弱さは麗しいが、磨くと刃になる 第33回
わかめさん、こんばんは。
かつおです。
日記、読ませていただきました。彼氏さんとすれ違いがおきてしまっているそうですが、その後、調子のほうはいかがですか? 思い詰めすぎないようにしてくださいね。またそれとは別に、わかめさんが自分の本心と真摯に向き合って書いた文章、とっても素敵だなあと思いました。
そして正直に申しますと、読みながら心がざわつきました。なぜならわかめさんが抱く「好きな人を傷つけたい」という願望に関して、自分の身にも覚えがあるような気がしたからです。童貞のくせに……。
それで考えてみたのですが、ぼくは今まで知らず知らずのうちに「弱さ磨き」をしていたのかもしれません。「弱さ」ってときに麗しく見えますが、鋭くとがらせて相手に突きつけると、遠回しの暴力になるんです。
ぼくはずっと、自分の人間としての弱さや悪意を必死に察知して「俺はダメだダメだ」と言い続けて、生きてきました。そうでなければ、利己的で簡単に人を傷つけるクソみたいな自分が顔を出してしまうからです。謙虚にしていなければ、いつか必ず間違いを犯すと思ってるところがあるんです。
でも一方で「俺はダメだ」と言い続けることで、心のどこかに安心感を抱いていたのも事実です。それはなぜか。ずばり「俺はダメだ」と言っていれば、周りの人が攻撃をしてこないからです。むしろ救いの手を差し伸べてくださることも多いです。認めるのが苦しいですが……ぼくは自分の弱さをひけらかすことで、人から優しさの搾取をしていたのかもしれません。「弱さ」を人前に突きつけることは、主体も受け手も無意識になりがちな、一種の暴力だと思います。
わかめさんはいかがでしょう。本当は「相手を傷つけること」ではなく、「自分の弱さを突きつけること」を望んでるのではないでしょうか。もしそうだとしたら、楽ですよね。弱さの刃を向けられた相手は、その弱さゆえに、反抗も言い訳もできませんから。わかめさんの完全圧勝です。彼氏さんはわかめさんに気を寄せるしかないし、わかめさんが下手に回る必要もありません。
でもそれで良好な関係を築けるかといえば、明らかに否、ではないでしょうか。お互いの神経をすり減らして、どちらかが切れたらおしまいだと思います。お互いが信頼で結ばれることなんてないでしょう。
ぼくはこの春、大学を卒業して社会人に近づいていくのですが、労働こそ、人から搾取する弱さと正反対の、人に与える強さが求められるのではないかと勝手に思っています。
ぼくは強くなりたいです。もう、弱さを磨くのは独りのときだけにしたいです。
偉そうで抽象的な話を書いてきてしまいました。最後に、今までの話を180度くつがえすようですが、弱さを肯定したい気持ちも正直、ぼくにはあります。自己肯定では全く無いのですが、人が自分の弱さに本気で向き合うときこそ、人間の面白さが現れるといいますか……。だから前回の日記のわかめさん、素敵だと思いましたよ!
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卒業旅行でタイに男3人で来ています。エメラルド寺院にいた、この像。かわいくて気に入りました。
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