルギー国王レオポルド3世娘ジョゼフィーヌ

父方祖父:フェリックス(父:ブルボン・パルマ家パルマ公ロベルト1世、母:ポルトガル国王ミゲル1世娘マリーア・アントーニア)

父方祖母:シャルロット大公(母:ポルトガル国王ミゲル1世娘マリー=アンヌ)

母方祖父:ベルギー国王レオポルド3世

母方祖母:アストリッド(スウェーデン国王オスカル2世、デンマーク国王フレゼリク8世の孫)

ポルトガル国王ミゲル1世(ブラガンザ家、「四月の乱」、「自由主義戦争」で国外亡命):娘マリー=アンヌはアンリ大公の父方祖母シャルロット大公の母、娘マリーア・アントーニアはアンリ大公の父方祖父フェリックスの母、娘マリア・ヨーゼファはアンリ大公の母方祖父ベルギー国王レオポルド3世の母方祖母、近縁係数5/32

スペイン国王カルロス4世(スペイン・ブルボン家、ナポレオン戦争で退位):ポルトガル国王ミゲル1世の母方祖父、娘マリーア・ルイーサはパルマ公ロベルト1世の曾祖母、近縁係数6/128

マリア・ルイサ(スペイン国王カルロス4世の妻、ブルボン・パルマ家出身でパルマ公フィリッポ1世の娘であるが、後にパルマ公を継承したカルロ2世の母方祖母でもある):近縁係数6/128

両シチリア国王フェルディナンド1世(初代両シチリア国王であり、スペイン国王カルロス4世の弟):息子である両シチリア国王フランチェスコ1世はパルマ公ロベルト1世の曽祖父、娘マリー・アメリーはアンリ大公の母方祖父ベルギー国王アルベール3世の曾々祖父、近縁係数2/128

マリア・カロリーナ(両シチリア国王フェルディナンド1世の妻、神聖ローマ皇帝フランツ1世とマリア・テレジアの娘):近縁係数2/128

※近縁係数については下記参照

6.おわりに

ルクセンブルク公国はヨーロッパの小国だが、現当主アンリ大公は、母方ではベルギー、スウェーデン、デンマーク王室の血脈を継ぎ、さらにカトリック教国の系譜であるハプスブルク家(神聖ローマ帝国)、ブルボン家(スペイン王国、両シチリア王国、パルマ公国)を継ぐ名門である。

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