その肉はなんの肉だ
新潮文庫からでた、満州国演義 第一巻を読んだ。
満州で関東軍が、張作霖を謀殺し、歴史が暗転するあたりが第一巻の舞台だ。
この小説の論評は、文芸評論家に任せておくとして、俺は、話の中ですこしだけ気になったことをここに書きたい。
作中、登場人物たちは、じつによく犬の肉を食べる。犬を食べる食文化があるのだ。よその国の食について、頭ごなしに否定するほど俺は傲慢ではないが、やはりそういう箇所を読むと、どことなく薄気味悪く感じる。
作家の辺見庸は、犬肉の炊き込みご飯を朝鮮半島で食べた時、その旨さに感動して、今すぐこの国に亡命したいとおもったという。俺も、もし犬料理を食べる機会があったとしたら、間違いなくどんな味なのかという好奇心とともにかぶりつくだろう。グロテスクだのなんだのという戯れ言は、頭の隅をよぎる程度で。
ただやはり、犬を食べる描写を読むたびに、食人族を連想してしまうことは否定しない。
第一巻は、主人公の一人が、アヘン窟でアヘンを初めて目の当たりにするところで終わる。
犬を食べたことも、アヘンを吸ったこともない俺には、この作品を偉そうに語る資格はないようにおもう。
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