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歩道について

 歩いていた。
 よく晴れた昼下がりに、皇居周辺の、歩道をである。
 なんなんだ、あの、馬鹿の一つ覚えのごとく、皇居のまわりをぐるぐると走る輩は。
 邪魔でしょうがない。まだ、一人二人なら我慢もできる。あれではまるで、蟻の大群だろうが。歩くこともままならん。
 俺は確かに聞いたぞ。歩行者の俺に対する、舌打ちを。おもわず振り返ったら、そいつはもう遥か彼方だった。
 その舌打ちで、国立近代美術館で見てきた絵が、すべて吹き飛んだんだ。どうしてくれる。
 知らなかったら教えてやるがなァ、歩道で、歩行者に対して、道を譲らなかったり、ましてや、舌打ちなんぞしようものなら、懲役五年、もしくは1000万円以下の罰金なんだぞ。わかったか。
 歩道では、歩行者には、道をあけろ。俺の前には、じゅうたんを敷け。
 この、薄ら馬鹿どもが。

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