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「いいね」が精一杯の好意表現 第26回 かつお

わかめさん、こんばんは。

彼氏さんが女の子と2人で映画を観に行っていましたか(^_^)

でもただの友だちでしょう(^_^)

だって前回の日記を読むかぎり、ものすごく順調にお付き合いされてるようですし(^_^)

問題ない、問題ない(^_^)


さて、そんなことより僕の話を書かせていただきます。まず、今回までに誰かとデートしてレポートを書くということでしたが、すみません、それはまだできず……。

でも、それでも、今、日記を書きたいんです。

ついに僕にもチャンスがやってきました。

ずっと心の底で気になっていた女の子からハロウィンパーテイに誘われたのです!! 

ここではその女の子をNさんとしておきましょう。

一昨日の23時ぐらいのことでした。スマホを見ると、facebookのメッセンジャーに通知が来ていたんです。まずfacebookのメッセンジャーなんてめったに使わないので、その通知が目に入っただけでびっくり。そしてよく見ると、メッセージは憧れのNさんから。もうそれに気づいた瞬間に「え、えええ、Nさんから!?」と激しく動揺し、寝転んだ姿勢をピシッと改めました。そして少し後に妙な緊張も襲ってきて、顔の表面がピリピリとこわばりました。

恐る恐るその通知を開いて、メッセージをタップすると、

「やっほー! 10/30空いてない? 推したいハロウィンイベントがあるんだ〜〜!」

というような内容が書かれていました。もう、久々に胸のあたりがムギュウと握り潰され「ううっ」となるような、変な汗が顔の皮膚からうっすら出てきて「ううっ」となるような、嬉しさと緊張が混じった高揚感がこみ上げ、ベッドの上で枕にグリグリ顔を押しつけました。そしてこういう風に湧き上がる気持ちが久びさすぎて、恥ずかしいですが、ほんの少し、吐き気をもよおしました。

前回のわかめさんの日記で女の子とデートしてくるミッションを課されたばかりだったので、「こんなことあるもんなのか〜」と思いながら、よくそのハロウィンパーテイの内容も見ずに、前のめりで「(もちろん)ぜひ行きたい」との返事をしました。

ここでそのNさんとぼくの関係について紹介しておきましょう。Nさんと出会ったのは、2年前の少人数クラスの授業でした。学期最初の授業、その教室に入った瞬間に、1人だけビカビカに光って見える女の子がいたんです。それがNさんでした。そのとき「好きだ!」と自分で認識していれば、いわゆる「一目惚れをした」ということになるでしょう。

Nさんはスラッとした高身長、茶髪のショートカットで肌は色白、目が細くて、さっぱりした顔立ちです。女子卓球日本代表の石川佳純選手に少し似てるかもしれません。(ちなみにぼくは石川佳純さんのルックスがかなりタイプです)そしてカジュアルな服装を着こなし、とにかく笑顔がよく似合う。ありきたりな表現ですが、笑うと本当に太陽のようでした。
しかも好奇心旺盛で、最初の自己紹介で僕が「古着屋巡りと音楽鑑賞が好きです」と、見栄を張って、クソみたいに文化系お洒落を気取った自己紹介をボソボソとしたにもかかわらず、「古着屋さんってどこに行くの?」とか「どんな音楽聴くの?」とか笑顔で聞いてきてくれるんですよ。

童貞臭くて情けないですが、それだけで、もう、ぼくは初回の授業からNさんに心を寄せ始めました。

でもすぐにその気持ちは引っ込めることになります。なぜなら、その授業でNさんの隣りにはいつも仲が良さそうな男子がいましたし、みんなで話してみるとNさんには彼氏がいることがすぐにわかったからです。「一般的なモテ女子の雰囲気ではないけど、やっぱり人気なのか〜」とがっくりしながら、諦めました。でもとりあえずfacebookで友だち申請だけはしておきました。

それからというもの、facebookで彼女が何かを投稿するたびに「いいね」を押して精一杯の好意を表現してきました。たかがSNSとはいえ、彼女はfacebookで書く文章も、なんというか真っ直ぐで心惹かれました。そしてfacebook上で彼女についてわかることは全て知り尽しました。彼女は僕と同じような周りが田んぼしかないようなど田舎出身ということ、3年生になってから学部でも1,2を争うほどハードなゼミで真面目に勉強を頑張っていること、和気あいあいとしたサッカーサークルに入っていること、全てが僕にとって彼女の好感度アップにつながりました。

こう書くと、自分がネットストーカーでめっちゃ気持ち悪いですね。

とにかく僕にとってNさんは「手は絶対に届かないけど、知り合いでいられるだけで幸せ」みたいな女性なんです。しかもなんと言えばいいんでしょう、今もたびたびキャンパスで会って挨拶だけするんですけど、光ってるんです。いつも自然体で素朴ながら周りも引きつけるといいますか……。性別とか関係なく、僕が憧れちゃう存在でもあります。(よく彼女を知らないくせに、こういうこと思っちゃう自分が気持ち悪いですが)

さて、彼女からハロウィンパーティーに誘っていただいた話に戻ります。僕がハロウィンパーティーに行きたいと返事をすると、彼女はきめ細やかな感謝の文章を送ってくれました。「こういうところも素晴らしいな〜」と思いながら、他愛もない会話も少し交わすと、彼女の住んでるところとは最寄り駅が隣同士のこともわかりました。その日は幸せと興奮で熟睡できませんでした。

しかし次の日になって、いろいろ問題が出てきました。

よく考えると「パーティー」なんてものに参加したことないんです、僕。知らない人がいっぱいいるだろうし、みんな友だち連れで来るだろうし、1人で行くと考えると怖くて怖くてたまりません。本当に怖くて、返事をしたものの、パーティーに行くと考えると今から頭の中が緊張に支配されてしまいます。
しかもイベントの内容を読んでみると、「パーティーには(必須じゃないけど)コスプレで来るといいよ」みたいなことが書いてあるんです。これはコスプレして行くべきなんでしょうか? そうだとして、コスプレなんて1回もしたことないんです……。何のコスプレをすればいいんでしょうか? まずコスプレってどこで着替えるんでしょうか? 怖すぎます。

あと彼女から来たメッセージをよく振り返って読んでみると、完全にコピペで沢山の人に送ってる感じなんですよね。それなのに前のめりで返事して、気持ち悪がられていないだろうか。自意識が暴れ始めました。
しかも「できれば周りの友達も誘ってみて」って書いてあるんですよね。人足りないから仕方なく人集めてる感じですやん。そして俺、パーティに誘えるような友だちいないやん。ごめんなさい。

そしてさらに、そのメッセージで会話してるときにデートか食事に誘えばよかった!! 最寄り駅隣同士ってわかった会話の流れから、チャンスだったのに……。彼女にまだ彼氏がいるのではないか、とか余計なことを考えて、ビビって誘えませんでした。そして今、後悔している。ほんと情けないです。

うーん、前回、わかめさんに指摘されたのに、まだまだ自意識が出てきてしまいます。反省です。

とにかく、でも、あこがれのNさんに少し近づけたことが嬉しすぎます! どうにかして1回、食事かなにかに一緒に行きたいです!!


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